男の子は気持ちいいことが好き【2024年短編】

ゆめゆき

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ぼくのご主人様は青髭(童話パロ:青髭)

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 ぼくの住む村には、通称青髭と呼ばれる名士がいた。

 彼は村のはずれの大きな城に住み、潤沢な財産を持ち、それでいながら村人に避けられていた。

 恐ろしい噂があったのである。

 曰く、少年をさらい、その子を拷問にかけた挙げ句に殺害し、その血を飲み、死体をも弄んでいる変態的猟奇快楽殺人鬼であると。
 
 ぼくは話半分に聞いていた。

 彼に会ったことはなかったが、そんなことがあるのなら、警察が彼の城を調べるはずだ。

 ある時、彼の城で小間使いの少年を募集しているという張り紙が村の目抜通りに立て掛けられた。

 もちろん、噂におびえる村人たちは我が子を城に奉公に出すなんて、恐ろしくて出来やしない。

 しかし、親のいない孤児のぼくには渡りに船だった。

 ぼくは、村の雑用をこなして雀の涙ほどの賃金を貰い、その金でかびの生えたパンを買い、服は一年中同じぼろを着て、天井も壁も穴だらけのぼろ屋に住んで過ごしていた。

 物心ついた頃からすでにそんな暮らしだったのだ。

 そういうわけで、その提示された給金はあまりに魅力だったのである。

 ぼくは、こんなぼろを着た子供を入れてくれるだろうかと不安を持ちながらも、城の門を叩いた。

「あら、いらっしゃい」

 驚いたことに、中から扉を開けてくれたのはきれいで優しそうな女の人だった。

 青髭の妻だろうかとぼくは思った。とても、きれいな服を着ていたから。けれど、それはぼくが世間知らずだっただけで、彼女の着ている服は単なるメイド服だったのだが。

「あらあら…今、パンと温かいスープをあげるからそこで待ってらっしゃい」

 彼女はぼくを物乞いだと勘違いしたらしい。それで、ぼくは小間使いの仕事に応募するためにここに来たことを告げた。
 
「まあ!そうだったの…!」

 ぼくは城に招き入れられ、生まれて初めて風呂というものに入った。

 この城の使用人らしい男に、いくらこすっても垢が出てくる!なんて汚いんだ!と、罵られながら髪も、顔も、体も泡で洗われ、すっかりさわやかな気分になった。初めての感覚だった。

 新しい服も用意され、その肌触りのよさに驚きながら身につけた。

 そして、いよいよ青髭と対面した。

 最初にぼくを迎えてくれた女の人に手を引かれ、主人の部屋に案内される。

「さあ、ご挨拶なさい」

「あ…っ!こ、こ、こんにちはぁ…!」

 ろくに教育を受けていないぼくに、まともな挨拶など出来やしない。

 女の人は呆れたようだが、ドアの正面にある机の前に座った、まるで貴族のような風体の立派な男の人は微笑んだ。

「こんにちは」

 そう返してくれたのである。
 青髭と言うからには、青い色の髭をボーボーに生やした男だとばかり思っていたのだが、実際の彼は気品漂う美貌の持ち主だった。

 色の薄い金髪に、ミルク色の肌、聡明そうな切れ長の瞳は神秘的な紫色をしている。

 ぼくは陶然と見惚れた。

 それから、ぼくは住み込みでここで働けるようになった。

 と、言っても、軽い荷物を移動したり、台所で皿を拭くのを手伝ったりする程度だ。

 小間使いとは言うが、ほとんど行儀見習いのようなものだった。

 きちんとした言葉遣いや、振る舞いをしつけられ、読み書きを教わり、三食与えられ、夜は温かいベッドで眠った。

 ぼくは、かびの生えていない柔らかいパンや、温かいスープや、いろいろに調理された新鮮な肉や野菜を初めて食べた。

 読み書きの他にも、勉強は地理や歴史、数学などを青髭…ジル様から教わった。

 そうやって、ジル様に接する度にぼくは不思議に思った。

 どうして彼はこの姿を村人たちに見せないのだろう。

 この立派な姿を見せれば、誤解は解けるのに。

 ぼくは、いつの間にかジル様が大好きになっていた。

 そんなある日、ジル様が旅に行くことになった。

 これまでも、月に一度あることだったが、今回は一つ変わったことがあった。

 残される使用人たちの中で、ぼくにだけジル様があるものを預けてくれたのだ。

 三本の鍵だ。

「これは、書庫の鍵。君は本が好きだろう。自由に読んでいい。そして、これは、昔、私が使っていたおもちゃをしまっている部屋の鍵。もう、子供じゃない?君の年齢でも充分に楽しめるものだ。カードやボードゲーム…相手はメイドたちがしてくれる」

