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1 婚約破棄
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「セレーネ、おまえとの婚約、今日をもって破棄させてもらう!」
パーティー会場の喧騒が一瞬で止んだ。
静まり返った参加者の視線が一点に集中する。もちろん俺もガン見した。
注目されたことを確認するように周囲を見回し、満足そうな笑みを浮かべた男ーーこの国の第二王子バルディンは婚約者(であるはず)の侯爵令嬢セレーネに指を突きつけた。
「おまえの悪行の数々は俺の耳にも届いている。そんな腐った性根の持ち主を王族に連ねることなど許されるはずがない。よって、おまえとの婚約は破棄することにした!」
バルディンの口上が終わると、皆の視線がセレーネに移る。
当のセレーネは、今までに見たこともないような顔をしていた。
元々セレーネは類稀なる美少女である。これは俺だけでなく、衆目の一致するところだ。観賞している分には非の打ちどころがない。
わざわざ観賞している分にはと断りを入れたのには、まぁそれなりに訳がある。
皆が知っていて、本人の前では決して口にできない呼び名がある。
その名はーー「3ペキ」
「完璧」
「潔癖」
「絶壁」
三つ揃って「3ペキ」である。
「完璧」、「潔癖」で大体わかると思うが、要は必要以上に優秀な、お堅い委員長タイプなのだ。ちなみに「絶壁」に関して詳しくは言及しない。察してくれ。
常のセレーネは凛とした雰囲気を纏っていて、はっきり言えば近寄りがたい。俺も挨拶くらいはするが、会話らしい会話はしたことがない。
別に嫌っているわけではないが、何となく距離をとってしまう。わかるかな、この微妙な感じ。
そんなセレーネの雰囲気は珍しく崩れていた。珍しくと言うか、俺は初めて見た。
具体的に言うと、ポカーンとしていた。
自分が何でそんなことを言われるのかわからない、という顔だ。
まぁそうだろうな。
バルディンは悪行がどうこう言ってたが、この場にいる誰もが、セレーネが人から非難されるようなことをするとは思っていない。どうせバルディンが血迷っているだけだろうーーそんな認識だ。
ただ、突きつけられた当人としては、冷静でいるのは難しかったのかもしれない。
反論がないのをいいことに、バルディンは更にセレーネを口撃する。
「おまえがレイラに対して働いた無体の数々、断じて許すわけにはいかん。その罰も受けてもらうぞ」
そう言ってバルディンは、一人の女生徒を自分の脇に呼び寄せた。
あー、そういうこと……
ここに至るまでの流れが完全に理解できた、と思う。
レイラってのは、確か最近何かとバルディンに近づいてる男爵家の令嬢だったはずだ。セレーネほどではないにせよ、かなり整った容姿の持ち主だ。で、それに加えてセレーネに欠落している愛嬌が過剰なくらい備わっているために、男子の中では人気はあった。プラス、絶壁とは程遠い難攻不落のオーバーハングを誇ってもいる。
ただ、空気を読まないと言うか、かなり独特な感性を持っているため、ちょくちょく騒動を巻き起こす困ったちゃんでもある。
おそらく、セレーネがレイラに対して働いた無体ってのは、レイラがやらかしたことに対して生真面目なセレーネが注意をしたとかそんなところだろう。周りの連中の表情を見ても、俺と同じ結論に達しているのは複数いる感じだ。
でも、そうだとすれば、このまま話が進んじまうのはかなりマズくないだろうか?
