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第一章 陰謀はいつでもすぐそばに
2.隣の芝生も同じ色
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昔から、生きるという行為に向いていなかった。
同級生とは話が合わないし、両親はろくに家に帰っても来ず、たまに帰ったかと思えば目すら合わせてくれない。
頭もいいし、顔が特別悪いわけでもない。運動こそ苦手だが、地道な筋トレである程度の体力は確保した。他と比べてそう劣る部分はないはずだ。
だが、人生は上手くいかない。
どうしてここまで世界は不条理なのか。歴史を学び政治を知り、一つの違和感に気づいてしまった。
世界には何度か唱えられながらも、何故か浸透せず揉み消されていく理論がある。
有名な科学者、政治家、王族。
歴史にその名を残す人々がその存在を認めても、ニュースにすらならずあろうことか『陰謀論者』というレッテルを貼られ嘲笑される。
全ては誰かの掌の上。
彼らや自分は、その事実に気づいた聡明な人々なのだ。
「ちょっと!良い加減に起きなさいよ!セナ!セナ・アスハ!」
微睡を突き刺す甲高い声。眉間に皺を寄せて目を開いた先にいたのは、見慣れない少女だった。
とんでもない美人だが、一体全体どうしたのだろうか。寝ている間にギャルゲーの世界にでも転移してしまったか。
「ここは……一体?」
「リバタリアの本部よ。魔法にびっくりしたのか知らないけど突然貴方が気を失うから、私がここまで頑張って連れてきたの。感謝しなさいよ~、あそこで寝てたら今頃貴方断頭台の上だったわよ?魔物による襲撃の責任を全部押し付けられてね。」
声で気づいたが、どうやらこの綺麗な翠の目をした美少女はアルルとかいうあの仮面の女と同一人物らしい。どうやら年齢の想定もあっていたらしく、不遜な態度で椅子に腰掛けるアルルはセナより幾らかうら若い。
そうだ、転移してしまったのはギャルゲーの世界ではない。地球同様、陰謀渦巻くろくでもない世界。
目を塞ぐ、いや抉り出したくなるほど絶望的な真実だが、どうにか生きなければならないのが人の定めだ。
セナが目を覚ましたその場所は、組織の名に相応しい豪奢な場所だった。商人ギルドや剣士ギルド。ギルドと名のつく組織はこの世界にも数あるが、ここはそれらの本部と似たような造りをしている。
二つある扉の小さい方は隣室、大きい方を開けば恐らく大広間にでも繋がっているのだろう。セナが寝転ぶ小さなベッドと、アルルの座る椅子。後は机と手頃なサイズの衣装棚しかないとなるとここは客人やギルドメンバーが一泊する用の仮宿のような場所だろうか。
環境はある程度理解した。だが状況はまだだ。
「さっきの話……本当なのか。」
「どの話か知らないけど、どれであろうと本当よ。まさか異世界でも同じことが起こってるだなんてこっちも驚いたわ。近頃話題の異世界人、奴らの最重要監視対象とは聞いてたけどまさかここまで重要人物だとは。」
「監視対象?俺、こっちでも監視されてたのか!?」
「勿論。異世界人なんて珍しい者、奴らは放っておかないわ。」
地球ではいついかなる時でも監視されていた。街を歩けば皆がスマホを向けてくるし、一日に何度も同じ人間とすれ違う。
怒鳴りつけると一旦どこかへ行くが、また別の人間が工作員として現れ、同じアパートにも何人かの工作員が潜んでいた。啓蒙活動に勤しんでみたが、その数は減ることもなく寧ろ増える一方で日々嘆いたものである。
だがこちらの世界に来てからはそんなこともなかったはず……と考えたところで、セナは気づく。
この世界にはそもそもスマホがない。日本と比べても街が狭いせいで同じ人間とすれ違うことに違和感を覚えていなかったが、深夜は流石に別なはずだ。
生まれた疑念を補強するように、アルルが似顔絵の書かれた一枚の紙を懐から取り出す。
「この顔に見覚えはない?」
「それは……あの酒場の店主だよな。無口な人だったけど仕事熱心でいつも酒場に居た!」
「こいつの正体はアベリア王国の騎士。今も尚アベリアの騎士団名簿に名が刻まれてる。所属部隊は西方防衛隊。ここ数年目立った活動をしていない、ハリボテ部隊よ。」
「騎士?どうして騎士が酒場の店主なんかを。」