「ジル様、この小さな鍵は?」

「地下室の鍵だよ。だけど、この鍵だけは絶対に使ってはいけない。絶対にだ…約束だよ…」

 そう、言い残してジル様は、数人の身の回りのお世話をする使用人を同行して旅立った。

 ぼくはジル様に預かった鍵で部屋に入り、好きなだけ本を読み、カードゲームやボードゲームを他の使用人たちを相手に遊んで楽しんだ。

 だけど、そうやって過ごしながら、ぼくは好奇心が疼いて仕方がなかった。

 最後の小さな鍵のことだ。

 地下室への入り口は知っている。半地下の食糧庫の奥に格子戸があるのだ。覗き込むと、下り階段が見える。ただ、鍵が閉まっていて入れなかったのだ。

 どうして、使ってはいけない鍵をぼくに託したのか。そこには何があるのか。どんな部屋なのか。

 寝ても覚めても、地下室のことが頭から離れない。

 ある日、とうとうぼくは我慢出来ずに、ジル様との約束を破って、地下室の鍵を使った。

 鍵は滑らかに回り、かんたんに開いた。

 階段は暗い。蝋燭の乗った燭台が小さな台に置かれていたので、マッチを取りに行き、それで火をつけてドキドキしながらぼくは階段を下りていった。

 長い階段だ。ゆっくり、ゆっくりと、進む。

 何があるのか?もしかして、ぼくには見せられないすごく大事な宝物があるとか!それとも、気の狂った家族とか、誰かを閉じ込めているとか…。あるいは…青髭は本当に少年をさらって殺していて、その死体を隠しているとか。

 階段は進むにつれて、だんだん明るくなってきた。この先に明かりのついた部屋があるんだ。それに、声のようなものが途切れ途切れに聴こえてくる。誰がいるの?何のための部屋?

 ああ…眩しい…?

 階段の終わりは広い部屋へ続いていた。

 幾重にも重なる奇妙なうめき声。たくさんの乳白色の裸体。裸に剥いた少年たちを拷問しているのだろうか。

 明るさに慣れてきた目を凝らすと、何人もの若い男たちがピンク色の絨毯がひかれた床の上で、裸で抱き合っているのがわかった。

「な…なんなの…何をしているの…」

 ぼくには、何がなんだかさっぱりわからなかった。 

「鍵を使ったね」

 部屋の中央にジル様がいた。ジル様も何も身につけていなかった。

「もっと、君が成長してからと思っていたんだが。でも、だいぶ肉付きもよくなった…こっちに来なさい…」

「は、は…い…」

 ぼくは、床でへんな動きをしている男たちの間を抜けて、ジル様のもとへ向かった。

「ジ、ジル様…鍵を使ってしまって申し訳ありません…でも、どうして地下室にいらっしゃるのですか?旅に出たはずでは…あ…」

 ジル様が、もったいなくも、ぼくの頬や額、唇にキスをしながら言った。

「城の裏庭に、地下室に繋がる扉があるんだ」

「そこから、この地下室へ?で、でも…どうしてこんな奇妙なことを…」

「本をたくさん読むお前なら、もう知っているだろうと思ったが…大人たちがベッドの上で、体を休め、夢を見る以外にすることを。それが、とても甘美でたとえようもないほど人を夢中にさせることを。男どうしでもそういったことをすると」

 ぼくは頬がかあっと熱くなるのを感じた。
 物語の本を、特に恋愛小説を読むと、たびたび遭遇する描写のことだと思い当たったのだ。

 そんな描写に行き合う度に、ぼくは胸がドキドキして、股間が熱くなった。

「服を脱ぎなさい。ここではそうするんだ…」

 ぼくはジル様の言葉に従った。

「ああ…、きれいな肌だ…!初めて見た時は、ガリガリに痩せこけて、がさがさの肌をしていたのに…髪も傷んで…」

「あ…ジル様…あ…ん…」

 裸になったぼくの胸、首筋に手をはわせ、背骨の上をつうっと尾てい骨までなぞり、尻を撫で、揉みしだいた。ぞくっとする…。それは、不快なためでなく、体の奥底から沸き上がってくる官能だった。

「それが、今ではこんなに艶のあるしっとりとした肌に…ほどよく肉もついて…」

 ぼくはジル様に言われるがまま、絨毯の上に寝そべった。ふかふかで気持ちがいい。

「自慰をしたことは?」

「そ…それは…な、何度か…」

「いつから?」

「うんと…一ヶ月くらい前に…初めて…」

 ジル様はぼくにいろいろ訊ねながら、ぼくにキスをしてくれて、あちこちを撫でてくれる。

 嫌悪感などはない。高貴で美しいジル様に優しくされて幸せだ。

 唇や掌、指先でぼく自身も知らないぼくの肉体の敏感な場所を探られて、知らず知らずのうちに呼吸があがってくる。

「あ…はあ…はあ……」

 性器を握られて扱かれるのは、すごくへんな気分になった。自分でするより、もどかしく、それでいて比べ物にならないくらい気持ちいい。むしょうに抱きしめ合いたい。

 回りでへんな声を上げて抱き合って、体を擦りつけ合っている男たちの気持ちがわかった。ぼくもそうしたい…!