「で、殿下、それは一体何のお話でーー」
一時の困惑から立ち直ったセレーネが潔白を証明しようと言いかけた言葉を、バルディンは被せぎみに遮った。
「見苦しい言い訳など聞きたくない! 大体おまえには可愛げというものがまったくないんだよ。女なら女らしく男のいうことをおとなしく聞いていればいいんだ。それをおまえは何かと人のやることにケチばかりつけやがって。もういい加減うんざりなんだ。おまえとの将来なんて想像するだけで寒気がする。結婚するならば、このレイラのように可愛くて男を立てる女がいいに決まっている!」
バルディンの長広舌を聞いたセレーネの顔色が遠目にもはっきりわかるほど変わった。
ヤバいって。誰か止めろよ。
思うところは皆同じだが、この中に割って入れる勇者はいなかった。もちろん俺にも無理だ。
「という訳だ。改めて宣言するーーセレーネ、おまえとの婚約は、今この瞬間をもって無効とする!」
「…望むところですわ」
セレーネの声は、パーティー会場の気温を確実に五度は下げた。俺の背筋に寒気が走り、バルディンがビクッと身体を震わせた。
「あなたのようなプライドばかり高くて中身の伴わない、人を人とも思わない高慢ちきなクソッタレとの婚約なんて、こっちの方から願い下げよ!」
わお。
度肝を抜かれたのは俺だけじゃないはずだ。いくらバルディンの方に非があるのは明らかだとしても、相手は王族である。ここまで言っちまったら、単純な善悪では計れなくなっちまうんではなかろうか。
そう現実的な思考とは別に、セレーネをカッコいいと思ってしまう自分がいるのも自覚があった。
「ほ、本性を表したな。そうやってレイラをいじめたんだろう」
気圧されながらバルディンが言う。もう余計なこと言うなってば。
案の定、一度火のついたセレーネの怒りに油を加える結果にしかならなかった。
「いじめって言葉の意味、勉強し直してから使った方がいいわよ。恥かくから。それから、自分の見たいものしか見ない癖も改めた方がいいわね。そんな調子じゃ上に立ったとしても誰もついてこないわよ」
「貴様……」
バルディンは怒りで全身を震わせた。
「本当に可愛いげのない女だな。おまえの方こそその性格を直さない限り嫁の貰い手はないだろうな」
「余計なお世話よ。あなたなんかに心配されなくても相手くらい見つけられるから」
…何だか売り言葉に買い言葉みたいな展開になってきている。このままだと誰も幸せにならない未来しか見えてこない。
「はっ、笑わせてくれる。例えばおまえが好きな男に告白したとして、それを受け入れてもらえるとでも思っているのか?」
「思っているわ」
「わはははは。もしそんな物好きなヤツがいたら、何でもひとつおまえのいうことを聞いてやるよ」
うん、これ多分フラグだよな。これ以上ないくらいしっかり立ったぞ、多分。
「その言葉に二言はないわね?」
セレーネの視線はかなり物騒だった。
「ああ、ここにいる全員が証人だ」
「ひとつだけ確認ーー現時点であたしたちの婚約破棄は成立してるのね?」
「それも皆が証人だ」
「それならいいわ。彼に変な迷惑をかけたくないから」
「迷惑? おまえなんかに告白されること自体が迷惑だろうよ」
せせら笑うバルディンにそれ以上言葉を返すことなく、セレーネは背を向けて歩き出した。
進路上にいたクラスメイトたちが迫力に圧されるように道を開ける。
え? こっち?
セレーネはまっすぐこっちに向かってくる。
俺も道を開けた方がいいのかと思ったのだが、俺が立っていたのは壁際だ。後ろに扉があるわけでもない。
え? 俺? マジ?
戸惑っている内に、セレーネは俺の目の前で足を止めた。どうやら覚悟を決めなければならないらしい。が、そう簡単に決まるものでもない。
マジでマジなんか?