「異世界の話とはいえ、国民に気づかれてはならない事実を全部知ってる貴方が現れたからよ。思い出してみなさい?貴方がこの街に来てすぐパイを投げつけてきた店主はこんな顔だったかしら?」
アベリア領内の林で目を覚まし、言語もわからないままたどり着いた酒場。就活用のスーツを身にまとい、どう見ても異質な存在だったセナは極めて正当な迫害を受けた。
訳の分からない言語で訳の分からないことを言う自称異世界人に対し、店主は相当激怒していたが今考えてみれば確かに顔が違う。セナにパイを投げつけた店主はロン毛の胡散臭い男だったが、セナに酒を注いでくれた店主は短髪の凛々しい男だ。
「店主だけじゃないわ。あそこの酒場にはもうずっと一般市民が訪れてない。貴方の与太話、いや全ての確信を突いた超機密事項を聞いて笑っていたのは全部組織側の人間よ。」
「嘘だろ……。そ、その組織ってのは何なんだよ!フリーメイソンか!?ロスチャイルドか!?」
「それらが何かは知らないけど、多分似たようなものよ。ここアベリアを初めとした世界中の王族や軍事組織、大規模ギルドの長等が名を連ねていて、『全能会議』なんて呼ばれてるわ。」
「全能会議……。」
実に驕り高ぶった名前だが、自由な石工達よりは実に秘密結社らしい。
次々と湧いてくる真実というなの濁流に呑まれながらセナがゆっくりと身を起こすと、ふと一つのことを思い出す。
「そういえば全部の会話は聞かれてるって言ってなかったか。こんな話していたら、また魔物が襲ってくるんじゃ。」
「その辺は大丈夫よ。何てったってこの私がいるもの。会話が盗聴されてることに気づいたのは他でもないこの私。酒場はともかく、私の本拠地でそんな真似はさせないわ。そうだ、聞いてみる?」
アルルがない胸を張りながら、棚の上に置かれていた旧式の電話のようなものを手に取る。丁度受話器のように棒の上下にスピーカーらしき物体がついたそれの片方をアルルは自分の耳、もう片方をセナの耳に当てる。
寸前まで近づくアルルの顔に緊張したのも束の間、受話器からは雑多な音声が聞こえ始めた。
『お母さ~ん!今日の朝ごはん何~!?』
『またあのアルルとかいう魔女が暴れたらしい。今度は例の異世界人が連れ去られたそうだ。やはり監視などせずに息の根を止めておくべきだった。』
『よし、武器の準備は出来た。いよいよ強盗に入るぞ。お前ら!俺らの人生は今日変わる!』
老若男女。数百、いや数千の声が混じり合い、セナの思考回路が混線する。
「【通信】っていう魔法があってね。本来は『魔法の使用者同士で距離に関係なく音声会話を行える』っていう代物なんだけど、この魔法の魔法式を見た瞬間に違和感を覚えたのよ。市販されてる【通信】の魔法式は変に冗長なの。その冗長な部分を省略して出来る限り簡潔にして使ってみたら、これ。」
「敢えて魔法の効果を制限してるってことか……?」
「正解。流石は二年で異世界に馴染んだ天才ね。本来の【通信】は周辺の音声を広く盗聴する魔法。そこに人数の制限を敢えて付与してから、広く世間に公開してるの。」
「なんでわざわざそんなことを?黙って使ってた方が得なんじゃ。」
「私達みたいな魔女は常に新たな魔法を探してるから、日々魔法式を書いて使える魔法が生まれないか試してるのよ。だから全部隠しておくより、敢えて公開して『この魔法式はこういう効果です』って触れ込んだ方が存在を隠せるの。既存の魔法式に興味を抱く魔女なんていないから。」
魔女はこの世界に割と当たり前に存在している。数こそ少ないが、干ばつの際に雨を降らしたり病気の人を治療したり。魔法式という複雑な言語に近いものを組み上げて人々を救う彼女達は、この世界でもトップクラスにファンタジーな存在だ。
魔法の使用には適正がいるとかで諦めたが、セナ自身異世界人として魔女に憧れた時期もある。
しかし、地球では与太話と一蹴されてきた巨大組織による秘密裏な盗聴が実在した。と、いうことはだ。セナの目は色を変えていく。
「他に。他に全能会議はどんなことをしてるんだ!?」
「酒場の件みたく、一般市民に騎士などを紛れ込ませての秘密監視。新聞などを利用した偽情報の流布。魔物を操っての襲撃と復興のマッチポンプ。この辺りはほぼ確実かしらね。」
「集団ストーカー!フェイクニュース!人工災害!」
凄まじい。これは凄まじい事態だ!この世界は地球同様腐り切っている!それも魔法などを活用してより高度に!
