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突然の訪問
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「妃殿下、明日の公務でございますが…」
執務室で文官から明日の予定について説明を受ける。窓の外は真っ暗で、いい加減リリアナも空腹を感じていた。
明日は午後から公務で出かけなければならないが、午前中は予定もなく自室で過ごして良いようだ。
王太子妃となり2ヶ月、半日とは言え、ここに来て初めてのお休みとなる。
説明も終わり、リリアナは文官達を労い自室へ戻った。
「ヒルラ、今日はワインを準備してもらえる?」
「畏まりました。リリアナ様のお好きなイチゴとチーズもお持ちいたしますわ」
窮屈なドレスを脱いで、湯浴みをする。
濡羽色の巻き髪は、湯浴みから戻ると真っ直ぐのストレートヘアに変わり、素顔は年齢よりもやや幼く見える。
やや童顔の自分の顔が、王太子妃としてはデメリットだと自覚しているリリアナは、年齢よりも少し上に見えるよう、不自然にならない程度に濃いめのメイクを施していた。
少しでも王太子妃としての威厳や貫禄を身に付けたくて始めたメイクではあったが、今ではこのメイクが王太子妃になるスイッチになっている。
メイクを脱ぎ、部屋着へ着替える。今日の部屋着は、ニーハイ丈の白いモコモコワンピースで、同じくモコモコのパステルピンクのロングソックスをダボっと合わせた。
なかなかこの国では見かけないこのモコモコの部屋着は、他国の若い娘達の間で流行っているらしく、数年前にお土産でもらって出会った。王太子の婚約者としておいそれと外出も出来ず、自室で過ごすことの多かったリリアナは、可愛い部屋着に夢中になった。肌触りの良いシルクのパジャマより、モコモコの部屋着の方がぬいぐるみに包まれているみたいで安心した。
以降、自室で過ごす間はお気に入りの部屋着で好き勝手に過ごすのがリリアナのオフモードとなった。
ベッドサイドには既にヒルラが白ワイン他を準備してくれていた。リリアナはベッドにうつ伏せになって、白ワイン片手に今日の会議の資料に目を通し出した。お行儀が悪いのは100も承知だが、自分の時間は好きに過ごさせてもらう。明日は半日とはいえ、久々の休みだ。少し夜更かししてゆっくり寝よう…
人の騒めくような声が聞こえた気がして意識が浮上した。
あれ…私寝てた…?
騒めきは徐々に近づいているようだ。
「ん…」
リリアナはぼんやりと目を開いた。
「今、何時?」
時計を見るとまだ30分ほどしか経っていない。その時、バンっとドアを開ける音がした。
続けて「妃殿下はすでにお休みにございます!王太子様!」とヒルラの声。
王太子様がこちらに?!
ヒルラの声は寝室のドアのすぐ外から聞こえる。そこまで来ている!
退かないと不敬罪にする、という王太子の声が聞こえ、直後ヒルラの悲鳴が聞こえた。
「ヒルラッ!」
リリアナは思わず駆け出した。
執務室で文官から明日の予定について説明を受ける。窓の外は真っ暗で、いい加減リリアナも空腹を感じていた。
明日は午後から公務で出かけなければならないが、午前中は予定もなく自室で過ごして良いようだ。
王太子妃となり2ヶ月、半日とは言え、ここに来て初めてのお休みとなる。
説明も終わり、リリアナは文官達を労い自室へ戻った。
「ヒルラ、今日はワインを準備してもらえる?」
「畏まりました。リリアナ様のお好きなイチゴとチーズもお持ちいたしますわ」
窮屈なドレスを脱いで、湯浴みをする。
濡羽色の巻き髪は、湯浴みから戻ると真っ直ぐのストレートヘアに変わり、素顔は年齢よりもやや幼く見える。
やや童顔の自分の顔が、王太子妃としてはデメリットだと自覚しているリリアナは、年齢よりも少し上に見えるよう、不自然にならない程度に濃いめのメイクを施していた。
少しでも王太子妃としての威厳や貫禄を身に付けたくて始めたメイクではあったが、今ではこのメイクが王太子妃になるスイッチになっている。
メイクを脱ぎ、部屋着へ着替える。今日の部屋着は、ニーハイ丈の白いモコモコワンピースで、同じくモコモコのパステルピンクのロングソックスをダボっと合わせた。
なかなかこの国では見かけないこのモコモコの部屋着は、他国の若い娘達の間で流行っているらしく、数年前にお土産でもらって出会った。王太子の婚約者としておいそれと外出も出来ず、自室で過ごすことの多かったリリアナは、可愛い部屋着に夢中になった。肌触りの良いシルクのパジャマより、モコモコの部屋着の方がぬいぐるみに包まれているみたいで安心した。
以降、自室で過ごす間はお気に入りの部屋着で好き勝手に過ごすのがリリアナのオフモードとなった。
ベッドサイドには既にヒルラが白ワイン他を準備してくれていた。リリアナはベッドにうつ伏せになって、白ワイン片手に今日の会議の資料に目を通し出した。お行儀が悪いのは100も承知だが、自分の時間は好きに過ごさせてもらう。明日は半日とはいえ、久々の休みだ。少し夜更かししてゆっくり寝よう…
人の騒めくような声が聞こえた気がして意識が浮上した。
あれ…私寝てた…?
騒めきは徐々に近づいているようだ。
「ん…」
リリアナはぼんやりと目を開いた。
「今、何時?」
時計を見るとまだ30分ほどしか経っていない。その時、バンっとドアを開ける音がした。
続けて「妃殿下はすでにお休みにございます!王太子様!」とヒルラの声。
王太子様がこちらに?!
ヒルラの声は寝室のドアのすぐ外から聞こえる。そこまで来ている!
退かないと不敬罪にする、という王太子の声が聞こえ、直後ヒルラの悲鳴が聞こえた。
「ヒルラッ!」
リリアナは思わず駆け出した。
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