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26 サービスエリアってわくわくします!
しおりを挟む長い間、リューバ車に揺られて、ようやく止まった。
エナの里に着いたらしい。
昼休憩だ。
「エ、エナの里に着いたの…?!」
「ああ、でもタクトはなんか腰が抜けちゃったみたいじゃないか…?何か買ってこさせようか…」
「やだ!俺も行く!」
「ええ…」
観光欲というのか、せっかくの旅行なので俺は堪能したかった。
確かに腰の辺りがふわふわするが、根性で俺はワゴンから降り立った。
「おお…!」
ヨカドウの街ほどではないが、人があふれている。きっとあちこちの地方から人が集まっているのだろう。着ている衣装の趣が人それぞれ違う。
長い間、ワゴンにこもっていたので、晴天が気持ちいい。
道に並ぶ建物はカラフルで、看板も大きい。ほとんどが飲食店だ。屋台も出ている。俺は若い男子であり、人並みに食いしん坊である。この世界に来てすぐの頃こそ不安だったが、今ではそうまずい食べ物はないと学習していた。
「ねえ、ここは何が名物なの?」
「そうだな…肉団子スープやタパツミだろう」
「じゃあ、それを食べよう!どの店がいいかな…!」
ヨノイをせかすようにして道を行く。俺は長蛇の列が出来ている店を見つけた。
「あっ!あそこ!」
「かなり、混んでいるぞ」
「でも、絶対美味しいんだよ…!」
「時間がない」
「えー」
俺は仕方なくあきらめて、他の店を物色した。ガラガラの店は嫌だ。
中くらいに混んでいて、景気がよさそうな店…あった。
「ヨノイさん、じゃあ、あそこ」
「うん、そうしようか」
御者や荷物持ちたちも、てんでんに昼食をとっているようだ。
店に入ると、三つ残ったテーブルの一つに案内された。いい香りもする。
「肉団子スープを二つ、ノザナのタパツミを二つ、カロン茶を二人分」
ヨノイはてきぱきと注文する。
しばらく待って、出てきた肉団子スープはとても美味しかった。出汁が効いていて、ちょうどいい塩加減。タパツミはひらべったいタパのようで、一口かじってみたら、中から塩辛く味付けした野菜と肉が出てきた。とても美味しい。おやきみたいなものだ。カロン茶は茶色い何か香ばしいお茶。まずくはない。
この店で当たりだった!とも思ったが、じゃあ、あの行列の出来ている店はどれほど美味しいものを出すのだろうとも考えてしまう。我ながら意地汚い。
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