いつしかセナはベッドから転げ落ち、自慢げに仁王立ちするアルルの生脚を仰いでいた。
「私達リバタリアはそれらに抗う為に秘密裏な活動を続けてるの。普段はこうやって一般的な釣り人ギルドに擬態してね。魔女に政治家、騎士に一般市民。まだ協力者は少ないけど目覚めてる人達は徐々に増え続けてる。」
「抗うって、どうやって……。」
セナもただ掌の上で踊っていたわけではない。元の世界では街頭演説をしたり、SNSを使って訴えかけたり、座り込みを行ったり。ありとあらゆる活動を重ねてきた。
だが、どれも警察などに妨害され、市民からは頭のおかしい陰謀論者と馬鹿にされてきた。
陰謀を、支配を、ヒエラルキーを覆す難しさはよく分かっている。
「どうって、純粋な武力革命よ。リバタリアにいるのは皆賢く強い人々。私は妨害してくる勢力を蹴散らせるし、貴方がいればより多くの陰謀を暴くことが出来る。セナ、私達と共に全てを暴きましょう。陰謀を叩き潰せるのは、私たちだけなんだから。」
自分の頭脳が、ここでならば活かせるかもしれない。自分はただ操られる愚者とは違う。
差し伸べられたアルルの細い手を握ることは、セナにとって造作もないことだった。
同級生とは話が合わないし、両親はろくに家に帰っても来ず、たまに帰ったかと思えば目すら合わせてくれない。
頭もいいし、顔が特別悪いわけでもない。運動こそ苦手だが、地道な筋トレである程度の体力は確保した。他と比べてそう劣る部分はないはずだ。
だが、人生は上手くいかない。
どうしてここまで世界は不条理なのか。歴史を学び政治を知り、一つの違和感に気づいてしまった。
世界には何度か唱えられながらも、何故か浸透せず揉み消されていく理論がある。
有名な科学者、政治家、王族。
歴史にその名を残す人々がその存在を認めても、ニュースにすらならずあろうことか『陰謀論者』というレッテルを貼られ嘲笑される。
全ては誰かの掌の上。
彼らや自分は、その事実に気づいた聡明な人々なのだ。
「ちょっと!良い加減に起きなさいよ!セナ!セナ・アスハ!」
微睡を突き刺す甲高い声。眉間に皺を寄せて目を開いた先にいたのは、見慣れない少女だった。
とんでもない美人だが、一体全体どうしたのだろうか。寝ている間にギャルゲーの世界にでも転移してしまったか。
「ここは……一体?」
「リバタリアの本部よ。魔法にびっくりしたのか知らないけど突然貴方が気を失うから、私がここまで頑張って連れてきたの。感謝しなさいよ~、あそこで寝てたら今頃貴方断頭台の上だったわよ?魔物による襲撃の責任を全部押し付けられてね。」
声で気づいたが、どうやらこの綺麗な翠の目をした美少女はアルルとかいうあの仮面の女と同一人物らしい。どうやら年齢の想定もあっていたらしく、不遜な態度で椅子に腰掛けるアルルはセナより幾らかうら若い。
そうだ、転移してしまったのはギャルゲーの世界ではない。地球同様、陰謀渦巻くろくでもない世界。
目を塞ぐ、いや抉り出したくなるほど絶望的な真実だが、どうにか生きなければならないのが人の定めだ。
セナが目を覚ましたその場所は、組織の名に相応しい豪奢な場所だった。商人ギルドや剣士ギルド。ギルドと名のつく組織はこの世界にも数あるが、ここはそれらの本部と似たような造りをしている。
二つある扉の小さい方は隣室、大きい方を開けば恐らく大広間にでも繋がっているのだろう。セナが寝転ぶ小さなベッドと、アルルの座る椅子。後は机と手頃なサイズの衣装棚しかないとなるとここは客人やギルドメンバーが一泊する用の仮宿のような場所だろうか。
環境はある程度理解した。だが状況はまだだ。
