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第9章~眷属教育~
第63話 座学2――興味のないことに関する座学はただの地獄。
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「と、いうわけで、本日からなんと!なな、なんと!!我らが主が皆のために、補助講師として授業に参加してくださることになった。はい!拍手!!」
ヴァリスによる紹介の後、パチパチパチと勢いよく拍手をするヴァリスとトリオラ。特にトリオラは、創造主たるレイを信仰するラバルディア聖教の敬虔なる信徒。レイに直接会うことが出来、感動に打ち震え、涙まで流している。
しかし、その他の生徒はというと、
「あら、主とはこんなに若い方でしたのね。意外でしたわ」
と、カトレアは言い、
「でもカトレア、ヴァリス先生の言によれば、主はこの世の誰よりも長生きしているらしいよ」
デュオスが補足説明する。
「あら、そうですのね」
「人は見かけによらないというやつだね」
などと言い、割りとあっさりとレイのことを受け入れていた。
「そういえば、カルロス殿の姿が見受けられないが」
ヴァリスが周囲を見回しながら訊く。
「父上は公務で忙しいらしく、今日は欠席するとのことでした」
「なんと!折角主に来ていただいたというのに勿体ない」
トリオラがそう報告すると、ヴァリスは残念そうにそういった。
「それでヴァリス、今日の授業は何をするのですか?」
「そうでした。では、本日の授業――いや、議論のテーマは原罪についてだ。それでは――」
「ちょ、ちょっと待って下さい」
レイが授業もとい議論の開始を止める。
「何でしょう主」
ヴァリスが不思議そうな顔をして訊く。
「何でしょうってヴァリス、貴方は座学の担当でしょう?」
「その通りですが」
何か?とヴァリスは言いたげな顔をする。
「何で突然議論を開始するのですか。普通座学の授業とは、講師であるヴァリスが生徒に何らかの教えを授けるモノでしょう?」
「主よ」
ヴァリスが突然真面目な顔になり、レイは何事かと身構える。
「私がこの素晴らしい生徒たちの講師となってから早くも7年の月日がたちました」
「それもそうですね」
「ぶっちゃけもう教えるネタがありません」
ヴァリスが真顔でぶちまけた。
「そんなわけがないでしょう。僕が貴方に教えた知識はたかだか7年で修まるものでは――」
「主!!」
ヴァリスがレイの言葉を遮った。
「これ以上は、オーバーテクノロジーになります」
「あ」
そこまで言われてレイは気付く。ヴァリスはちゃんと時代と知識の天秤が平行を保つように生徒に教育を施していたのだ。流石生真面目メガネの二つ名は伊達ではない。メガネだけに。
兎に角、出来るメガネの授業に隙などない。レイはこれからもヴァリスに安心して授業を任せようと――思ったその矢先、
「ところで主、我らはいつまでアリア嬢たちに教育を施せばよろしいのでしょうか?」
「え?」
「ああ、勘違いしないで下さい。我々は決してアリア嬢への教育を嫌がったりなどはしておりません。ただ、当初の予定では、我ら四大使によるアリア嬢の教育は、主とアリア嬢が直接面会するまでのはずです。そのため、主の意思確認をしておかなくては、と、思いまして」
言われてレイは考える。アリアの実力は既に十二分にあると言えよう。知識についてもヴァリスはもう教えることがないと言う。なればもう教育は止めてしまっても良いのではないか?しかし、何かが足りていない。と言うよりも、何かを行っていない気がする。
レイがう~んと考え事をしていると、レイの考えを察したヴァリスが、
「主、試験をしてみては如何でしょう?」
と、提案する。
「なるほど、試験ですか」
「そうです。我々四大使がそれぞれの科目の試験官となり、試験を行う。そして、すべての試験をパスした者を卒業とし、教育を終了する。これでどうでしょうか?」
「素晴らしい、それでいきましょう!――日程はこれから決めるとして、生徒の皆さんもそれでよろしいですね」
「「はい!!」」
2名の生徒を除いた生徒が元気よく返事をする。その2名の生徒は顔を青くしている。
「アリア、それにカトレアも、顔を青くして具合でも悪いのですか?」
レイが心配そうに訊く。するとカトレアが、
「な、な、な、なんでもありませんわ」
動揺がありありと窺えるカトレア。アリアはと言うとブツブツと何か言っている。
「どうしましょう、どうしましょう、どうしましょう、どうしましょう、どうしましょう、どうしましょう、どうしましょう、どうしましょう、どうしましょう、どうしましょう、どうしましょう、どうしましょう、どうしましょう、どうしましょう、どうしましょう、どうしましょう、どうしましょう、どうしましょう……」
レイはそんな二人を見て疑問に思ったことを訊く。
「ヴァリス、アリアとカトレアの座学を受ける態度はどうだったのでしょう?」
「態度、ですか?」
「そう、態度」
「そう言えば私は主のお言葉を唱えることに精一杯で、生徒たちの受業態度は見ておりませんでした」
