絶頂の快感にとろける男の子たち【2023年短編】

ゆめゆき

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人魚の王子は泡にならない(童話パロ:人魚姫)

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 (ああ…っ♡ああ…っ♡ああ……っ♡)

 元人魚のイオナは声にならない歓喜の声を上げ、陸のシーテイル王国の王子、アルサムとの交わりで快感に震えた。

 (これが人間のオスどうしの交尾…セックスというものなんだ…!!こんな気持ちいいことがこの世にあったなんて…王子が腰を振るたびに、波のように何度も気持ちよさが繰り返される…ぼく…ぼく、どうしよう…変になりそう…っ)

「はあっ…はあっ…!気持ちいい?」

 イオナは目に涙をためながら、コクコクとうなづいた。

「僕もとてもいい…!ああ…君の肉体はとても素晴らしい…このすべすべとした肌も…中も…僕を虜にする…!」

 何度も何度も王子の愛撫とペニスによるアナルへの刺激を受けて、イオナは気持ちよさがどんどん強くなり、ついに強烈な快感を下腹に感じた。
 人間の体を得てから、初めての精液が尿道をかけのぼり射出される。その気持ちよさ!!

「っっ♡♡はあっ♡はあっ♡はあっ♡」

 (このドロッとした液体を出すとき、すごく…すごく、気持ちよかった…♡ああ、こんなこと…病みつきになりそう!!もう、これなしでは生きていけない…!!)

「ああーーっっ!!」

 王子が快感に叫び、イオナのアナルの奥に精液を放った。

 (奥にじわっと何かが…王子がぼくの中で気持ちよくなってくれて、あの液体を出したんだ…はあ…胸が熱い…!)

「ああ…ああ…よかったよ……!僕のかわいい人…」

 チュッ…チュッ…と額や頬や唇にキスをされる。

 これで、交尾は終わりか…とイオナは思ったが、少しだけ時をおいて再び王子に求められ、その夜は四回、気持ちいい人間の交尾を味わった。

  ◾️  ◾️  ◾️

 ことの発端は、兄王子たちと共に、人間たちの船上パーティーを水面に顔を出してゆらゆらしながら見物したことだった。

 人間たちが、酒という酩酊状態を起こす液体を飲み、歌って踊ってはしゃぎまわったりするのを見てその滑稽さに笑ったり、ランタンの明かりに見惚れたり、花火の美しさに感動したりして、それで終わるはずだった。

 だが深夜、パーティーが終わったあと、もっと何かないかなあとイオナが海面に出て、船上を見上げると、他に誰もいない甲板で美しい男が二人、裸になって抱きしめ合い、唇をくっつけたり、ぴったりとくっついて妙な動きを何度も繰り返したりしているのが見えたのである。

 声も聞こえた。言葉にならない声を発していて、それがとても印象的だった。

 美しい男たちの表情は苦悶の表情に似て、だけど、苦しいわけではないのがイオナにはわかった。

「…というわけなんだよ。なんだったんだろう!?アスラーン、知ってる?」

 蛸の人魚であるアスラーンは魔法使いで、そして物知りである。

「……それ交尾してたんじゃないか?」

「えっ!!交尾~~?!男どうしだったよ?」

「陸じゃ、男どうしでも楽しみのために交尾することがあるんだよ。子供は産まれないけど、気持ちいいらしい」

「気持ちいい…」

「人魚にはわからない感覚だよな!!人間のオスには、交尾のための棒状のものがついてるから、それをもう一匹のオスの穴に入れたり出したりすると、とてもいい気持ちになるんだってさ」

「そうなんだ…!!」

 イオナはアスラーンの説明で、あの時見た光景の意味がわかった気がした。

 気持ちよくて…気持ちよすぎて、あんな声を出して、あんな表情になっていたのか…。

 それからイオナの頭の中は人間のオスどうしの交尾のことでいっぱいになった。

 寝ても覚めてもそのことばかり考えてしまう。

 ああ、ぼくも人間みたいに交尾してみたい…!

 それに、あの美しい男の一人…栗色の髪の彼に会いたかった。

 アスラーンに相談しにいくと、かんたんに請け合ってくれた。

「人魚を人間にする魔法を研究してたところなんだ。あとは実践だけ!」

「ひえ。それって成功するの??」

「まかせろって。ただ、代償にお前から何かとらないといけない。取引の契約なしに魔法は使えない。決まりなんだ。」

「何かって…何?!ぼく、何も持ってないよ」

「目玉とか、両手両足の指とか…」

 イオナはふるふると頭を振った。

「声…とか…声がいいな!イオナの声は美しい」

「えっ!しゃべれなくなっちゃうの?」

「じゃあ、そのきれいな青い目玉にする?言っとくけど対でないと駄目だよ」

「それは……」

  ◾️  ◾️  ◾️

 結局、イオナは"声"を取引材料にして、人魚のしっぽの変わりに人間の足を手に入れた。肺や皮膚も。

 イオナはすっかり人間そのものになり、海岸までたどり着くと、あの船上で交尾をしていた美しい男に出会った…!
 男は馬に乗っていて、その栗色の髪を海風になびかせ、凛とした明るい茶色の瞳でイオナを見た。

 (あ、あの…!)

