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第8章~アウリスの大森林~
第59話 エルフ~確かにエルフをアールの世界に送り込んだことはある~
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私がアウリスの大森林に帯同することが決まってから5日後、私たちはアウリスの大森林の入り口に着いていた。
「ここがアウリスの大森林。その入り入り口だ」
ガルシアさんが私に向かってそう言うが、私はそんなことよりもアウリスの大森林の木々を見て圧倒されていた。樹齢はどれほど経っているのだろう。アウリスの大森林を構成する木々一本一本が馬鹿みたいにデカい。その高さもそうだが幹の太さが両手を広げた大人10人分くらいある。こんなに大きな樹、私の人生でも見たことがない。
「デッカーーーー!!」
私が馬鹿みたいに大きな声でそう言うと、私の隣にいたサジさんが耳を押さえながら怒鳴る。
「うるさーい!!」
「だってサジさん見てくださいよこの樹、こんなに大きな樹、私見たことがありません!ほら、ロレーヌも抱き着いてみなって!!」
そう言って私は大森林の木に向かって抱き着いてその大きさを体感しながら、ロレーヌに向かって手招きをする。
「そ、それじゃあわたくしも……」
私と同じように大森林の木々に圧倒されていたロレーヌも私に誘われるが
「姫様は止めてください」
とガルシアさんに止められてしまう。ちくしょう、せっかくロレーヌと手をつなげるチャンスだったのに。
「ルナちゃんの奇行はさておいて、馬車とアタシはここまでだね」
「ええ、近くの村で待機していてください」
私が奇行をしているその横で、ガルシアさんとサジさんが真面目な話をしている。そうか、流石にこの森は整地されていないため馬車では走れない。だからロレーヌも普段のドレス姿から動きやすい恰好に変わっているわけだ。だったら――
「ロレーヌ、はぐれないように手をつなごう」
「ルナ、私も流石に小さな子供ではないのですからそれは少し失礼ではありませんか?」
「ええ~良いんじゃん良いじゃん少しくらい」
「嫌です」
そう言ってぷっくりと頬を膨らませてそっぽを向くロレーヌ。ああロレーヌたんそんな子供っぽいところも可愛いよ。私がそんなロレーヌに見惚れていると
「ルナ、姫様をからかうのもその辺にしておけよ」
「ルナは私のことをからかっていたのですか?」
「そんなことないよ。大真面目に言ってたんだよ」
「それもそれで問題があるのだがな。まあそれは良いとしようサジ殿への話も終わったところだ、早速森に入ることにするぞ」
ガルシアさんの号令の下私たちはロレーヌを隊の中心に据えて大森林の中に入って行く。
「ところでガルシアさん。私はフードを被らなくても良いのですか?」
大森林の中とは言え一姫の奴がこの場所に来ていないとは限らない。一応聞いておくに越したことはないだろう
「その心配はないはずだ。なにせこのアウリスの大森林の中には人がいないことになっているのだからな。そんな場所にカズキ・フタバが来るはずもなかろう」
「言われてみればそうですね」
そう言って私は被りかけていたフードから手を離す。
そして小一時間ほど歩いたところで森の少し開けた場所に出た。そこには10名ほどのエルフの一団がおり、彼らは私たちを到着を確認すると、その中の一人が一歩前に出てくる。
「お持ちしており申したロレーヌ姫、儂がエルフの里の長ガーラントと申します」
エルフの長――ガーラントさんが恭しく一礼すると、その返礼をすべくロレーヌが私たちの前にでて行儀よく礼をする。
「出迎えご苦労様です。私がロレーヌ・マグナです」
「そうですか此度は遠方よりはるばるようこそいらっしゃいました。それではこちらへ」
そう言ってガーラントさんは森の更に奥へと私たちを案内しようとしたその時であった。
「おい、ちょっと待ってくれ」
エルフの一団の中にいた一人の青年が糾弾するように私に向かって指差す。
「なぜ大罪人のカズキ・フタバがここにいる!!」
