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それぞれの御前試合
俺の婚約者は、落として上げる天才かもしれない。
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「ガーナー様、お久しぶりでございます。どうぞ中へ。」
マルグリット侯爵家のバトラーに出迎えられ、俺は室内に入った。
すぐにレイリアの姿を見つけて、立ち止まる。
「レイリア・・」
まず目に入るのは、夏場にはあまりそぐわない、漆黒のドレス。
その胸元にある、2つのバッジ。
なんてことだ・・!
まさかとは思ったが、これではまるで・・・
待て。勘違いかもしれない。
このままでは、都合良く解釈してしまう。
まずは検証しなくては・・!
気まずそうなレイリアに言葉をかける。
「君の姿を見つけて驚いて、思わず来てしまった。随分、久しぶりな気がするな・・」
目を合わせずに、小さく頷くレイリア。
「レイリア、今日は誰かと約束があったんじゃなかったのか?」
期待が高まり、思わず一歩、また一歩と近づいてしまう。
「もしかして、"約束"ってここで観覧することだったのか?最初から、観にくるつもりだった?」
長い沈黙の後、レイリアがようやく口を開いた。
「私は・・」
真っ直ぐにこちらを見据えてくる。
「私は、観たいものを観にきただけです。それの、何が悪いと言うのですか」
その口調は苛立ったようにも聞こえ、それが俺の解釈の真実味を増していた。
これは・・これはやはり・・・・!!
今や恒例の、ツンツンレイリアの照れ隠しでは!?
俺を応援する気満々で、俺の色を纏い、マルグリット侯爵令嬢とキャッキャ言いながらここから観戦してたの?
でも、恥ずかしくて俺に知られたくなくて、試合には来ない風を装った?
で、俺にバレちゃって、ちょっと開き直り気味にツンツンしてるの?
最後にレイリアに会った時以来、意気消沈気味だった俺の頭は一気に沸騰した。
もっと・・もっと確認したい!
この距離さえもどかしくて、早足でレイリアに近づき、愛おしさと共に抱きしめた。
「観に来たかったの?レイリア、俺のことを?」
「アマンド様、ちょっと苦し・・」
「観に来たかったんだね?」
「ん、はい」
やっぱり!最初からレイリアは来るつもりだった!
「アマンド様、苦しいです!」
「あ、すまない・・ハァ。レイリアが少し痩せた気がする・・ちゃんと食べてる?」
喜びに任せて、レイリアを堪能する。
少し腕も細くなっている気がする。
甘いものを食べさせねば。
「約束があるって言うから、てっきり来てくれないのかと思っていた・・最後に会った時も怒っていたし・・もう、怒ってない?」
「いや、怒ってはないですけど」
つまり、こないだ怒ってたっぽいあれは、フリだったということか。
・・素直じゃない!でもそこがいい!
「この試合のために練習でひと月も会えなくて・・ずっと会いたかった・・ハァ・・」
改めてレイリアを眺める。
俺の髪色と同じ、黒のドレス。
胸のバッジは2つ。王国騎士団と、王宮騎士団のものだが・・
王国騎士団の方のバッジが、売り物で見ていたものと少し図案が変わっていて、尋ねると「試作品の段階で作ったものなんですけど・・」とレイリアが手作りしたものだと判明。
応援グッズを手作りとか・・!抑えが効かなくて何度も抱きしめてしまう。
王宮騎士団のバッジも付いてはいたが、大方マルグリット侯爵家に対する義理バッジだろう。既製品だったしな。
この間プレゼントしたイヤリングは着けていなかったので、堪えきれなくて代わりにキスを贈ると、レイリアが立っていられなくなった。
レイリアを抱えてソファに座らせ、自分は腰を落として目線を合わせる。
体調は大丈夫だろうか。やはり少し痩せている。食事はとれているのか?
そんな心配をする俺に、レイリアが・・自分がここに来て迷惑ではないのか、と聞いてきた。
もしかして、レイリアがあんな前フリをして、ツンツンしていたのは、去年の俺の嘘も関係しているんじゃないか・・?
どちらにしても、去年のことをちゃんと話したいという俺の気持ちを伝えるチャンスだ。
「迷惑なわけがないだろう。レイリアに応援されるのが、一番嬉しいんだ ・・・御前試合が終わったら、去年のことをちゃんと話そう。レイリアに聞いて欲しいんだ」
自ずと、去年の俺の拗れた思いを話すことになるだろう。
レイリアに呆れられてしまうかもしれない。
不甲斐ない自分を知られるのは怖い。
でも、もうこんな思いは2度としたくない。
頷くレイリアに安堵すると、これまでの反動からか、レイリアと離れがたくなってしまって。
レイリアの方から触って欲しくて、時間の許す限り強請りに強請った。
もっと居たかったが、途中で気づく。
そうだ・・もしかしたらアレが来てるかもしれない・・!確認せねば!
