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12 休日の過ごし方
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ここのところポーションに掛かりきりでロクに休みを取れていなかったので、今日はセレーネ共々のんびりすることにした。
ところがーー
「…何でだろう…休日の過ごし方がわからない……」
それに気づいた時、思わず愕然としてしまう。
「どんだけつまんねえ男なんだよ……」
「心配しないで。あたしも同じだから」
「そう言われても、そこで安心しちまうのはまずいと思う」
「そうね。もう少し人間の幅を広げたいわね」
「よし、とりあえず街に出よう」
「異議なし」
ということで、俺たちは初めてのデートをすることになった。
「ここがザイオンくんの生まれ育った街なんですね」
弾むような足取りで歩くセレーネが感慨深そうに言った。
そう言えば、帰って来てから既に二ヶ月以上経っているのに、ロクに街の案内もしていなかった。ポーションの件が忙しかったとは言え、何やってんだよ、俺。
気を取り直して、俺がガキの頃よく遊んだ場所へ向かう。今でも残ってるといいんだが。
目的地に近づくにつれ、歓声が聞こえてきた。
「お、やってるな」
「何を?」
「バスケ」
「って、授業でやったやつ?」
「ああ。ガキの頃はバスケばっかしてたんだよな、俺」
「へえ、そうなんだ」
到着したコートでは、3on3のゲームが行われており、多くのギャラリーで賑わっていた。
「結構盛り上がってんな」
「何だか授業で見たのとは別のスポーツみたい」
そう言ったセレーネの目の前で、鮮やかなドリブルでディフェンスをかわした選手が豪快なダンクシュートをリングに叩き込んだ。
「ふわあっ、すっごぉい!」
多分初めてダンクを見たんだろう。セレーネは歓声をあげた。
やっぱりダンクはバスケの華だな。誰の目にもわかりやすい、カッコいいプレーだ。
「もしかして、ザイオンくんもアレできるの!?」
期待に満ち満ちた目で見つめられると言いづらいが、俺の背ではダンクは無理だ。俺より小さくてもダンクかますヤツもいるが、それは本物のバケモンだ。俺にはそこまでの身体能力はない。
「俺が得意なのは違うプレーなんだよな」
「見てみたい!」
そんなに目を輝かせられたら、期待に応えないわけにはいかんだろ。
ギャラリーの中に知った顔を見つけて、俺はそいつに近づいた。
「よお、アレン」
「ん? 何だ、おい、ザイオンじゃねえか! いつ帰ってきたんだよ!?」
「最近な。それより、久しぶりにどうだ?」
「おう、いいな。確かラリーもどこかにーーああ、いたいた」
もう一人、昔よくチームを組んだ仲間を見つけて声をかけると、話はトントン拍子に進んだ。
ゲームの決着がついたところで次の挑戦者に名乗りを上げる。
「お、おい、あれって『トライデント』じゃねえの!?」
昔の俺たちを覚えていたのがいたらしい。その誰かの叫びが会場の中を波紋のように広がっていく。
「おい、マジか」
「やべえ、本物だよ」
「解散したんじゃなかったのか?」
俺は右手の人差し指を天に突き上げた。
「復活!」
「「「「おおおおっ!」」」」
どよめきが起きる。
「噂には聞いてたけど、どれほどのモンか、見せてくれよ」
さっき勝ったチームのやつらが好戦的な笑みを浮かべている。
久しぶりだな、この感覚。血が騒ぐぜ。
セレーネを振り返る。
「カッコいいとこ見せてやるぜ」
「うん!」
さあ、ショータイムといこうか。
ところがーー
「…何でだろう…休日の過ごし方がわからない……」
それに気づいた時、思わず愕然としてしまう。
「どんだけつまんねえ男なんだよ……」
「心配しないで。あたしも同じだから」
「そう言われても、そこで安心しちまうのはまずいと思う」
「そうね。もう少し人間の幅を広げたいわね」
「よし、とりあえず街に出よう」
「異議なし」
ということで、俺たちは初めてのデートをすることになった。
「ここがザイオンくんの生まれ育った街なんですね」
弾むような足取りで歩くセレーネが感慨深そうに言った。
そう言えば、帰って来てから既に二ヶ月以上経っているのに、ロクに街の案内もしていなかった。ポーションの件が忙しかったとは言え、何やってんだよ、俺。
気を取り直して、俺がガキの頃よく遊んだ場所へ向かう。今でも残ってるといいんだが。
目的地に近づくにつれ、歓声が聞こえてきた。
「お、やってるな」
「何を?」
「バスケ」
「って、授業でやったやつ?」
「ああ。ガキの頃はバスケばっかしてたんだよな、俺」
「へえ、そうなんだ」
到着したコートでは、3on3のゲームが行われており、多くのギャラリーで賑わっていた。
「結構盛り上がってんな」
「何だか授業で見たのとは別のスポーツみたい」
そう言ったセレーネの目の前で、鮮やかなドリブルでディフェンスをかわした選手が豪快なダンクシュートをリングに叩き込んだ。
「ふわあっ、すっごぉい!」
多分初めてダンクを見たんだろう。セレーネは歓声をあげた。
やっぱりダンクはバスケの華だな。誰の目にもわかりやすい、カッコいいプレーだ。
「もしかして、ザイオンくんもアレできるの!?」
期待に満ち満ちた目で見つめられると言いづらいが、俺の背ではダンクは無理だ。俺より小さくてもダンクかますヤツもいるが、それは本物のバケモンだ。俺にはそこまでの身体能力はない。
「俺が得意なのは違うプレーなんだよな」
「見てみたい!」
そんなに目を輝かせられたら、期待に応えないわけにはいかんだろ。
ギャラリーの中に知った顔を見つけて、俺はそいつに近づいた。
「よお、アレン」
「ん? 何だ、おい、ザイオンじゃねえか! いつ帰ってきたんだよ!?」
「最近な。それより、久しぶりにどうだ?」
「おう、いいな。確かラリーもどこかにーーああ、いたいた」
もう一人、昔よくチームを組んだ仲間を見つけて声をかけると、話はトントン拍子に進んだ。
ゲームの決着がついたところで次の挑戦者に名乗りを上げる。
「お、おい、あれって『トライデント』じゃねえの!?」
昔の俺たちを覚えていたのがいたらしい。その誰かの叫びが会場の中を波紋のように広がっていく。
「おい、マジか」
「やべえ、本物だよ」
「解散したんじゃなかったのか?」
俺は右手の人差し指を天に突き上げた。
「復活!」
「「「「おおおおっ!」」」」
どよめきが起きる。
「噂には聞いてたけど、どれほどのモンか、見せてくれよ」
さっき勝ったチームのやつらが好戦的な笑みを浮かべている。
久しぶりだな、この感覚。血が騒ぐぜ。
セレーネを振り返る。
「カッコいいとこ見せてやるぜ」
「うん!」
さあ、ショータイムといこうか。
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