異界と現世が重なった結果 ～ロリコン認定は不本意です～

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「う……」

　目に飛び込んできた光景の凄惨さに、圭一は思わず顔をしかめた。

　五匹のゴブリンが人々を蹂躙していた。大地は死屍累々の惨状だが、それでも尚飽きたらないらしいゴブリンは生き残りの人々を追い回している。

　カッと圭一の頭に血が上った。

「ぐおらあぁっ！」

　一声吼えて、圭一は惨劇の現場に乱入した。飛び込み様に薙ぎ払った槍の穂先が、一匹のゴブリンの首を断つ。

「しゃあっ！」

　一瞬たりとも動きを止めることなく、颶風と化した圭一は戦場を駆け抜ける。圭一が駆け抜けた後には両断されたゴブリンが残された。

　残敵がいないことを確認し、圭一は生き残った人々に顔を向けた。十人に満たない少人数ではあったが、救えた人がいたという事実が圭一をホッとさせた。

　助けられた人々は呆けたように座りこんでいる。状況の急激な変化に心も身体もついてこれていないようだ。

「ぐずぐずしてて次が来たらまずいから移動しましょう。辛いかもしれないけど、もう少し頑張ってください」

　圭一の言葉に、生き残った人々はノロノロとではあったが動き出した。



　新たに合流した人達を含めて三十人を超える大所帯となった一行は、当初の予定通り安全地帯を目指して移動を続けた。

　実際にゴブリンに襲われた避難民たちのショックは大きく、いまだに脱け殻の様相を呈している。

「…気持ちはわかるんだが、このペースじゃちょっとまずいよな……」

　圭一としては、できる限り速やかに安全地帯に抜け出したいと思っていたのだ。無論完全に安全な場所などありはしないのだが、海岸近くが比較的安全なことはわかっている。

　普通に歩けば日が暮れる前に海へと辿り着けるはずだったのだが、今のペースでは少々怪しくなりかけていた。危険地帯の只中で夜営というのは絶対に避けたいところだ。

「ほら、みんな、もう少し頑張るわよ！」

　明るい声をあげたのは和美だった。

「安全なところに抜けてからならいくらでも休めるから。怖いのが出てくる前に逃げちゃいましょ」

 「そうだな。化物と喧嘩なんてゾッとしないから、さっさと逃げようぜ」

　最初から一緒だったメンバーが、元気のない新顔を励ますように声をかける。

　脱落者を出さないように助け合いながら先を急ぐ一行だったが、なかなか平穏無事とはいかず、度々魔物に遭遇した。

　幸い大規模な群れにかち合うことはなかったため、現れる都度圭一が瞬殺していった。

　圭一が見せた圧倒的な強さは、一行の精神安定に大きく寄与した。

　極限状態の中で、頼れる相手がいるのといないのとでは気持ちの持ちようがまったく変わってくる、。すぐに圭一の存在は絶対的なものになっていった。