「さっきの話……本当なのか。」
「どの話か知らないけど、どれであろうと本当よ。まさか異世界でも同じことが起こってるだなんてこっちも驚いたわ。近頃話題の異世界人、奴らの最重要監視対象とは聞いてたけどまさかここまで重要人物だとは。」
「監視対象?俺、こっちでも監視されてたのか!?」
「勿論。異世界人なんて珍しい者、奴らは放っておかないわ。」
地球ではいついかなる時でも監視されていた。街を歩けば皆がスマホを向けてくるし、一日に何度も同じ人間とすれ違う。
怒鳴りつけると一旦どこかへ行くが、また別の人間が工作員として現れ、同じアパートにも何人かの工作員が潜んでいた。啓蒙活動に勤しんでみたが、その数は減ることもなく寧ろ増える一方で日々嘆いたものである。
だがこちらの世界に来てからはそんなこともなかったはず……と考えたところで、セナは気づく。
この世界にはそもそもスマホがない。日本と比べても街が狭いせいで同じ人間とすれ違うことに違和感を覚えていなかったが、深夜は流石に別なはずだ。
生まれた疑念を補強するように、アルルが似顔絵の書かれた一枚の紙を懐から取り出す。
「この顔に見覚えはない?」
「それは……あの酒場の店主だよな。無口な人だったけど仕事熱心でいつも酒場に居た!」
「こいつの正体はアベリア王国の騎士。今も尚アベリアの騎士団名簿に名が刻まれてる。所属部隊は西方防衛隊。ここ数年目立った活動をしていない、ハリボテ部隊よ。」
「騎士?どうして騎士が酒場の店主なんかを。」
「異世界の話とはいえ、国民に気づかれてはならない事実を全部知ってる貴方が現れたからよ。思い出してみなさい?貴方がこの街に来てすぐパイを投げつけてきた店主はこんな顔だったかしら?」
アベリア領内の林で目を覚まし、言語もわからないままたどり着いた酒場。就活用のスーツを身にまとい、どう見ても異質な存在だったセナは極めて正当な迫害を受けた。
訳の分からない言語で訳の分からないことを言う自称異世界人に対し、店主は相当激怒していたが今考えてみれば確かに顔が違う。セナにパイを投げつけた店主はロン毛の胡散臭い男だったが、セナに酒を注いでくれた店主は短髪の凛々しい男だ。
「店主だけじゃないわ。あそこの酒場にはもうずっと一般市民が訪れてない。貴方の与太話、いや全ての確信を突いた超機密事項を聞いて笑っていたのは全部組織側の人間よ。」
「嘘だろ……。そ、その組織ってのは何なんだよ!フリーメイソンか!?ロスチャイルドか!?」
「それらが何かは知らないけど、多分似たようなものよ。ここアベリアを初めとした世界中の王族や軍事組織、大規模ギルドの長等が名を連ねていて、『全能会議』なんて呼ばれてるわ。」
「全能会議……。」
実に驕り高ぶった名前だが、自由な石工達よりは実に秘密結社らしい。
次々と湧いてくる真実というなの濁流に呑まれながらセナがゆっくりと身を起こすと、ふと一つのことを思い出す。
「そういえば全部の会話は聞かれてるって言ってなかったか。こんな話していたら、また魔物が襲ってくるんじゃ。」
「その辺は大丈夫よ。何てったってこの私がいるもの。会話が盗聴されてることに気づいたのは他でもないこの私。酒場はともかく、私の本拠地でそんな真似はさせないわ。そうだ、聞いてみる?」
アルルがない胸を張りながら、棚の上に置かれていた旧式の電話のようなものを手に取る。丁度受話器のように棒の上下にスピーカーらしき物体がついたそれの片方をアルルは自分の耳、もう片方をセナの耳に当てる。
寸前まで近づくアルルの顔に緊張したのも束の間、受話器からは雑多な音声が聞こえ始めた。