 声をかけようにもイオナはすでに声を失っている。

 ガッカリしてうなだれたイオナの腕を男は引き上げた。

「おお…なんて美しい青年だ…」

 イオナは美しかった。

 プラチナブロンドに、海のように青い瞳。
 大きな目は潤んで、瑞々しい唇は赤く、つんととがっている。
 不思議に色香があり、それでいてあどけない顔をしていた。

「どうしてこんな場所に、こんなかっこうで…!追い剥ぎにでもあったのか?それとも、まさか…!」

 男はイオナの体を身につけていたケープで覆うと、力強い腕で持ち上げ、馬上に乗せた。

 そして、城へと連れ帰ったのである。

  ◾️  ◾️  ◾️

 城に到着して、イオナは状況を把握していった。

「王子!!また、遠乗りに出たと思ったら、どこの馬の骨ともわからない男を連れ帰って!!」

 この男はこの国の王子らしい。そしてこんなことは日常茶飯事なのだ。

 (馬の骨とは失礼な!ぼくだって海の王国の王子の身分なのに!!)

 男を連れ帰るのがしょっちゅうだということには特に感想を抱かなかった。

 イオナにはまだ陸の貞操観念というものが身についていなかったのだ。

「浜辺で素っ裸でいたんだぞ。かわいそうじゃないか…!」

「そんなことをおっしゃって、どうせまた寝室に…!」

 王子はイオナを抱え、わめき散らす世話係を振り払い、一つの部屋へ入って、ドアを閉めてしまった。

 大きなベッドにイオナを寝かせる。

 (ふかふかで気持ちいい…)

 王子はイオナの足を開かせると、アナルを検分した。

「ふむ、乱暴されたわけじゃなさそうだ。しかし…経験がないのか…これは…ゆっくりとつぼみを開かせてあげなくては…」

 王子は言葉通りゆっくりと時間をかけて、イオナの体を拓いていった。

 数えきれないほどのキスを与え、もどかしいほどささやかな愛撫からことを始め、アナルへの挿入へ至ったのは夕刻を過ぎてからだった。
 
 それは、いくら優しい行為であろうとも、同意を得ていない以上強姦のようなものであったが、彼はこの国の王子で、全てが許される身分だったのだ。

 そして、イオナも言葉にできずとも、それを受け入れた。

 (これが人間のオスどうしの交尾…ああ…夢のよう…)

 それから二人は毎晩愛し合い、時には一日中寝室にこもり、何度も何度も激しく求めあった。

 (声が出せないのが惜しい…!ぼくが王子との交尾を心から喜んでいることを伝えたい!せめて名前だけでも呼べたら…!)

 イオナが喜んでいることは、絶頂の際にびくつく体、震える睫毛、涙を浮かべる瞳から充分に王子に伝わっていたが、イオナはもどかしい思いをしていた。

 ところで、その頃アスラーンは毎日、海底から水晶玉をのぞいて、イオナの様子を観察していた。観察せずにはいられなかった。

 二人が毎日交尾を行う姿を見て、そんなにいいものなのだろうかと最初は好奇心でそれを見ていた。

 だが、しだいにアスラーンも、イオナと同じようにその行為に強い憧れを抱くようになっていった。

 それも仕方がない。イオナは交尾の際、必死の様子で汗をかき、全身で喜びを表していて、人魚には到底得ることができない快楽を享受していることが明らかだった。

  ◾️  ◾️  ◾️

「王子!!また、遠乗りに出たと思ったら、どこの馬の骨ともわからない男を連れ帰って!!」

「浜辺で素っ裸でいたんだぞ。かわいそうじゃないか…!」

「そんなことをおっしゃって、どうせまた寝室に…!」

 (えっ?!)

 イオナはそのやりとりを聞いてドキッとした。

 (まさか…新しい愛人…!!)

 イオナが陸に暮らし始めてから、もうひと月がたつ。

 その頃にはイオナは、貞操観念も芽生えていたし、嫉妬という感情もわかり始めていた。

「やあ、僕のかわいい人、君の新しい友だちを連れてきたよ!」

 王子はイオナを見つけると、そう言った。

 少なくとも、この時点では王子は新しい愛人を迎えるつもりはなかったかもしれない。

 その新入りがこう、口を開くまでは。

「感謝します。王子…ああ…あなたにこの身を捧げたい…!!あなたと熱い夜を過ごしたい…!!」

 すきとおった、甘い美しい声。

 (ぼくの…ぼくの声だ…!!)

 王子の胸でくるまれたケープの中から顔を出したのは…アスラーンだった。

 (アスラーン!!どうして…!)

