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それぞれの夏
これを機に夢を叶えようと思う。
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夏編の『来てはいけない場所に来てしまったのかもしれません』『恋はするものではなく落ちるもの』のアマンドサイドです。
*****************************************
プラージュでのランチの後、再び馬車に乗る。
「この後はどこに参りますの?」
「実は既に予約しているところがあって…そこでもいいか?」
俺には、いつか叶えたい夢があった。
子供の頃、街で見かけたケトルピーラットとレイリアがリンクしたその時から、俺の中でケトルピーラットは特別な存在だ。
いつか、レイリアとケトルピーラットを共演させたい。
今度の日曜は、その夢を叶える絶好のチャンスだ。
問題は、どのようにケトルピーラットを調達するか。
相手は生き物だ。
購入するのは容易いが、たかが俺の夢のために買うなど許されない。
かといって、元々ペットなどとは無縁の生活を送ってきた俺だ。
誰かが飼っているケトルピーラットを借りて、万が一何かあったら申し訳が立たない。
さてどうしたものかと考えていた俺は、勤務で街を見回っている際にある看板を見つけた。
「・・・『ケトピカフェ♡プイプイ』?」
店の外には数人並んでいて、人気店らしい。
一緒に見回っていた騎士仲間のゼノが、俺のつぶやきを聞いて説明してくれる。
「お堅いお前は知らないだろ。最近こういう店が流行ってるんだよ。カフェなんだけど、ケトルピーラットがいてよ。ケトルピーラットを見るだけじゃなくて、追加料金払えば自分のところのテーブルで抱っこしたり、撫でたりできるんだ。動物好きの女の子とか大喜びよ。」
俺は思わず空を見上げた。
天啓来たり・・!
「予約は必要か?」
「え・・アマンド、まさかの興味アリ!?」
驚くゼノに詳しく仕組みを聞こうとしたが、それなら今予約してこいと強く勧められた。
店に入り、まっすぐカウンターに向かう。
「いらっしゃいませ。」
「予約をしたいのだが」
「承知致しました。それでは日時ですが・・」
日曜は予約がないと入れないらしく、希望の時間帯は2枠しか残っていなかった。
危ないところだった。ゼノに感謝だ。
「それでは日曜の午後2時からの2時間をお取りしました。ケトルピーラットの予約はいかがされますか?」
「それは予約しないとだめなのか?」
「どの子でもよければ予約は不要ですが、お好きな子がいらっしゃるなら予約をお勧めしております。こちらイラストですが、ご参考までにどうぞ」
渡されたカタログをペラペラめくる。
レイリアとケトルピーラットの共演さえ見られれば、別にどれでも・・と思っていたが、あるケトルピーラットのページで指が止まる。
このオレンジの毛並み・・!
説明書きでは、この店の5番人気らしい。
チャームポイントのところに、『お店一番の食いしん坊!美味しそうに目を細めて食べる姿が最高にキュート!』と書いてある。
「ニンジンちゃんで頼む。」
「承知致しました。一緒にセットパックはいかがですか?」
メニュー表に載っているセットパックは全部で5種類あるようだ。
「オススメを教えてくれ」
「そうですね・・用途にもよりますが、オススメはこちらのケトピちゃん大満足セットになります。餌とおもちゃ、ブラシの3点セットで、ケトピを堪能するだけでなく、恋人とイチャイチャできるとカップルから大人気で」
「ケトピちゃん大満足セットを頼む。」
「ご予約ありがとうございます。」
そんな経緯で、今日、とうとうレイリアを『ケトピカフェ♡プイプイ』に連れてくることができた。
レイリアにドリンクの注文を聞いている間も、楽しみすぎてワクワクが止まらない。
待望の瞬間。
「はいお待たせしましたー!ニンジンちゃんです!」
「ニンジンちゃん・・!」
一気にレイリアの頬が上気する。
夢にまで見た、レイリアとケトルピーラット ニンジンちゃんの共演!
くぅ・・!なんって可愛いんだ!!
俺のレイリアが、ケトルピーラットを愛でている・・!
「アマンド様は、ケトルピーラットが好きなんですか?」
「大好きだ」
大好きに決まってるだろう、レイリアだぞ?
