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それぞれの夏
垢抜けた婚約者
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夏編の『婚約者にお披露目します。』『馬車で追及されてます』『婚約者の遠回しな意図を読み取ります。』のアマンドサイドになります。レイリアが騎士団に突撃して一緒にランチをした次の日曜のお話。
*******************************
待ちかねた日曜。
今日はレイリアと街へ出かけるつもりだ。
同僚たちからの情報収集も済ませている。
出迎えたディセンシア家の執事、セバスチャンに、まず尋ねた。
「カインは居るか?」
「カイン坊ちゃまですか?ただいま自室にいらっしゃいますが」
「そうか。先にカインと話したいんだが、呼んでもらえるか」
”ロイ”の正体についてはグルトにも探ってもらっているが、一刻も早く確認するにはカインに尋ねるのが一番だろう。
レイリアにロイとかいう男に引き合わせた意図も、確認しておく必要がある。
そんなやり取りをしていると
「お待たせいたしました、アマンド様」
カーテンシーをして現れたレイリアを見て驚いた。
急に垢抜けて、少女から淑女になったレイリアがそこにいた。
いつもは肌を隠すレイリアが、首も鎖骨も広く開いたワンピースを着ている。
淡い色合いの、柄のないシンプルな服を好んで着ていたのに、細かくはあるが草花のような柄、何よりその色が新緑のような綺麗な緑で目を奪う。
令嬢たちがよく着ているような、流行の衣服とはまたちょっと違うが、センスの良さと上品さを感じるそのワンピースはレイリアによく似合っていた。
服装も、髪型も洗練されている。
街中で会ったなら、この髪色を見てもレイリアだと信じられなかったかもしれない。
引き寄せられるようにレイリアに近づいていた。
「レイリア・・その格好は・・」
「アマンド様との待ち侘びたデッ、デートですから、気合を入れてお洒落してまいりましたのよ?」
俺のために・・!
照れ隠しにまたツンツンしているレイリアだが、”デート”と言う際に照れが隠せず噛んでしまっている。
外見は変わっても、そんなところに普段のレイリアが垣間見えて愛おしい。
愛おしくて嬉しくて、そのまま抱きしめてしまいたい気持ちになる。
だが、一方で、頭の中から俺を制する声がする。
『おいアマンド、ちょっと待て。落ち着いて考えるんだ。この着飾り様、本当に俺だけのためか?』
ロイと言う名が頭をよぎる。
なぜ急に服の趣味が変わったのか。
なぜ、いつもは選ばない緑の色を選んだのか。
これは確認する必要がある。
すぐにでも問いただしたいが、ここでは逃げられる可能性がある。
尋問する場合は、逃げられない状況に追い込んでから、が鉄則だ。
よし、早く馬車へ。
俺はレイリアの背を押しながら、馬車へと誘導した。
それにしても今日のレイリアは本当に綺麗だ。
あえて清楚な感じでまとめているのがまたいい。
本当に、ただ俺のためだけにこの格好をしてくれているのであれば・・・
「い、いつまで見てるおつもりですか」
見過ぎだったらしく、レイリアから窘められてしまった。
実際、いつまででも見ていられる。
しかし、馬車も出発しているし、確認を済まさなければ。
「…ひとつ確認だが、それは誰が選んだんだ?」
ワンピースを選んだのはレイリアの側付きのキーラというメイドだと言う。
選んだのはロイではない。
まずは安堵する。
では、このワンピースを買ったのがロイなのか?
俺が何度か購入者を確認していると、ようやくレイリアが返答した。
「わ、私が…私が自分で買いましたっ!」
声が上ずっている。
これは怪しい。
「何か、俺に言っておくべきことがあるなら、今言ってくれるか?」
レイリアは何かに気づいたかのようにハッとした。
「す、すみません!これには理由がありまして!」
やはり何かあったのか・・・
「・・・聞こう」
彼女の口から語られたのは、実はそのワンピースは古服であり、側仕えのメイドと共に買いに行った時に気に入って購入したとのことだった。
つまり・・・このワンピースに関しては、ロイは絡んでない。
セーフだ!
レイリアは、正真正銘、俺のためにこんなにお洒落をしてきてくれた!