 でも、ジル様の許しなしにこちらから触れるのは失礼な気がした。

 そして、すぐにぼくは果てそうになった。

「あ…っ!や…で、出ちゃいます…あの、白いのが…っ…あぁ…っ」

「出していいよ」

「あ…う……!」

 ぼくはビクッと身を震わせて、何度かに分けてジル様の手に白いものを出してしまった。

「あ…あ…」

「どうだ?気持ちよかったか?」

「はい…とても…ああ…ジル様、あの…あの…」

「なんだ?」

「ジル様と…抱き合いたいです…」

「ああ」

 ジル様がぼくの上に体を重ねてきて、背中に手を回して抱きしめてくれた。

 熱い素肌が触れあう感触が信じられないくらい気持ちよくて、ぼくはぞくぞくした。ぼくもジル様に抱きつく。ジル様の重みが心地いい。

 すごく、すごく幸せで、気持ちいい。これが体を重ねるってことなんだ…。ぼくは感動した。

 ジル様が体を離して、ぼくの腰をまたぐように膝立ちになると、自分で自分のものを扱き、大きく硬くした。ぼくとは違う立派な性器に、直視するのを思わずたじろぐ。

 それから、ジル様はぼくの性器の先端に、自身のそれを押しつけるようにしてきた。

「ああ…っ!」

「ああー……いい…っ」

 たとえようもない気持ちよさに腰がぴくんと跳ねる。ジル様も同じなのか、深いため息をつき、声を上げた。

「ハア…気持ちいいだろう…」

「あ…うぅん…!気持ち…いいです…ンッ!あぁ…」

 ジル様は二人の性器を重ねて、扱きだした。

「あっ…あっ…!」

 気持ちよさに、勝手に腰がもじもじと動いてしまう。

「ああ…いやらしい子だ…」

「あっ…あぁ…っ!ごめんなさ…あぁん…」

「褒めているんだ」

「あん…あ…ああ…っ!また…また出ちゃいます…!」

「ああ…!かわいい子だ…イキそうなんだな…」

「ん…ん…いく…」

「白いもの…精液が出ることをイクって言うんだよ…」

「あん…あ…精液が出ちゃう…イッちゃいます…あぁ…あ…!」

 ぼくはジル様に扱かれながら、のけぞり、頭を振って、また果ててしまった。

 ジル様はぼくの足を開かせ、その間で自分のものを扱き続け、小さくうめくと、性器をぼくのお尻の穴に近づけて、そこをめがけて精液をかけるように出した。

「あ…」

 温かくドロッとした感触は、なんだか気持ちよかった。

 ジル様がぼくの隣に倒れこむようにして横になり、ぼくの額や頬や唇にまた、キスしてくださりながら、精液を塗り込むようにお尻の穴を指先でいじった。

「ん…ンン…」

「こうされると…どんな感じがする…?」

「う…よくわかりません…少しだけ…気持ちいい…」

 そう言うと、ジル様の美貌が艶やかに笑みを作った。

「素直でいい子だな。ここに私のペニスを挿入させておくれ…それが、愛し合うということだよ…」

 ぼくはびっくりした。

「えっ…そんな…は、入らない…です…」

「すぐにじゃない。これからゆっくりここを慣らして柔らかくしていけば、挿入るようになるよ…そうしたら、ここにいる男たちのように、君と私でセックスしよう」

「は、は…はい……」

 ぼくは戸惑いと恥ずかしい気持ちで、うつむいてしまった。

 それから、ぼくは月に一度、ジル様やほかの若い男たちと共に地下室で過ごすようになった。

 そして、ジル様やほかの男たちと"セックス"する。 

 ジル様と愛し合えるのはうれしかった。

 教えられた通りに、口を使ってジル様のものを慰め、お尻の穴にそれを受け入れて、繋がって一つになる。

 それはえもいわれぬ快感で、ぼくは恍惚として求められるまま腰を淫らに使った。

 仰向けに寝かされて、お尻を犯されたり、うつ伏せに寝て背後から貫かれたり、座った姿勢で向かい合って繋がったり…様々な体位で交わった。

 今日もぼくはジル様と愛し合う。

 寝そべったジル様の上に馬乗りになって、一生懸命腰を振った。

「あぁ…あぁ…!ジル様…あん…気持ちいい…気持ちいいです…!」

「ああ…!上手だよ…!私もとてもいい…!」

「あぁん…!ジル様…!」

 恥ずかしげもなく、全てをさらけ出していやらしい声も上げる。

「あぁ…っ!気持ちいい…気持ちいい……!」

 ぼくは何度でも果て、何度も求めて、快楽に溺れていった。
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