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今宵は満月。
ということで、シグナ草の採取に来ている。
俺が最初に開発したポーションは今も売れ筋で、聞いた話だと一年先まで予約が入っているらしい。
生産量を増やせれば一番いいのだが、なにせ原料のシグナ草が中々採れない。秘密保持のため採取依頼も出せないので、こうして満月の夜に地道な作業を行うわけだ。
いつもだと明け方近くまでかかるのだが、今日は運良く群生地を見つけたので、予定していた数は早々に確保できた。
「いつもこうだと楽なんだけどな」
時間に余裕ができたので、その辺をうろついてみる。あわよくば他にも群生地がないかと思ったのだがーー
「…何だ、こりゃ」
初めて見るキノコを見つけてしまった。形は普通のキノコなのだが、色がエグい。濃い紫色は、一見したところ、毒にしか見えない。
でもまあ見た目だけで判断するのはよくないよな。
ということで、何本か生えていた紫色のキノコを採取して、家へと戻った。
結論から言うと、キノコはとんでもない代物だった。
その見た目毒々しいキノコは豊かな魔力を内包しており、摂取の仕方によっては一時的にではあるものの魔法が使えるようになることがわかった。
「…さすがにこれは……」
「…まずいよね……」
「効能がヤバすぎる」
魔法は、ほんの極一部のエリートのみが使える特殊技能だ。多分この国でも使える人材は二桁に届かないはずだ。
そんな激レアさんを限定的とは言え産み出せるとなれば、これはもう揉めまくる未来しか想像できない。下手すれば戦争案件だ。
「封印だな」
「だよな……」
姉さんの結論に異論を差し挟む余地はなかった。あまりにもヤバすぎる。
「このことを知ってるのはここにいる三人だけだ。口外厳禁だよ。いいね」
「わかった」
「はい」
とは言え、これを全破棄ではあまりに惜しすぎる。
「ただ、このまま放置って訳にはいかないよな。他の誰かが見つけて悪用なんてことになったら目もあてられない」
「それもそうだね」
「だから、見つけたら採取する。んで、研究もする。有事の際の切り札にはなるだろうからな」
「なかなかに悩ましい話だな」
姉さんは大きなため息をついた。
だが、俺の言い分にも一理はあると思ってくれたらしい。反対されることはなかった。
俺も魔法を使ってみたい、というのが本音なのは内緒の話だ。姉さんにはバレてる気がするけど。
ということで、シグナ草の採取に来ている。
俺が最初に開発したポーションは今も売れ筋で、聞いた話だと一年先まで予約が入っているらしい。
生産量を増やせれば一番いいのだが、なにせ原料のシグナ草が中々採れない。秘密保持のため採取依頼も出せないので、こうして満月の夜に地道な作業を行うわけだ。
いつもだと明け方近くまでかかるのだが、今日は運良く群生地を見つけたので、予定していた数は早々に確保できた。
「いつもこうだと楽なんだけどな」
時間に余裕ができたので、その辺をうろついてみる。あわよくば他にも群生地がないかと思ったのだがーー
「…何だ、こりゃ」
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でもまあ見た目だけで判断するのはよくないよな。
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結論から言うと、キノコはとんでもない代物だった。
その見た目毒々しいキノコは豊かな魔力を内包しており、摂取の仕方によっては一時的にではあるものの魔法が使えるようになることがわかった。
「…さすがにこれは……」
「…まずいよね……」
「効能がヤバすぎる」
魔法は、ほんの極一部のエリートのみが使える特殊技能だ。多分この国でも使える人材は二桁に届かないはずだ。
そんな激レアさんを限定的とは言え産み出せるとなれば、これはもう揉めまくる未来しか想像できない。下手すれば戦争案件だ。
「封印だな」
「だよな……」
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「このことを知ってるのはここにいる三人だけだ。口外厳禁だよ。いいね」
「わかった」
「はい」
とは言え、これを全破棄ではあまりに惜しすぎる。
「ただ、このまま放置って訳にはいかないよな。他の誰かが見つけて悪用なんてことになったら目もあてられない」
「それもそうだね」
「だから、見つけたら採取する。んで、研究もする。有事の際の切り札にはなるだろうからな」
「なかなかに悩ましい話だな」
姉さんは大きなため息をついた。
だが、俺の言い分にも一理はあると思ってくれたらしい。反対されることはなかった。
俺も魔法を使ってみたい、というのが本音なのは内緒の話だ。姉さんにはバレてる気がするけど。
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