そのレイリアの気持ちに、誠意を持って応えよう。
普段は令嬢のお洒落になど全く興味のない俺だが、なぜかレイリアに関しては湯水のように褒め言葉が湧き出てくる。
俺はその後、レイリアを愛でながら、ありったけの想いを込めてレイリアのお洒落について、感想を述べていったのだった。
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待ちかねた日曜。
今日はレイリアと街へ出かけるつもりだ。
同僚たちからの情報収集も済ませている。
出迎えたディセンシア家の執事、セバスチャンに、まず尋ねた。
「カインは居るか?」
「カイン坊ちゃまですか?ただいま自室にいらっしゃいますが」
「そうか。先にカインと話したいんだが、呼んでもらえるか」
”ロイ”の正体についてはグルトにも探ってもらっているが、一刻も早く確認するにはカインに尋ねるのが一番だろう。
レイリアにロイとかいう男に引き合わせた意図も、確認しておく必要がある。
そんなやり取りをしていると
「お待たせいたしました、アマンド様」
カーテンシーをして現れたレイリアを見て驚いた。
急に垢抜けて、少女から淑女になったレイリアがそこにいた。
いつもは肌を隠すレイリアが、首も鎖骨も広く開いたワンピースを着ている。
淡い色合いの、柄のないシンプルな服を好んで着ていたのに、細かくはあるが草花のような柄、何よりその色が新緑のような綺麗な緑で目を奪う。
令嬢たちがよく着ているような、流行の衣服とはまたちょっと違うが、センスの良さと上品さを感じるそのワンピースはレイリアによく似合っていた。
服装も、髪型も洗練されている。
街中で会ったなら、この髪色を見てもレイリアだと信じられなかったかもしれない。
引き寄せられるようにレイリアに近づいていた。
「レイリア・・その格好は・・」
「アマンド様との待ち侘びたデッ、デートですから、気合を入れてお洒落してまいりましたのよ?」
俺のために・・!
照れ隠しにまたツンツンしているレイリアだが、”デート”と言う際に照れが隠せず噛んでしまっている。
外見は変わっても、そんなところに普段のレイリアが垣間見えて愛おしい。
愛おしくて嬉しくて、そのまま抱きしめてしまいたい気持ちになる。
だが、一方で、頭の中から俺を制する声がする。
『おいアマンド、ちょっと待て。落ち着いて考えるんだ。この着飾り様、本当に俺だけのためか?』
ロイと言う名が頭をよぎる。
なぜ急に服の趣味が変わったのか。
なぜ、いつもは選ばない緑の色を選んだのか。
これは確認する必要がある。
すぐにでも問いただしたいが、ここでは逃げられる可能性がある。
尋問する場合は、逃げられない状況に追い込んでから、が鉄則だ。
よし、早く馬車へ。
俺はレイリアの背を押しながら、馬車へと誘導した。
それにしても今日のレイリアは本当に綺麗だ。
あえて清楚な感じでまとめているのがまたいい。
本当に、ただ俺のためだけにこの格好をしてくれているのであれば・・・
「い、いつまで見てるおつもりですか」
見過ぎだったらしく、レイリアから窘められてしまった。
実際、いつまででも見ていられる。
しかし、馬車も出発しているし、確認を済まさなければ。
「…ひとつ確認だが、それは誰が選んだんだ?」
ワンピースを選んだのはレイリアの側付きのキーラというメイドだと言う。
選んだのはロイではない。
まずは安堵する。
では、このワンピースを買ったのがロイなのか?
俺が何度か購入者を確認していると、ようやくレイリアが返答した。
「わ、私が…私が自分で買いましたっ!」
声が上ずっている。
これは怪しい。
「何か、俺に言っておくべきことがあるなら、今言ってくれるか?」
レイリアは何かに気づいたかのようにハッとした。
「す、すみません!これには理由がありまして!」
やはり何かあったのか・・・
「・・・聞こう」
彼女の口から語られたのは、実はそのワンピースは古服であり、側仕えのメイドと共に買いに行った時に気に入って購入したとのことだった。
つまり・・・このワンピースに関しては、ロイは絡んでない。
セーフだ!
レイリアは、正真正銘、俺のためにこんなにお洒落をしてきてくれた!
そのレイリアの気持ちに、誠意を持って応えよう。
普段は令嬢のお洒落になど全く興味のない俺だが、なぜかレイリアに関しては湯水のように褒め言葉が湧き出てくる。
俺はその後、レイリアを愛でながら、ありったけの想いを込めてレイリアのお洒落について、感想を述べていったのだった。
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