突然の予想だにしない糾弾に私は戸惑い慌てふためく。なんでエルフが一姫のことを知っているの?まさか一姫の奴はこんなところまで来ていたの?だとすれば一体何をしでかしたの?様々な疑問が私の脳裏を過ぎ去って行き、私の口から出た言葉はいつものフレーズであった。
「あの、私の姉が何かしでかしましたか?」
「ここがアウリスの大森林。その入り入り口だ」
ガルシアさんが私に向かってそう言うが、私はそんなことよりもアウリスの大森林の木々を見て圧倒されていた。樹齢はどれほど経っているのだろう。アウリスの大森林を構成する木々一本一本が馬鹿みたいにデカい。その高さもそうだが幹の太さが両手を広げた大人10人分くらいある。こんなに大きな樹、私の人生でも見たことがない。
「デッカーーーー!!」
私が馬鹿みたいに大きな声でそう言うと、私の隣にいたサジさんが耳を押さえながら怒鳴る。
「うるさーい!!」
「だってサジさん見てくださいよこの樹、こんなに大きな樹、私見たことがありません!ほら、ロレーヌも抱き着いてみなって!!」
そう言って私は大森林の木に向かって抱き着いてその大きさを体感しながら、ロレーヌに向かって手招きをする。
「そ、それじゃあわたくしも……」
私と同じように大森林の木々に圧倒されていたロレーヌも私に誘われるが
「姫様は止めてください」
とガルシアさんに止められてしまう。ちくしょう、せっかくロレーヌと手をつなげるチャンスだったのに。
「ルナちゃんの奇行はさておいて、馬車とアタシはここまでだね」
「ええ、近くの村で待機していてください」
私が奇行をしているその横で、ガルシアさんとサジさんが真面目な話をしている。そうか、流石にこの森は整地されていないため馬車では走れない。だからロレーヌも普段のドレス姿から動きやすい恰好に変わっているわけだ。だったら――
「ロレーヌ、はぐれないように手をつなごう」
「ルナ、私も流石に小さな子供ではないのですからそれは少し失礼ではありませんか?」
「ええ~良いんじゃん良いじゃん少しくらい」
「嫌です」
そう言ってぷっくりと頬を膨らませてそっぽを向くロレーヌ。ああロレーヌたんそんな子供っぽいところも可愛いよ。私がそんなロレーヌに見惚れていると
「ルナ、姫様をからかうのもその辺にしておけよ」
「ルナは私のことをからかっていたのですか?」
「そんなことないよ。大真面目に言ってたんだよ」
「それもそれで問題があるのだがな。まあそれは良いとしようサジ殿への話も終わったところだ、早速森に入ることにするぞ」
ガルシアさんの号令の下私たちはロレーヌを隊の中心に据えて大森林の中に入って行く。
「ところでガルシアさん。私はフードを被らなくても良いのですか?」
大森林の中とは言え一姫の奴がこの場所に来ていないとは限らない。一応聞いておくに越したことはないだろう
「その心配はないはずだ。なにせこのアウリスの大森林の中には人がいないことになっているのだからな。そんな場所にカズキ・フタバが来るはずもなかろう」
「言われてみればそうですね」
そう言って私は被りかけていたフードから手を離す。
そして小一時間ほど歩いたところで森の少し開けた場所に出た。そこには10名ほどのエルフの一団がおり、彼らは私たちを到着を確認すると、その中の一人が一歩前に出てくる。
「お持ちしており申したロレーヌ姫、儂がエルフの里の長ガーラントと申します」
エルフの長――ガーラントさんが恭しく一礼すると、その返礼をすべくロレーヌが私たちの前にでて行儀よく礼をする。
「出迎えご苦労様です。私がロレーヌ・マグナです」
「そうですか此度は遠方よりはるばるようこそいらっしゃいました。それではこちらへ」
そう言ってガーラントさんは森の更に奥へと私たちを案内しようとしたその時であった。
「おい、ちょっと待ってくれ」
エルフの一団の中にいた一人の青年が糾弾するように私に向かって指差す。
「なぜ大罪人のカズキ・フタバがここにいる!!」
突然の予想だにしない糾弾に私は戸惑い慌てふためく。なんでエルフが一姫のことを知っているの?まさか一姫の奴はこんなところまで来ていたの?だとすれば一体何をしでかしたの?様々な疑問が私の脳裏を過ぎ去って行き、私の口から出た言葉はいつものフレーズであった。
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