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私、ご主人様と仲良くなれる気がしないんですけど

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つ、疲れた……。
空の食器が乗ったカートを押しながら、暗い廊下を歩く。
なんだかご主人様、今日はゆっくり食事をされていた感じがするなぁ……。いや、そんな気がするだけかな。
結局あれから怖くてご主人様の顔を見られていない。

「はぁ……」

今日は廊下がやけに長く感じた。



「おかえりなさいリーシュちゃん!」

厨房ではレイランさんが待ってくれていた。
レイランさんは食器を下げ、私の夕食を持ってきてくれた。

「ありがとうございます」

レイランさんが持ってきたのは、切れ込みの入ったパンのような白い半円の生地に肉と千切りにしたキャベツが詰まっている料理だった。スパイスの香りもする。

「これは……?」
「あら、初めて食べるのかしら?これはケバブっていうの」
「ケバブ……」

スパイシーな香りから目が離せない私を見てレイランさんは微笑んだ。

「今日は鶏肉たっぷりつかっちゃったの!さぁさぁ!食べてちょうだい!」
「はい、いただきます」

両手で持ってみるとしっかりと重みがある。顔に近づけると一層スパイスの香りが食欲をそそった。
ひとくちかじるとパンの部分はさっくりとしていて、キャベツがパリパリと音を立て、最後にぷりぷり鶏肉から肉汁が溢れた。

「……!」

スパイシー鶏肉にはスマヨネーズがかかっていて、後味をまろやかにした。

「おいしいです……!」
「あら!よかったわ!」

私が黙々とケバブを頬張っている間、レイランさんは、にこにこしながら食器の後片付けをしに厨房の奥に消えた。

食事を終え、レイランさんにお礼を言ってから私はお風呂に入り、自分の部屋に入ったらすぐに眠りについてしまった。
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