手を伸ばせば届く距離にいるセレーネの顔は真剣そのもので茶化せるような要素は欠片もない。
「ザイオンくん」
バルディンに相対していた時とは打って変わった弱気な声でセレーネが呼び掛けてくる。
「は、はい」
緊張が伝染したのか、俺の声も変に外れた。
「……」
セレーネには逡巡が見えた。切れ長の瞳が不安そうにーー今にも泣き出しそうに揺れている。
「…ごめんなさい。上手く言葉にできません。でも、これがあたしの想いです」
次の瞬間、俺とセレーネの唇は重なっていた。
パーティー会場の喧騒が一瞬で止んだ。
静まり返った参加者の視線が一点に集中する。もちろん俺もガン見した。
注目されたことを確認するように周囲を見回し、満足そうな笑みを浮かべた男ーーこの国の第二王子バルディンは婚約者(であるはず)の侯爵令嬢セレーネに指を突きつけた。
「おまえの悪行の数々は俺の耳にも届いている。そんな腐った性根の持ち主を王族に連ねることなど許されるはずがない。よって、おまえとの婚約は破棄することにした!」
バルディンの口上が終わると、皆の視線がセレーネに移る。
当のセレーネは、今までに見たこともないような顔をしていた。
元々セレーネは類稀なる美少女である。これは俺だけでなく、衆目の一致するところだ。観賞している分には非の打ちどころがない。
わざわざ観賞している分にはと断りを入れたのには、まぁそれなりに訳がある。
皆が知っていて、本人の前では決して口にできない呼び名がある。
その名はーー「3ペキ」
「完璧」
「潔癖」
「絶壁」
三つ揃って「3ペキ」である。
「完璧」、「潔癖」で大体わかると思うが、要は必要以上に優秀な、お堅い委員長タイプなのだ。ちなみに「絶壁」に関して詳しくは言及しない。察してくれ。
常のセレーネは凛とした雰囲気を纏っていて、はっきり言えば近寄りがたい。俺も挨拶くらいはするが、会話らしい会話はしたことがない。
別に嫌っているわけではないが、何となく距離をとってしまう。わかるかな、この微妙な感じ。
そんなセレーネの雰囲気は珍しく崩れていた。珍しくと言うか、俺は初めて見た。
具体的に言うと、ポカーンとしていた。
自分が何でそんなことを言われるのかわからない、という顔だ。
まぁそうだろうな。
バルディンは悪行がどうこう言ってたが、この場にいる誰もが、セレーネが人から非難されるようなことをするとは思っていない。どうせバルディンが血迷っているだけだろうーーそんな認識だ。
ただ、突きつけられた当人としては、冷静でいるのは難しかったのかもしれない。
反論がないのをいいことに、バルディンは更にセレーネを口撃する。
「おまえがレイラに対して働いた無体の数々、断じて許すわけにはいかん。その罰も受けてもらうぞ」
そう言ってバルディンは、一人の女生徒を自分の脇に呼び寄せた。
あー、そういうこと……
ここに至るまでの流れが完全に理解できた、と思う。
レイラってのは、確か最近何かとバルディンに近づいてる男爵家の令嬢だったはずだ。セレーネほどではないにせよ、かなり整った容姿の持ち主だ。で、それに加えてセレーネに欠落している愛嬌が過剰なくらい備わっているために、男子の中では人気はあった。プラス、絶壁とは程遠い難攻不落のオーバーハングを誇ってもいる。
ただ、空気を読まないと言うか、かなり独特な感性を持っているため、ちょくちょく騒動を巻き起こす困ったちゃんでもある。
おそらく、セレーネがレイラに対して働いた無体ってのは、レイラがやらかしたことに対して生真面目なセレーネが注意をしたとかそんなところだろう。周りの連中の表情を見ても、俺と同じ結論に達しているのは複数いる感じだ。
でも、そうだとすれば、このまま話が進んじまうのはかなりマズくないだろうか?
