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はじまり編
不思議な出会い
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広い海、そして大きな山々。
言ってしまえば、それ以外は特に目立つ点はない何気ない町「貝鈴町(かいりんちょう)」。全てはこの場所から始まる。
「行ってきまーす!」
赤い屋根の一軒家から、髪をポニーテールにした少女が元気にドアを開けて出てきた。
彼女の名前は甘縫未羽(あまぬいみう)。地元の中学校に通う、中学1年生だ。
未羽は家から飛び出ると、猛ダッシュで道を走っていった。別に遅刻しそうなわけではないのに。全く、元気な子だよ。
未羽は20分ほどで学校についた。
「いや~走った走った」
と言いながら、下駄箱に靴を入れながらタオルで汗を拭き、自分のクラスへと歩く。
…さすがに廊下は走らないあたり、ちゃんと常識がある子だな。
「イェーイ!今日も1番乗り!」
誰もいないからか、未羽はカバンを思いっきり机に置き、1人ではしゃぎだした。
「やっぱり一番に教室につくと、1日が気分良く過ごせる気がしてくるよね~」
「相変わらずお前は元気だな」
「あっ!」
未羽が声のした方を見ると、そこには幼馴染の早生創真(わせそうま)がいた。
美羽と創真は小学生の頃から何度も同じクラスになっていて、お互いのことは全て知っているくらいの仲だ。
「そういう創真も早く学校に着いてるじゃん!」
「別に早く着くのがダメとは言っていないぞ」
「まあいいや、創真も早く準備すれば?」
美羽と創真が教室に着いてから数十分後、いつも通りクラスメイトが次々と登校してきた。
そしていつものように、仲の良いクラスメイトたちが未羽の机を囲むように集まった。
「おはよう未羽!」
「おはよう!」
「今日も1番に着いての?」
「うん!創真も早かったよ」
「なんでいつも1番に来るの?未羽の家って、学校から割と距離あるから大変じゃん」
「なんかさ、1番に学校に着くと気持ちがいいんだよ」
「変なの」
「まあ未羽が楽しいならそれでいいけど」
未羽は窓から見える外の景色に目を動かした。
未羽の席は窓側の列にある。
この学校では最初の席は窓側から出席番号順に並んでいくことに決まっており、未羽は名字があからはじまるので当然窓側の席になった。
しかし窓からの眺めが良かったのと、南からの日差しがとても気持ちよかったので、5月の席替えのときも窓側の席を選んだらしい。
「教室の窓から外を眺めると、どうしてこんなに心地よくなるんだろうね…?」
「たしかに。小学校ときの眺めも良かったけど、中学校のほうが海に近いから尚更そう感じるよね」
「私もなんかそれわかるわ~」
そんな会話をしていたときだった。
「何…あれ?」
未羽が空を眺めていると、空を赤い光が流れていくのを目撃した。
「どうしたの未羽?」
「ほら見てみんな!空を…」
しかしクラスメイトたちが見る頃には、赤い光は消えていた。
「空がどうしたの?」
「赤い何かが空を流れていたんだよ、本当に」
「こんな時間に流れ星?」
「ありえない」
「未羽、あんた寝ぼけてたんじゃないの?」
「そんなことないよ!私はいつもの6時には起きてるよ!」
「それ問いに対する答えになっていない気がするけど…」
「とにかく本当に見たんだって!」
「未羽、疲れて幻覚でも見えたんじゃない?」
すると未羽は、勢いよく席を立った。
「未羽!?」
「他にも見た人がいないか、別のクラスに聞いてくる」
「ちょっ、もうすぐ朝の会始まるよ!」
止めようとするクラスメイトの声を無視し、未羽は教室を出ていった。
未羽は自分のクラス以外の全てのクラスを全て回ったが、赤い光を見た生徒は一人もいなかった。
ならばと2、3年生のクラスも全て回ったが、それでも赤い光の目撃者はいなかった。
「あの光を見たのは私だけってこと…?たしかにすぐに消えたけど、私しか見てないってのもなんかおかしい気がする…」
ここまで他に目撃者がいなかったら、私なら確実に諦めているところだが。
「そうだ!外にいた人なら見た人がいるかも!」
ここで諦らめないのが甘縫未羽という女である。
急いで階段を降り、下駄箱に向かった。
「外に誰かいたらいいんだけど…」
そう言いながら下駄箱に到着し、靴を取り出そうとしたときだった。
出入り口の先に、見知らぬ男の子が立ってた。
「えっ……、誰?」
歳は未羽と同じくらい、おそらく中学生であろう。
服装は黒のパーカーにベージュのズボンを着用していた。
(見たことない顔。制服も着ていないし、ここの学校の生徒じゃないよね。ってことは転入生?でも今月に転入生が来るなんて聞いたことないし…)
そんなことを未羽が思っていると、視線に気づいたのか男の子は未羽のいる方に首を動かした。