ハッハッハ、と笑うヴァリス。前言撤回このメガネ全然使えねぇ。そしてレイは思った。約2名(内1名は教育プログラムの中心生徒)の落第者が出るかもしれないと。
ヴァリスによる紹介の後、パチパチパチと勢いよく拍手をするヴァリスとトリオラ。特にトリオラは、創造主たるレイを信仰するラバルディア聖教の敬虔なる信徒。レイに直接会うことが出来、感動に打ち震え、涙まで流している。
しかし、その他の生徒はというと、
「あら、主とはこんなに若い方でしたのね。意外でしたわ」
と、カトレアは言い、
「でもカトレア、ヴァリス先生の言によれば、主はこの世の誰よりも長生きしているらしいよ」
デュオスが補足説明する。
「あら、そうですのね」
「人は見かけによらないというやつだね」
などと言い、割りとあっさりとレイのことを受け入れていた。
「そういえば、カルロス殿の姿が見受けられないが」
ヴァリスが周囲を見回しながら訊く。
「父上は公務で忙しいらしく、今日は欠席するとのことでした」
「なんと!折角主に来ていただいたというのに勿体ない」
トリオラがそう報告すると、ヴァリスは残念そうにそういった。
「それでヴァリス、今日の授業は何をするのですか?」
「そうでした。では、本日の授業――いや、議論のテーマは原罪についてだ。それでは――」
「ちょ、ちょっと待って下さい」
レイが授業もとい議論の開始を止める。
「何でしょう主」
ヴァリスが不思議そうな顔をして訊く。
「何でしょうってヴァリス、貴方は座学の担当でしょう?」
「その通りですが」
何か?とヴァリスは言いたげな顔をする。
「何で突然議論を開始するのですか。普通座学の授業とは、講師であるヴァリスが生徒に何らかの教えを授けるモノでしょう?」
「主よ」
ヴァリスが突然真面目な顔になり、レイは何事かと身構える。
「私がこの素晴らしい生徒たちの講師となってから早くも7年の月日がたちました」
「それもそうですね」
「ぶっちゃけもう教えるネタがありません」
ヴァリスが真顔でぶちまけた。
「そんなわけがないでしょう。僕が貴方に教えた知識はたかだか7年で修まるものでは――」
「主!!」
ヴァリスがレイの言葉を遮った。
「これ以上は、オーバーテクノロジーになります」
「あ」
そこまで言われてレイは気付く。ヴァリスはちゃんと時代と知識の天秤が平行を保つように生徒に教育を施していたのだ。流石生真面目メガネの二つ名は伊達ではない。メガネだけに。
兎に角、出来るメガネの授業に隙などない。レイはこれからもヴァリスに安心して授業を任せようと――思ったその矢先、
「ところで主、我らはいつまでアリア嬢たちに教育を施せばよろしいのでしょうか?」
「え?」
「ああ、勘違いしないで下さい。我々は決してアリア嬢への教育を嫌がったりなどはしておりません。ただ、当初の予定では、我ら四大使によるアリア嬢の教育は、主とアリア嬢が直接面会するまでのはずです。そのため、主の意思確認をしておかなくては、と、思いまして」
言われてレイは考える。アリアの実力は既に十二分にあると言えよう。知識についてもヴァリスはもう教えることがないと言う。なればもう教育は止めてしまっても良いのではないか?しかし、何かが足りていない。と言うよりも、何かを行っていない気がする。
レイがう~んと考え事をしていると、レイの考えを察したヴァリスが、
「主、試験をしてみては如何でしょう?」
と、提案する。
「なるほど、試験ですか」
「そうです。我々四大使がそれぞれの科目の試験官となり、試験を行う。そして、すべての試験をパスした者を卒業とし、教育を終了する。これでどうでしょうか?」
「素晴らしい、それでいきましょう!――日程はこれから決めるとして、生徒の皆さんもそれでよろしいですね」
「「はい!!」」
2名の生徒を除いた生徒が元気よく返事をする。その2名の生徒は顔を青くしている。
「アリア、それにカトレアも、顔を青くして具合でも悪いのですか?」
レイが心配そうに訊く。するとカトレアが、
「な、な、な、なんでもありませんわ」
動揺がありありと窺えるカトレア。アリアはと言うとブツブツと何か言っている。
「どうしましょう、どうしましょう、どうしましょう、どうしましょう、どうしましょう、どうしましょう、どうしましょう、どうしましょう、どうしましょう、どうしましょう、どうしましょう、どうしましょう、どうしましょう、どうしましょう、どうしましょう、どうしましょう、どうしましょう、どうしましょう……」
レイはそんな二人を見て疑問に思ったことを訊く。
「ヴァリス、アリアとカトレアの座学を受ける態度はどうだったのでしょう?」
「態度、ですか?」
「そう、態度」
「そう言えば私は主のお言葉を唱えることに精一杯で、生徒たちの受業態度は見ておりませんでした」
ハッハッハ、と笑うヴァリス。前言撤回このメガネ全然使えねぇ。そしてレイは思った。約2名(内1名は教育プログラムの中心生徒)の落第者が出るかもしれないと。
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