『お母さ~ん!今日の朝ごはん何~!?』
『またあのアルルとかいう魔女が暴れたらしい。今度は例の異世界人が連れ去られたそうだ。やはり監視などせずに息の根を止めておくべきだった。』
『よし、武器の準備は出来た。いよいよ強盗に入るぞ。お前ら!俺らの人生は今日変わる!』
老若男女。数百、いや数千の声が混じり合い、セナの思考回路が混線する。
「【通信】っていう魔法があってね。本来は『魔法の使用者同士で距離に関係なく音声会話を行える』っていう代物なんだけど、この魔法の魔法式を見た瞬間に違和感を覚えたのよ。市販されてる【通信】の魔法式は変に冗長なの。その冗長な部分を省略して出来る限り簡潔にして使ってみたら、これ。」
「敢えて魔法の効果を制限してるってことか……?」
「正解。流石は二年で異世界に馴染んだ天才ね。本来の【通信】は周辺の音声を広く盗聴する魔法。そこに人数の制限を敢えて付与してから、広く世間に公開してるの。」
「なんでわざわざそんなことを?黙って使ってた方が得なんじゃ。」
「私達みたいな魔女は常に新たな魔法を探してるから、日々魔法式を書いて使える魔法が生まれないか試してるのよ。だから全部隠しておくより、敢えて公開して『この魔法式はこういう効果です』って触れ込んだ方が存在を隠せるの。既存の魔法式に興味を抱く魔女なんていないから。」
魔女はこの世界に割と当たり前に存在している。数こそ少ないが、干ばつの際に雨を降らしたり病気の人を治療したり。魔法式という複雑な言語に近いものを組み上げて人々を救う彼女達は、この世界でもトップクラスにファンタジーな存在だ。
魔法の使用には適正がいるとかで諦めたが、セナ自身異世界人として魔女に憧れた時期もある。
しかし、地球では与太話と一蹴されてきた巨大組織による秘密裏な盗聴が実在した。と、いうことはだ。セナの目は色を変えていく。
「他に。他に全能会議はどんなことをしてるんだ!?」
「酒場の件みたく、一般市民に騎士などを紛れ込ませての秘密監視。新聞などを利用した偽情報の流布。魔物を操っての襲撃と復興のマッチポンプ。この辺りはほぼ確実かしらね。」
「集団ストーカー!フェイクニュース!人工災害!」
凄まじい。これは凄まじい事態だ!この世界は地球同様腐り切っている!それも魔法などを活用してより高度に!
いつしかセナはベッドから転げ落ち、自慢げに仁王立ちするアルルの生脚を仰いでいた。
「私達リバタリアはそれらに抗う為に秘密裏な活動を続けてるの。普段はこうやって一般的な釣り人ギルドに擬態してね。魔女に政治家、騎士に一般市民。まだ協力者は少ないけど目覚めてる人達は徐々に増え続けてる。」
「抗うって、どうやって……。」
セナもただ掌の上で踊っていたわけではない。元の世界では街頭演説をしたり、SNSを使って訴えかけたり、座り込みを行ったり。ありとあらゆる活動を重ねてきた。
だが、どれも警察などに妨害され、市民からは頭のおかしい陰謀論者と馬鹿にされてきた。
陰謀を、支配を、ヒエラルキーを覆す難しさはよく分かっている。
「どうって、純粋な武力革命よ。リバタリアにいるのは皆賢く強い人々。私は妨害してくる勢力を蹴散らせるし、貴方がいればより多くの陰謀を暴くことが出来る。セナ、私達と共に全てを暴きましょう。陰謀を叩き潰せるのは、私たちだけなんだから。」
自分の頭脳が、ここでならば活かせるかもしれない。自分はただ操られる愚者とは違う。
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