(やばっ、目が合っちゃった…)
すると。
「ねぇ、君」
男の子は、未羽に話しかけてきた。
言ってしまえば、それ以外は特に目立つ点はない何気ない町「貝鈴町(かいりんちょう)」。全てはこの場所から始まる。
「行ってきまーす!」
赤い屋根の一軒家から、髪をポニーテールにした少女が元気にドアを開けて出てきた。
彼女の名前は甘縫未羽(あまぬいみう)。地元の中学校に通う、中学1年生だ。
未羽は家から飛び出ると、猛ダッシュで道を走っていった。別に遅刻しそうなわけではないのに。全く、元気な子だよ。
未羽は20分ほどで学校についた。
「いや~走った走った」
と言いながら、下駄箱に靴を入れながらタオルで汗を拭き、自分のクラスへと歩く。
…さすがに廊下は走らないあたり、ちゃんと常識がある子だな。
「イェーイ!今日も1番乗り!」
誰もいないからか、未羽はカバンを思いっきり机に置き、1人ではしゃぎだした。
「やっぱり一番に教室につくと、1日が気分良く過ごせる気がしてくるよね~」
「相変わらずお前は元気だな」
「あっ!」
未羽が声のした方を見ると、そこには幼馴染の早生創真(わせそうま)がいた。
美羽と創真は小学生の頃から何度も同じクラスになっていて、お互いのことは全て知っているくらいの仲だ。
「そういう創真も早く学校に着いてるじゃん!」
「別に早く着くのがダメとは言っていないぞ」
「まあいいや、創真も早く準備すれば?」
美羽と創真が教室に着いてから数十分後、いつも通りクラスメイトが次々と登校してきた。
そしていつものように、仲の良いクラスメイトたちが未羽の机を囲むように集まった。
「おはよう未羽!」
「おはよう!」
「今日も1番に着いての?」
「うん!創真も早かったよ」
「なんでいつも1番に来るの?未羽の家って、学校から割と距離あるから大変じゃん」
「なんかさ、1番に学校に着くと気持ちがいいんだよ」
「変なの」
「まあ未羽が楽しいならそれでいいけど」
未羽は窓から見える外の景色に目を動かした。
未羽の席は窓側の列にある。
この学校では最初の席は窓側から出席番号順に並んでいくことに決まっており、未羽は名字があからはじまるので当然窓側の席になった。
しかし窓からの眺めが良かったのと、南からの日差しがとても気持ちよかったので、5月の席替えのときも窓側の席を選んだらしい。
「教室の窓から外を眺めると、どうしてこんなに心地よくなるんだろうね…?」
「たしかに。小学校ときの眺めも良かったけど、中学校のほうが海に近いから尚更そう感じるよね」
「私もなんかそれわかるわ~」
そんな会話をしていたときだった。
「何…あれ?」
未羽が空を眺めていると、空を赤い光が流れていくのを目撃した。
「どうしたの未羽?」
「ほら見てみんな!空を…」
しかしクラスメイトたちが見る頃には、赤い光は消えていた。
「空がどうしたの?」
「赤い何かが空を流れていたんだよ、本当に」
「こんな時間に流れ星?」
「ありえない」
「未羽、あんた寝ぼけてたんじゃないの?」
「そんなことないよ!私はいつもの6時には起きてるよ!」
「それ問いに対する答えになっていない気がするけど…」
「とにかく本当に見たんだって!」
「未羽、疲れて幻覚でも見えたんじゃない?」
すると未羽は、勢いよく席を立った。
「未羽!?」
「他にも見た人がいないか、別のクラスに聞いてくる」
「ちょっ、もうすぐ朝の会始まるよ!」
止めようとするクラスメイトの声を無視し、未羽は教室を出ていった。
未羽は自分のクラス以外の全てのクラスを全て回ったが、赤い光を見た生徒は一人もいなかった。
ならばと2、3年生のクラスも全て回ったが、それでも赤い光の目撃者はいなかった。
「あの光を見たのは私だけってこと…?たしかにすぐに消えたけど、私しか見てないってのもなんかおかしい気がする…」
ここまで他に目撃者がいなかったら、私なら確実に諦めているところだが。
「そうだ!外にいた人なら見た人がいるかも!」
ここで諦らめないのが甘縫未羽という女である。
急いで階段を降り、下駄箱に向かった。
「外に誰かいたらいいんだけど…」
そう言いながら下駄箱に到着し、靴を取り出そうとしたときだった。
出入り口の先に、見知らぬ男の子が立ってた。
「えっ……、誰?」
歳は未羽と同じくらい、おそらく中学生であろう。
服装は黒のパーカーにベージュのズボンを着用していた。
(見たことない顔。制服も着ていないし、ここの学校の生徒じゃないよね。ってことは転入生?でも今月に転入生が来るなんて聞いたことないし…)
そんなことを未羽が思っていると、視線に気づいたのか男の子は未羽のいる方に首を動かした。
(やばっ、目が合っちゃった…)
すると。
「ねぇ、君」
男の子は、未羽に話しかけてきた。
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