ちょっと俺の情緒が混乱しているのは自覚している。
冷静になれ、俺。
「かわいいっ!アマンド様、見てください!」
大はしゃぎで喜ぶレイリア。
セットについていたおもちゃやブラシは、2人が協力して行うものが多い。
例えばブラッシングでは、俺がニンジンちゃんを両手にのせて、レイリアがブラッシングするので自然と距離が近づく。
あの時、大満足セットを予約した自分を褒めてやりたい。
あっという間に2時間が経過し、名残惜しいものの会計へ向かう。
「こちらお釣りでございます。お客様、会員カードはいかがされますか?」
「会員カード?」
「はい。ご利用に応じたポイントをお付けして、ポイント数によって会員限定のサービスがお受けになれます。また、隔月でお好きなケトルピーラットの飼育記録をお送りしております。」
「作ろう。」
レイリアとの話題作りに最適だ。
「ありがとうございます。飼育記録はどのケトピちゃんにいたしますか?」
「ニンジンちゃんで。」
「かしこまりました」
カフェを去ろうとして物販コーナーが目に入る。
そこには色とりどりのケトルピーラットのぬいぐるみ。
思わず、レイリアに似た色のぬいぐるみを探してしまう。
自分が持つわけにはいかないが、レイリアには今日の思い出に持っていてほしい。
俺は大満足でその店を後にしたのだった。
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プラージュでのランチの後、再び馬車に乗る。
「この後はどこに参りますの?」
「実は既に予約しているところがあって…そこでもいいか?」
俺には、いつか叶えたい夢があった。
子供の頃、街で見かけたケトルピーラットとレイリアがリンクしたその時から、俺の中でケトルピーラットは特別な存在だ。
いつか、レイリアとケトルピーラットを共演させたい。
今度の日曜は、その夢を叶える絶好のチャンスだ。
問題は、どのようにケトルピーラットを調達するか。
相手は生き物だ。
購入するのは容易いが、たかが俺の夢のために買うなど許されない。
かといって、元々ペットなどとは無縁の生活を送ってきた俺だ。
誰かが飼っているケトルピーラットを借りて、万が一何かあったら申し訳が立たない。
さてどうしたものかと考えていた俺は、勤務で街を見回っている際にある看板を見つけた。
「・・・『ケトピカフェ♡プイプイ』?」
店の外には数人並んでいて、人気店らしい。
一緒に見回っていた騎士仲間のゼノが、俺のつぶやきを聞いて説明してくれる。
「お堅いお前は知らないだろ。最近こういう店が流行ってるんだよ。カフェなんだけど、ケトルピーラットがいてよ。ケトルピーラットを見るだけじゃなくて、追加料金払えば自分のところのテーブルで抱っこしたり、撫でたりできるんだ。動物好きの女の子とか大喜びよ。」
俺は思わず空を見上げた。
天啓来たり・・!
「予約は必要か?」
「え・・アマンド、まさかの興味アリ!?」
驚くゼノに詳しく仕組みを聞こうとしたが、それなら今予約してこいと強く勧められた。
店に入り、まっすぐカウンターに向かう。
「いらっしゃいませ。」
「予約をしたいのだが」
「承知致しました。それでは日時ですが・・」
日曜は予約がないと入れないらしく、希望の時間帯は2枠しか残っていなかった。
危ないところだった。ゼノに感謝だ。
「それでは日曜の午後2時からの2時間をお取りしました。ケトルピーラットの予約はいかがされますか?」
「それは予約しないとだめなのか?」
「どの子でもよければ予約は不要ですが、お好きな子がいらっしゃるなら予約をお勧めしております。こちらイラストですが、ご参考までにどうぞ」
渡されたカタログをペラペラめくる。
レイリアとケトルピーラットの共演さえ見られれば、別にどれでも・・と思っていたが、あるケトルピーラットのページで指が止まる。
このオレンジの毛並み・・!
説明書きでは、この店の5番人気らしい。
チャームポイントのところに、『お店一番の食いしん坊!美味しそうに目を細めて食べる姿が最高にキュート!』と書いてある。
「ニンジンちゃんで頼む。」
「承知致しました。一緒にセットパックはいかがですか?」
メニュー表に載っているセットパックは全部で5種類あるようだ。
「オススメを教えてくれ」
「そうですね・・用途にもよりますが、オススメはこちらのケトピちゃん大満足セットになります。餌とおもちゃ、ブラシの3点セットで、ケトピを堪能するだけでなく、恋人とイチャイチャできるとカップルから大人気で」
「ケトピちゃん大満足セットを頼む。」
「ご予約ありがとうございます。」
そんな経緯で、今日、とうとうレイリアを『ケトピカフェ♡プイプイ』に連れてくることができた。
レイリアにドリンクの注文を聞いている間も、楽しみすぎてワクワクが止まらない。
待望の瞬間。
「はいお待たせしましたー!ニンジンちゃんです!」
「ニンジンちゃん・・!」
一気にレイリアの頬が上気する。
夢にまで見た、レイリアとケトルピーラット ニンジンちゃんの共演!
くぅ・・!なんって可愛いんだ!!
俺のレイリアが、ケトルピーラットを愛でている・・!
「アマンド様は、ケトルピーラットが好きなんですか?」
「大好きだ」
大好きに決まってるだろう、レイリアだぞ?
ちょっと俺の情緒が混乱しているのは自覚している。
冷静になれ、俺。
「かわいいっ!アマンド様、見てください!」
大はしゃぎで喜ぶレイリア。
セットについていたおもちゃやブラシは、2人が協力して行うものが多い。
例えばブラッシングでは、俺がニンジンちゃんを両手にのせて、レイリアがブラッシングするので自然と距離が近づく。
あの時、大満足セットを予約した自分を褒めてやりたい。
あっという間に2時間が経過し、名残惜しいものの会計へ向かう。
「こちらお釣りでございます。お客様、会員カードはいかがされますか?」
「会員カード?」
「はい。ご利用に応じたポイントをお付けして、ポイント数によって会員限定のサービスがお受けになれます。また、隔月でお好きなケトルピーラットの飼育記録をお送りしております。」
「作ろう。」
レイリアとの話題作りに最適だ。
「ありがとうございます。飼育記録はどのケトピちゃんにいたしますか?」
「ニンジンちゃんで。」
「かしこまりました」
カフェを去ろうとして物販コーナーが目に入る。
そこには色とりどりのケトルピーラットのぬいぐるみ。
思わず、レイリアに似た色のぬいぐるみを探してしまう。
自分が持つわけにはいかないが、レイリアには今日の思い出に持っていてほしい。
俺は大満足でその店を後にしたのだった。
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