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44 祭

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 今日は朝から雲ひとつない快晴だ。天気も俺たちを祝福してくれてる、と都合よく解釈する。

「何だか緊張するね」

 窓から空を眺めていた俺の隣にシルヴィアが並んだ。

「そうだな。でも、楽しもうぜ。一生一度の結婚式なんだから」

「うん」

 街は既に昨日の夜からお祭りモードに突入している。前夜祭ということらしいが、夜通し賑やかな雰囲気が伝わってきていた。

 何でも、この祭りの期間中は王家から補助金が出るらしい。飲み食いをはじめ、いろいろな買い物が普段の半額くらいでできると聞いた。

 そりゃテンションも上がるよな。俺も結婚式がなければ、街に繰り出してるところだ。

 というか、繰り出したい。

 そこへイリスさんがやってきた。女性は準備がいろいろあるとかで、式までは別行動になるそうだ。

「コータロー様、時間厳守でお願いしますね」

「了解」

 手持ちぶさたになったので、街へ出ることにした。

 すると、すぐにパーティメンバーと行き合った。今日も三人で行動していたようだ。

「お、本日の主役登場」

「シルヴィアは一緒じゃないの?」

「準備で王宮に行ってる」

「そっか。女の子の準備は手間がかかるもんね」

「じゃあ俺たちと回るか?」

「そうさせてもらおうかな」

 一人でぶらつくのも悪くはないが、周りがこれだけ賑やかだと少々淋しいものがある。なので、誘いに応じることにした。

「最初に話を聞いた時には、こんなに大きなお祭りになるとは思わなかったな」

「それは俺が一番感じてるよ」

 今日は王都だけでなく、近隣の街や村からも大勢の人が集まって来ている。商人に至っては国中の全員がいるのではなかろうか。まあ、この商機を逃しているようでは商人失格だろうから、ごく普通の光景なのかもしれないが。

 雑踏の中を練り歩き、美味しい物を飲み食いし、店をひやかす。仲間と一緒だと、こういった他愛のないことが実に楽しい。

 そして、周りの人たちの楽しそうな様子を見るのも、気分を上げるのに一役かっている。

 歩いている内に王宮前の広場に着いた。ここが俺たちの結婚式の会場になる。

 異世界風の結婚式ということでジャックのヤツが派手なキャンペーンをしていたせいか、時間的にはまだゆとりがあるのだが、既に人が集まりつつある。やはりカップルが多いようだ。

「んじゃ俺も準備に行くな」

「おう。頑張れってのも変だけど、頑張れよ」

「ちゃんとシルヴィアをエスコートしてあげるのよ」

「ああ」

 仲間たちと別れ、王宮へ向かうと、すぐに侍女さんたちが出迎えてくれた。中には久しぶりの顔もある。

「コータロー様、おめでとうございます」

「セシリアさん、久しぶりです。ありがとう」

「期待してますよ」

 何を期待しているのかは言わなかったが、とりあえず頷いておいた。

 いよいよかと思うと、緊張してきた。
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