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3話 運命の憂鬱
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自分の部屋から全く知らない真っ白な空間に呼び寄せられた僕は今、僕を呼び寄せた張本人である少年の出したお茶を前に困惑している。
「あれ?紅茶嫌いだった?」
少年が僕に問いかける。
僕は「違います」と喋ろうとしたけど声がでない。
あたふたしながら手振りで伝えようとすると少年は察しながら、
「あぁ、そうだよね上手く喋れないんだよねごめんね。」と言って席についた。
僕はこの言葉に疑問を持った。
僕が喋れなくなることを知っているのは僕だけだ。
父には手振りとかジェスチャーで誤魔化してきたことなので知っているはずもなかった。
そう考えていると、
「ワシは君の思考が読み取れるんだよ。
だから分かったんだ。」そう言った。
どうやら、本当のようだった。
そして、僕は心の中で聞いてみた。
(ここはどこですか?貴方は何者なんですか?)
「ん?ここはね時間や空間、はたまたこの世界からも隔絶された空間で虚無とも言われてる場所だよ。」
「本当はもっと素敵な場所で会いたかったんだけどワシってここの世界の管轄じゃないからこんな場所を使うしかなかったんだ。」
(虚無?管轄?世界?)
僕の頭が疑問で満たされているのを察したのか少年は話を続けた。
「ワシって実は世界を見守る存在なんだよね。」
(神様ってことですか?)
「正確には違うけどそんな感じ。」
「そして、ワシ以外にもそう言う奴等がいてそれぞれが見守る世界の管轄と権利を持ってる。」
(権利?)
「さっき紹介するときに言ったがワシは運命の権利を持ってる。」
「世界に起こるあらゆる事象に干渉出来るって訳なんだ。」
「これは見守る存在一人一人持っている権利でみんな違うんだよ。」
(そうなんですか。)
僕が心のなかで納得していると
少年がばつの悪そうな顔をしながら
「やっぱり、口で喋らないと何か変だねぇ...しょーがない。」そう言うといきなり指をパチンとならした。
「!?ビックリしたぁ何するんです...か?」
「おっ!?やっぱりその方が良いよ絶対。」
急に声が出せるようになって驚いていると少年が話してくれた。
「君の運命に少し干渉させてもらって喋れなくなるトラウマを少し和らげてあげたんだ。」
「本当は全部治してあげたいんだけどそうするとこの世界に設定された運命とか試練に干渉しちゃうからね...ってどうしたの!?」
僕は喋れた嬉しさから涙を流していた。
今まで誰にも伝えられず治すことも出来ずに受け入れるしかなかったからだ。
その姿を見ながら少年は
「そうだよね....嬉しいよね。」
そう言いながら僕に笑いかけた。
僕は涙を拭きながら少年に訪ねた。
「僕はどうしてここに来たんですか?」
すると、少年は思い出したように話し始めた。
「いけないいけない忘れるとこだった。」
「実はね今君のいる世界なんだけど...」
「このままだと破滅しちゃうんだ。」
「......え?」
「実はこの世界を見守るはずの奴があろうことか権利の力を使ってこの世界の流れを破滅の道に書き換えちゃったんだ。」
「そいつは捉えられたんだけど書き換えられた流れは変えることが出来なくて...」
「それじゃあ、僕のいる世界は破滅してしまうんですか?」
「そうさせないために君を呼んだんだ。」
「実は世界の流れが書き換えられてもどうやら君だけはその影響をあまり受けていないみたいなんだよね。」
「ほらっその証拠に君って支配とかそういうこと嫌いでしょ?」
「だから、君にこの破滅する未来の世界を救って欲しいんだ。」
「けど、決まっている未来なら変えられないんじゃないんですか?」
神様のような存在でも直せないものを僕が直せるとは思えなかった。
「それが、出来るんだよ。」
「破滅の未来って言ったけど正確には分岐する筈の未来が破滅の道に書き換えられちゃった結果、世界が破滅することになっちゃったわけでその分岐する未来さえ変えてしまえば破滅は起きなくさせることが出来るんだ。」
「けど、具体的にどうやれば?」
「先ずは君のいるバルザス帝国変えてみることを始めよう。」
「そうすれば一つ目の破滅する未来は防げるはずだから」
「でも...僕にそんな力なんて...」
「大丈夫。その為に君に三つの加護を用意してあるから」
「加護ですか?」
「そう!その加護が君を助けてくれる。」
「だけど...この提案は断ることも出来る。」
「えっ?」
「元々、こうなったのはワシらのせいだからね本当ならワシらで解決しなきゃいけないのを君にすべて押し付けて頼ろうとしてる。」
「無責任な行動だって自覚しているよ。」
「だけど、ワシらの勝手な行動でこの世界を滅ぼしたくないんだ...だから」
「お願いします...この世界を救ってください。」そう言うと少年は深々と頭を下げた。
僕はその姿を見て少し考えた。
これからのことや今の現状についても...
でも答えは決まっていた。
僕の夢...僕はただ「普通に生きたい」
こんな僕に何が出来るか分からないけど....
僕は僕の夢を叶えるためにこの世界を救う
「分かりました...やってみます。」
僕はそう答えた。
気弱な僕が破滅に向かう世界を救う
僕の夢を叶えるために....
