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第6章~人を喰らう者~

第44話 異世界テンプレ3~あれ?これトラウマになってね?~

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「あれ~おっかしいな~」

 私はロレーヌから渡された地図とにらめっこしながらそう呟く。ロレーヌから渡された地図によるとこの辺に教会があるはずなのだが、そこはにあるのは露店ばかり、そんな場所に教会が建っているとも考え難い、つまり、

「迷子だな」

そうイーターが呟いた。だ、だだだだだ誰が迷子やねん!!

「迷子ちゃうわ!!」

「状況から言って間違いなく迷子だ。ここは潔く迷子であることを認めてそこらの露天商にでも道を訊くべきだと思うがな」

 イーターの言っていることに間違いはない。だからと言ってはいそうですかそうしましょうというのはなんか癪に障る。何か振って湧いたように異世界テンプレなイベントが起きてくれれば良いのだが……
 まあ、世の中そんなに甘くはないか、ここは潔く負けを認めて(何に?)そこにいる露天商のおっちゃんに道を訊くとしよう。

「わかった。そうする」

「うむ、是非そうしろ」

 イーターの奴が何か偉そうなのが癪に障るが、ここは我慢する。
 私は直近で商売している露天商のおっちゃんところまで行く。

「あの~すみません」

「へいらっしゃい!!」

 私に向かって営業スマイル全開で元気よく挨拶をする露天商のおっちゃん。しかし、申し訳ないが私は客などではない。

「ちょっと道をお伺いしたいのですが」

「へい何にしましょう」

「だから道を……」

「この辺の果物なんかどうでしょう?今朝収穫したばかりでどれも新鮮ですよ」

「だから、道を――」

「お嬢さん可愛いから特別に割引してあげるよ」

 だめだ会話にならない、それとも訊きたいことがあるなら何か買ってから訊けと言外に言っているのだろうか。

「すみませんが、私文無しなんですよね」

「んだよ、それを早く言いなよ。無駄な時間を過ごしちまったじゃねぇか」

 態度を急変させる露天商のおっちゃんに、私はカチンときたがここは我慢。

「道を訊きたいのですが」

「客でもねぇ奴に親切にする必要はねぇ、他を当たるんだな」

 ほう、そうくるか、なれば私にも考えがある。

「だったらこっちも下手に出る必要はないね、道を教えてくれるまでここから動かないよ!!」

「なんだとこの野郎!!」

「野郎じゃないわ、このすっとこどっこい!!」

「憲兵に突き出すぞこのアマ!!」

「へっへん!やれるもんならやってみやがれってんだ!!」

 そう言って露天商のおっちゃんと睨み合う私、そんな私にイーターは呆れているのか何も言わない。すると、

「やめてください!!」

と、どこからか横槍が入る。私と露天商のおっちゃんは「ああん!!」と揃って声のした方を見てみると私たちのいる場所から数メートルほど離れた場所で、一人の修道服を着た女性が3人のいかにもガラの悪そうな男たちに絡まれていた。どうやらあのシスターさんは私たちに向かって「やめてください」と言ったのではなさそうだ。

「くそ、ボサノバ一家の奴らがまたシスターに絡んでやがる」

「ボサノバ一家?」

「ここらの悪どもを取り仕切っているいけすかねぇ奴らだよ」

 そう吐き捨てるようにいう露天商のおっちゃん。どうやら奴らは嫌われ者らしい、ならば――
 私はシスターを取り囲む悪漢どもに向かって疾走する。

「あっ、おい!!」

 露天商のおっちゃんが私を呼び留めようとするがそれは無視、私は走りながら悪漢どもに向かって怒鳴りつける。

「おい、そこのボンクラども!!」

「ああん!?」

 悪漢どもがこちらを向いたその瞬間、私はその中の一人に向かって跳躍し、膝蹴りを顔面に喰らわせる。

「ぷげ!」

 私の飛び膝蹴りは悪漢Aにクリーンヒット、悪漢Aはそのまま沈黙、それを横目で確認しつつ私は次の標的悪漢Bに目標を定め、直地すると同時に悪漢Bの腹に向かって廻し蹴りを放つ、

「ぐえ!」

放たれた廻し蹴りは悪漢Bに見事に決まり、悪漢B数メートルほど吹っ飛ばされ残るは悪漢Cのみ、

「な、なんだ手め――」

 言わせる前に私は悪漢Cに頭にハイキックを決め、悪漢Cは膝から崩れ落ち、そこで私は決め台詞を言い放つ。

「お怪我はありませんかお嬢さん」

 決まった。それも完璧に。これ以上のない程の正義のヒロインの登場シーンだ。私の完璧な登場にシスターは呆気にとられたような顔をして、ややあってからハッと我に返り、

「あ、はい。ありがとうございます」

とお礼をする。すると一部始終を見ていた露天商の人たちが私のもとまで駆け寄ってくる。

「おいおい、すげぇな嬢ちゃん」

「久々にスカッとしたよ」

「この野郎どもの顔見たかよ、傑作もんだったぜ」

 駆け寄ってきた露天商の人たちは口々に私の行動を賞賛する。どうやらこいつらは相当嫌われているみたいだ。そんな露天商の人たち賞賛に私は応えつつ、私はシスターに話しかける。

「シスターさん、ちょっと聞きたいことがあるのですが、よろしいですか?」

「はい、何でしょう」

「教会の場所を伺いたいのですが」

「それならちょうど買い物も済ませたところですので、私と一緒に行きましょう」

 よく見るとシスターは買い物袋を両手に抱えていた。なるほど、ここで買い物をしていたところをあのゴロツキどもに絡まれたのか。

「それはよかった。それじゃあ行きましょうか」

 こうして私はシスターと一緒に目的地出である教会に向かうこととなった。
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