 アスラーンはイオナほど、突出した美しさは持っていない。平凡と言っていい容姿だろう。だが、その声に王子は劣情をかきたてられた。

「ああ、僕も君と愛し合いたい…!」

 王子はアスラーンを抱いて寝室に入った。

 そして、二人は一晩中愛を交わし、イオナは陸に上がって初めての一人寝の夜を過ごした。

「あぁ…っ♡あぁ…っ♡王子…あなたのペニスを挿れてもらうのが…こんなに…こんなに気持ちいいなんて……っ♡こんな幸せがこの世にあるなんて、私は今まで知りませんでした…!!ああっ♡ああっ……♡」

「愛しい人…!なんてかわいく情熱的に求めてくれるんだ…!」

「アスラーンと…アスラーンと呼んで…!!アル…アル…ッ♡」

 アスラーンはイオナの声で、あれほどイオナが願っていたように王子の名を呼んで、喘いだ。

「あぁ…っ♡あぁ…っ♡アル…ッ♡苦しいほど気持ちよくて…ああっ♡何か…何かくる感じがします…っ♡」

「イキそうなんだね…アスラーン!!二人で気持ちよくなろう…!!」

「これ以上気持ちよく…あっ♡ああっ♡これは…あ、あ、あ…♡ああああ~~っっ♡♡♡♡」

 アスラーンは初めて絶頂に達し、射精を体験した。

「はあ…はあ…♡これがイクってこと…♡あぁん♡想像以上です…♡あぁ…♡」

「あう…っ!僕も…僕もイキそうだ…っっ!!アスラーン…アスラーン…ッッ!!ああああーーっっ!!」

「ああ…アル…♡」

 二人は夜が白むまで、何度も求めあった。

  ◾️  ◾️  ◾️

 翌朝、イオナはアスラーンに迫った。

 声は出ないが、身振り手振りで怒りを表し、筆談でアスラーンを責めた。

 (どうして、人間に?どうして、ぼくの声を使って?どうして、王子に…)

「だって、イオナがあまりにも幸せそうだったから…私も試してみたくなったんだ。人間の生活を!」

 (だからって、王子に…アルに近づかなくても…!!)

「浜辺にたどり着いたら、つかまってしまったんだもの。声のことは悪かったよ。だけど、私の声はしわがれて老人のようだし、あるものは使わなきゃ…!」

 (そんなの…!そんなのってない…!!)

「三人で仲良くやろうじゃないか。交代で王子と愛し合えばいい。それに…人間たちは三人で愛を交わしたりもするみたいだよ…」

 (いやだ…!!そんなのいやだ…!!)

 イオナはポロポロと涙をこぼした。そして…、調理場から持ち出したナイフを振り上げた,!

「イオナ……!!」

  ◾️  ◾️  ◾️

 王子がイオナとアスラーンを探していると、廊下でへたりこんで、ひっくひっくとしゃくりあげて泣いているイオナを見つけた。

「どうしたんだい!?僕のかわいい人…!!」

 イオナはナイフを持っていて、廊下には泡のようなものが、海の泡のようなものが広がっていた。

「どうしたんだい?どうして泣いているんだい??」

「うぐっ…うぐっ…うっ…うう……」

「こんな物騒なものを持って…渡しなさい。調理場から持ってきたのか…?」

「うう……っう……」

「かわいい人、アスラーンはどうしたか知っているかい?」

「王子…アル……!ぼくの名前はイオナだ…イオナって、イオナって呼んで……」

「君、声が…!!しゃべれるのかい…?!」

 イオナの声はアスラーンが奪って使っていたが、イオナの喉から発されるとまた、印象が違ったものになっていた。

「アッ、アスラーン…アスラーンは去りました…!!アル……!!好き…好きだ…ぼくを捨てないで……」

 イオナは王子の首に腕を回してしがみつき、泣きじゃくった。

「うっ…うっ……アル…アル…!!抱いて……!」

「イオナ……」

 王子とイオナは寝室に行き、すぐに愛し合った。

 イオナは激しく王子の肉体を求め、何度もまぐわい、時には自ら上になり腰を振った。

「あぁ♡あぁ♡アル……ッ♡とても…とても気持ちいい…♡あぁっ♡あっ♡あっ♡いや…いや…♡また…またイってしまう……っ♡ああっ♡ああ~~っっ♡♡」

  イオナは絶頂に達した。腹筋をピクン、ビクン…と波打たせて快感を強く感じようとする。

「イオナ…イオナ…とてもいいよ…!なんて淫らな子なんだ…!かわいいよ…ああ…とても気持ちがいい……っっ!!ああ…ああ…イキそうだ……!ああ…く…!出すよ……っ!イオナの中に出すよ……!」

「あん…♡あぁ…♡」

 イオナは絶頂を味わいながら、王子の射精を感じた。

「アル…アル…♡ぼくのアルサム…♡また、欲しい……♡」

「ああ…イオナ…かわいいよ。とてもいやらしいかわいい声だ…どうして今まで口をつぐんでいたのか…次は僕が上に……!!」

「アル…好きだ……♡ああ…っ♡あん♡あん♡激しい…♡もっと…もっと乱暴にして……♡」

 二人はそうして一日中飽きずに求めあった。
 イオナは罪悪感から逃れるように行為に没頭し、王子はイオナの美しい声に魅了されて…。

 その次の日も…その次の日も…。

 その熱が覚めても、毎晩のように二人は交尾し、いつまでも幸せに暮らした……。
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