続く
「あれ?紅茶嫌いだった?」
少年が僕に問いかける。
僕は「違います」と喋ろうとしたけど声がでない。
あたふたしながら手振りで伝えようとすると少年は察しながら、
「あぁ、そうだよね上手く喋れないんだよねごめんね。」と言って席についた。
僕はこの言葉に疑問を持った。
僕が喋れなくなることを知っているのは僕だけだ。
父には手振りとかジェスチャーで誤魔化してきたことなので知っているはずもなかった。
そう考えていると、
「ワシは君の思考が読み取れるんだよ。
だから分かったんだ。」そう言った。
どうやら、本当のようだった。
そして、僕は心の中で聞いてみた。
(ここはどこですか?貴方は何者なんですか?)
「ん?ここはね時間や空間、はたまたこの世界からも隔絶された空間で虚無とも言われてる場所だよ。」
「本当はもっと素敵な場所で会いたかったんだけどワシってここの世界の管轄じゃないからこんな場所を使うしかなかったんだ。」
(虚無?管轄?世界?)
僕の頭が疑問で満たされているのを察したのか少年は話を続けた。
「ワシって実は世界を見守る存在なんだよね。」
(神様ってことですか?)
「正確には違うけどそんな感じ。」
「そして、ワシ以外にもそう言う奴等がいてそれぞれが見守る世界の管轄と権利を持ってる。」
(権利?)
「さっき紹介するときに言ったがワシは運命の権利を持ってる。」
「世界に起こるあらゆる事象に干渉出来るって訳なんだ。」
「これは見守る存在一人一人持っている権利でみんな違うんだよ。」
(そうなんですか。)
僕が心のなかで納得していると
少年がばつの悪そうな顔をしながら
「やっぱり、口で喋らないと何か変だねぇ...しょーがない。」そう言うといきなり指をパチンとならした。
「!?ビックリしたぁ何するんです...か?」
「おっ!?やっぱりその方が良いよ絶対。」
急に声が出せるようになって驚いていると少年が話してくれた。
「君の運命に少し干渉させてもらって喋れなくなるトラウマを少し和らげてあげたんだ。」
「本当は全部治してあげたいんだけどそうするとこの世界に設定された運命とか試練に干渉しちゃうからね...ってどうしたの!?」
僕は喋れた嬉しさから涙を流していた。
今まで誰にも伝えられず治すことも出来ずに受け入れるしかなかったからだ。
その姿を見ながら少年は
「そうだよね....嬉しいよね。」
そう言いながら僕に笑いかけた。
僕は涙を拭きながら少年に訪ねた。
「僕はどうしてここに来たんですか?」
すると、少年は思い出したように話し始めた。
「いけないいけない忘れるとこだった。」
「実はね今君のいる世界なんだけど...」
「このままだと破滅しちゃうんだ。」
「......え?」
「実はこの世界を見守るはずの奴があろうことか権利の力を使ってこの世界の流れを破滅の道に書き換えちゃったんだ。」
「そいつは捉えられたんだけど書き換えられた流れは変えることが出来なくて...」
「それじゃあ、僕のいる世界は破滅してしまうんですか?」
「そうさせないために君を呼んだんだ。」
「実は世界の流れが書き換えられてもどうやら君だけはその影響をあまり受けていないみたいなんだよね。」
「ほらっその証拠に君って支配とかそういうこと嫌いでしょ?」
「だから、君にこの破滅する未来の世界を救って欲しいんだ。」
「けど、決まっている未来なら変えられないんじゃないんですか?」
神様のような存在でも直せないものを僕が直せるとは思えなかった。
「それが、出来るんだよ。」
「破滅の未来って言ったけど正確には分岐する筈の未来が破滅の道に書き換えられちゃった結果、世界が破滅することになっちゃったわけでその分岐する未来さえ変えてしまえば破滅は起きなくさせることが出来るんだ。」
「けど、具体的にどうやれば?」
「先ずは君のいるバルザス帝国変えてみることを始めよう。」
「そうすれば一つ目の破滅する未来は防げるはずだから」
「でも...僕にそんな力なんて...」
「大丈夫。その為に君に三つの加護を用意してあるから」
「加護ですか?」
「そう!その加護が君を助けてくれる。」
「だけど...この提案は断ることも出来る。」
「えっ?」
「元々、こうなったのはワシらのせいだからね本当ならワシらで解決しなきゃいけないのを君にすべて押し付けて頼ろうとしてる。」
「無責任な行動だって自覚しているよ。」
「だけど、ワシらの勝手な行動でこの世界を滅ぼしたくないんだ...だから」
「お願いします...この世界を救ってください。」そう言うと少年は深々と頭を下げた。
僕はその姿を見て少し考えた。
これからのことや今の現状についても...
でも答えは決まっていた。
僕の夢...僕はただ「普通に生きたい」
こんな僕に何が出来るか分からないけど....
僕は僕の夢を叶えるためにこの世界を救う
「分かりました...やってみます。」
僕はそう答えた。
気弱な僕が破滅に向かう世界を救う
僕の夢を叶えるために....
続く
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