マルグリット侯爵家のバトラーに出迎えられ、俺は室内に入った。
すぐにレイリアの姿を見つけて、立ち止まる。
「レイリア・・」
まず目に入るのは、夏場にはあまりそぐわない、漆黒のドレス。
その胸元にある、2つのバッジ。
なんてことだ・・!
まさかとは思ったが、これではまるで・・・
待て。勘違いかもしれない。
このままでは、都合良く解釈してしまう。
まずは検証しなくては・・!
気まずそうなレイリアに言葉をかける。
「君の姿を見つけて驚いて、思わず来てしまった。随分、久しぶりな気がするな・・」
目を合わせずに、小さく頷くレイリア。
「レイリア、今日は誰かと約束があったんじゃなかったのか?」
期待が高まり、思わず一歩、また一歩と近づいてしまう。
「もしかして、"約束"ってここで観覧することだったのか?最初から、観にくるつもりだった?」
長い沈黙の後、レイリアがようやく口を開いた。
「私は・・」
真っ直ぐにこちらを見据えてくる。
「私は、観たいものを観にきただけです。それの、何が悪いと言うのですか」
その口調は苛立ったようにも聞こえ、それが俺の解釈の真実味を増していた。
これは・・これはやはり・・・・!!
今や恒例の、ツンツンレイリアの照れ隠しでは!?
俺を応援する気満々で、俺の色を纏い、マルグリット侯爵令嬢とキャッキャ言いながらここから観戦してたの?
でも、恥ずかしくて俺に知られたくなくて、試合には来ない風を装った?
で、俺にバレちゃって、ちょっと開き直り気味にツンツンしてるの?
最後にレイリアに会った時以来、意気消沈気味だった俺の頭は一気に沸騰した。
もっと・・もっと確認したい!
この距離さえもどかしくて、早足でレイリアに近づき、愛おしさと共に抱きしめた。
「観に来たかったの?レイリア、俺のことを?」
「アマンド様、ちょっと苦し・・」
「観に来たかったんだね?」
「ん、はい」
やっぱり!最初からレイリアは来るつもりだった!
「アマンド様、苦しいです!」
「あ、すまない・・ハァ。レイリアが少し痩せた気がする・・ちゃんと食べてる?」
喜びに任せて、レイリアを堪能する。
少し腕も細くなっている気がする。
甘いものを食べさせねば。
「約束があるって言うから、てっきり来てくれないのかと思っていた・・最後に会った時も怒っていたし・・もう、怒ってない?」
「いや、怒ってはないですけど」
つまり、こないだ怒ってたっぽいあれは、フリだったということか。
・・素直じゃない!でもそこがいい!
「この試合のために練習でひと月も会えなくて・・ずっと会いたかった・・ハァ・・」
改めてレイリアを眺める。
俺の髪色と同じ、黒のドレス。
胸のバッジは2つ。王国騎士団と、王宮騎士団のものだが・・
王国騎士団の方のバッジが、売り物で見ていたものと少し図案が変わっていて、尋ねると「試作品の段階で作ったものなんですけど・・」とレイリアが手作りしたものだと判明。
応援グッズを手作りとか・・!抑えが効かなくて何度も抱きしめてしまう。
王宮騎士団のバッジも付いてはいたが、大方マルグリット侯爵家に対する義理バッジだろう。既製品だったしな。
この間プレゼントしたイヤリングは着けていなかったので、堪えきれなくて代わりにキスを贈ると、レイリアが立っていられなくなった。
レイリアを抱えてソファに座らせ、自分は腰を落として目線を合わせる。
体調は大丈夫だろうか。やはり少し痩せている。食事はとれているのか?
そんな心配をする俺に、レイリアが・・自分がここに来て迷惑ではないのか、と聞いてきた。
もしかして、レイリアがあんな前フリをして、ツンツンしていたのは、去年の俺の嘘も関係しているんじゃないか・・?
どちらにしても、去年のことをちゃんと話したいという俺の気持ちを伝えるチャンスだ。
「迷惑なわけがないだろう。レイリアに応援されるのが、一番嬉しいんだ ・・・御前試合が終わったら、去年のことをちゃんと話そう。レイリアに聞いて欲しいんだ」
自ずと、去年の俺の拗れた思いを話すことになるだろう。
レイリアに呆れられてしまうかもしれない。
不甲斐ない自分を知られるのは怖い。
でも、もうこんな思いは2度としたくない。
頷くレイリアに安堵すると、これまでの反動からか、レイリアと離れがたくなってしまって。
レイリアの方から触って欲しくて、時間の許す限り強請りに強請った。
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