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6 異世界に立つ
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光が薄れ、周りが見えるようになってくると、一行は自分たちがだだっ広い平原にいることを理解した。
「どこだ、ここ?」
「原っぱ」
「どこの?」
「異世界でしょ」
「異世界のどこだ?」
「わかるわけないでしょ」
「そりゃまあ、そうだよな」
頭の悪そうな会話が交わされている内に、状況に変化が表れた。
「何か来たぞ」
「こっちからもだ」
ちょうど自分たちを挟んだ両側に土煙が上がっていた。
「うわあ、化け物だ!?」
片側から押し寄せてくるのは、見た目からして化け物だった。
「おー、あれ多分ゴブリンとオークね。実物を見るのは初めてだわ」
呑気なことを言っているのは由真だった。
「どうするのよ、あんなの」
「大丈夫よ。ゴブリンもオークもやられキャラだから。戦闘系のスキル持ってる人なら瞬殺よ」
鑑定の結果を告げられ、戦闘スキル持ちは張り切った。
「っしゃあっ、やったるぜ!」
「雑魚が。我が剣の錆びにしてくれよう」
勇んで飛び出していった生徒たちは目覚ましい活躍を見せた。初めての戦いとは思えない、鮮やかな戦いぶりで敵を屠っていく。
「みんな強ぇなー」
戦闘系のスキルを持たないためにその場に残った面々が感嘆の声をあげる。
ほどなくして魔物の群れは全滅した。味方は怪我人一人すらいない、パーフェクトゲームであった。
そして、そのタイミングで反対側から近づいてきた一団が到着する。こちらはまともな人類の軍隊だった。
先頭にいた騎士とおぼしき男が近づいてきた。
「貴殿たちは一体何者ですか? あれだけの魔物の群れを全滅させるなど、人の業とは思えぬのですが……」
混乱しているらしい。何気に失礼なことを言い出す男に、その場にいた一同は苦笑を浮かべた。
「言葉は問題なさそうだな」
青木が呟く。それを聞いて初めて美南は相手の言葉を理解できることに気がついた。それは他のクラスメイトたちも同様で、そんな冷静さを保っている青木に話の窓口役を任せることにした。
「俺たちは神様と名乗る存在に呼ばれてこの世界にやって来ました。異世界の人間です」
青木の言葉に男は驚き、「ちょっと待ってくれ」と言って部隊の中に戻っていった。
すぐに男は戻って来たが、明らかに身分が高いであろう女性を連れていた。
「すっげえ美人だな」
男子生徒の間からそんな声があがる。
確かに綺麗な人だわ。
女性の容姿に関しては美南にも異論はなかった。
年の頃は自分たちよりも少し上くらいか。軽鎧を身につけた姿は凛々しく、神々しさすら感じさせた。
女性は、一同の前まで来ると、片膝を着いて、恭しく頭を下げた。
「パレッタ王国第一王女のカナデと申します。勇者様方のご光臨、心より歓迎いたします」
「どこだ、ここ?」
「原っぱ」
「どこの?」
「異世界でしょ」
「異世界のどこだ?」
「わかるわけないでしょ」
「そりゃまあ、そうだよな」
頭の悪そうな会話が交わされている内に、状況に変化が表れた。
「何か来たぞ」
「こっちからもだ」
ちょうど自分たちを挟んだ両側に土煙が上がっていた。
「うわあ、化け物だ!?」
片側から押し寄せてくるのは、見た目からして化け物だった。
「おー、あれ多分ゴブリンとオークね。実物を見るのは初めてだわ」
呑気なことを言っているのは由真だった。
「どうするのよ、あんなの」
「大丈夫よ。ゴブリンもオークもやられキャラだから。戦闘系のスキル持ってる人なら瞬殺よ」
鑑定の結果を告げられ、戦闘スキル持ちは張り切った。
「っしゃあっ、やったるぜ!」
「雑魚が。我が剣の錆びにしてくれよう」
勇んで飛び出していった生徒たちは目覚ましい活躍を見せた。初めての戦いとは思えない、鮮やかな戦いぶりで敵を屠っていく。
「みんな強ぇなー」
戦闘系のスキルを持たないためにその場に残った面々が感嘆の声をあげる。
ほどなくして魔物の群れは全滅した。味方は怪我人一人すらいない、パーフェクトゲームであった。
そして、そのタイミングで反対側から近づいてきた一団が到着する。こちらはまともな人類の軍隊だった。
先頭にいた騎士とおぼしき男が近づいてきた。
「貴殿たちは一体何者ですか? あれだけの魔物の群れを全滅させるなど、人の業とは思えぬのですが……」
混乱しているらしい。何気に失礼なことを言い出す男に、その場にいた一同は苦笑を浮かべた。
「言葉は問題なさそうだな」
青木が呟く。それを聞いて初めて美南は相手の言葉を理解できることに気がついた。それは他のクラスメイトたちも同様で、そんな冷静さを保っている青木に話の窓口役を任せることにした。
「俺たちは神様と名乗る存在に呼ばれてこの世界にやって来ました。異世界の人間です」
青木の言葉に男は驚き、「ちょっと待ってくれ」と言って部隊の中に戻っていった。
すぐに男は戻って来たが、明らかに身分が高いであろう女性を連れていた。
「すっげえ美人だな」
男子生徒の間からそんな声があがる。
確かに綺麗な人だわ。
女性の容姿に関しては美南にも異論はなかった。
年の頃は自分たちよりも少し上くらいか。軽鎧を身につけた姿は凛々しく、神々しさすら感じさせた。
女性は、一同の前まで来ると、片膝を着いて、恭しく頭を下げた。
「パレッタ王国第一王女のカナデと申します。勇者様方のご光臨、心より歓迎いたします」
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