「で、殿下、それは一体何のお話でーー」
一時の困惑から立ち直ったセレーネが潔白を証明しようと言いかけた言葉を、バルディンは被せぎみに遮った。
「見苦しい言い訳など聞きたくない! 大体おまえには可愛げというものがまったくないんだよ。女なら女らしく男のいうことをおとなしく聞いていればいいんだ。それをおまえは何かと人のやることにケチばかりつけやがって。もういい加減うんざりなんだ。おまえとの将来なんて想像するだけで寒気がする。結婚するならば、このレイラのように可愛くて男を立てる女がいいに決まっている!」
バルディンの長広舌を聞いたセレーネの顔色が遠目にもはっきりわかるほど変わった。
ヤバいって。誰か止めろよ。
思うところは皆同じだが、この中に割って入れる勇者はいなかった。もちろん俺にも無理だ。
「という訳だ。改めて宣言するーーセレーネ、おまえとの婚約は、今この瞬間をもって無効とする!」
「…望むところですわ」
セレーネの声は、パーティー会場の気温を確実に五度は下げた。俺の背筋に寒気が走り、バルディンがビクッと身体を震わせた。
「あなたのようなプライドばかり高くて中身の伴わない、人を人とも思わない高慢ちきなクソッタレとの婚約なんて、こっちの方から願い下げよ!」
わお。
度肝を抜かれたのは俺だけじゃないはずだ。いくらバルディンの方に非があるのは明らかだとしても、相手は王族である。ここまで言っちまったら、単純な善悪では計れなくなっちまうんではなかろうか。
そう現実的な思考とは別に、セレーネをカッコいいと思ってしまう自分がいるのも自覚があった。
「ほ、本性を表したな。そうやってレイラをいじめたんだろう」
気圧されながらバルディンが言う。もう余計なこと言うなってば。
案の定、一度火のついたセレーネの怒りに油を加える結果にしかならなかった。
「いじめって言葉の意味、勉強し直してから使った方がいいわよ。恥かくから。それから、自分の見たいものしか見ない癖も改めた方がいいわね。そんな調子じゃ上に立ったとしても誰もついてこないわよ」
「貴様……」
バルディンは怒りで全身を震わせた。
「本当に可愛いげのない女だな。おまえの方こそその性格を直さない限り嫁の貰い手はないだろうな」
「余計なお世話よ。あなたなんかに心配されなくても相手くらい見つけられるから」
…何だか売り言葉に買い言葉みたいな展開になってきている。このままだと誰も幸せにならない未来しか見えてこない。
「はっ、笑わせてくれる。例えばおまえが好きな男に告白したとして、それを受け入れてもらえるとでも思っているのか?」
「思っているわ」
「わはははは。もしそんな物好きなヤツがいたら、何でもひとつおまえのいうことを聞いてやるよ」
うん、これ多分フラグだよな。これ以上ないくらいしっかり立ったぞ、多分。
「その言葉に二言はないわね?」
セレーネの視線はかなり物騒だった。
「ああ、ここにいる全員が証人だ」
「ひとつだけ確認ーー現時点であたしたちの婚約破棄は成立してるのね?」
「それも皆が証人だ」
「それならいいわ。彼に変な迷惑をかけたくないから」
「迷惑? おまえなんかに告白されること自体が迷惑だろうよ」
せせら笑うバルディンにそれ以上言葉を返すことなく、セレーネは背を向けて歩き出した。
進路上にいたクラスメイトたちが迫力に圧されるように道を開ける。
え? こっち?
セレーネはまっすぐこっちに向かってくる。
俺も道を開けた方がいいのかと思ったのだが、俺が立っていたのは壁際だ。後ろに扉があるわけでもない。
え? 俺? マジ?
戸惑っている内に、セレーネは俺の目の前で足を止めた。どうやら覚悟を決めなければならないらしい。が、そう簡単に決まるものでもない。
マジでマジなんか?
手を伸ばせば届く距離にいるセレーネの顔は真剣そのもので茶化せるような要素は欠片もない。
「ザイオンくん」
バルディンに相対していた時とは打って変わった弱気な声でセレーネが呼び掛けてくる。
「は、はい」
緊張が伝染したのか、俺の声も変に外れた。
「……」
セレーネには逡巡が見えた。切れ長の瞳が不安そうにーー今にも泣き出しそうに揺れている。
「…ごめんなさい。上手く言葉にできません。でも、これがあたしの想いです」
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