異世界でいっぱいH!

ゆめゆき

文字の大きさ
上 下
14 / 51

14 職業選択の自由はありませんか?!

しおりを挟む

「ん…あ…♡サユ…!はあ…っ」
「タクト…気持ちいい…?」
「気持ちいい…っ♡んあっ…んん…♡」

 俺は食堂の二階でサユとまぐわっていた。
 この世界に来てから、二か月半がたつ。
 毎日、学者たちから質問攻めにあい、本を読んだり、ロアに頼んでできる限りのさまよえる者の資料を借りて調べた。
 食事は、この世界の標準に合わせて一日三食外食か中食で、風呂は井戸の水を汲んで、共同のかまどで沸かしたお湯で体を拭くか、たまに湯屋に行く。洗濯は安い金額で外注出来るのだが、俺は節約のため自分で洗濯した。
 サユとは時々、一緒に食事したり寝たりした。サユはシラバの街に行く予定だったが、俺の身元引受人になった関係で、ヨカドウの街にとどまっていた。

「サユ…!めちゃくちゃにして…!ああん…っ♡」

 俺は焦っていた。生活費が心もとないのだ…!めちゃくちゃにされて一時でも現実を忘れたい。
 役所で貰える生活費が打ち切られると、俺には収入減がない。
 ある時、俺はロアに言った。

「あの…俺、これからどうしたらいいんでしょうか~…」
「どうしたらって?」
「どうやって暮らしていったら…」
「…知らん。慈善事業じゃないんだ。仕事なら紹介しても…いいが…」

 ロアは俺をしげしげと見て言葉を濁らせた。

「どんな仕事を紹介してくれるんですか?」
「そうだな…君に出来そうなのは……」
「なんで、口ごもるんです?」
「いや、そんな非力そうな体では…」

 瘦せっぽっちのロアに言われたくないが、確かにこっちの世界では俺は華奢な方だろう。もちろん知的労働も不可能だ。この世界のことを俺はそんなにわかってない。何より、実は字が書けない!どういう神秘の力に寄るものか、言葉も通じるし、文字も読めるとは言わないが意味は分かるのに、書くことが出来ないのだ。もっぱら練習中である。
 肉体労働しか、選択肢がない。

「洗濯夫くらいしか、紹介出来そうもないな。まあ、でなきゃ男娼になるという手もあるが」
「だ…っ、男娼…?!」
「そんなに驚くことでもないでしょ…私もやってましたよ」
「えっ?そっ…!そんな感じ…?!」
「君のいた世界では珍しいんですか?大体、誰でもやったことがあるんじゃないですかね…」

 大体、誰でも…!?しかし、確かに、この世界ではありそうな話である。

 行為の後、俺はサユにも聞いてみた。

「あのさ…、俺に出来そうな仕事って何があるかな…」
「えっ…うーーーん……その…細腕では……」

 サユも口ごもった。

「サユまで…!!やっぱり男娼になるしかないんだ…!!」
「あっ!そうか…男娼という手があるな」
「ええええ!」

 俺は驚いた。当たり前のように言う。

「えっ!もしかして…サユも…やったことあるの…?」
「あるけど…」

 サユはけろっとして言った。

「家を出て、しばらくはそれで食いつないでたから…」
「そ、そお…」

 え、男?男に売ったの?女に売ったの??両方??すっごく聞きたいけど聞けない。
 どっちにしろ、それはそれは高く売れたに違いなかった。
 俺はサユの整った上品な顔立ちと、その繊細さと相反したようにも見える逞しい肉体を見た。

「あーその…タクトは嫌なんだな」
「抵抗がないと言えばうそになる…」

 サユは嫌じゃないのかな。だって、湯屋では嫉妬してたくせに…。

 不意にサユが俺を抱き寄せて、耳元でそうっと言った。

「タクトが嫌じゃなければだけど…」
「な、な、何?」
「俺がタクトを養ってもいい。一人食ってくのも、二人分稼ぐのも大して変わらない」
「う……」
「この街で待っていてくれれば、俺はタクトが困らないだけ稼いでくるから…」
「……」
「どう?」

 サユはどんな顔してこんなこと言ってくれているんだろう。
 ものすごく、ありがたい申し出だと思う。プリティ・ウーマンのリチャード・ギアかな!??サユの方が美形だけども。
 ジュリア・ロバーツではないが、俺は気が引けた。

 湯屋で見た、サユの背中の傷跡を思い出す。サユは命がけの仕事をしているのだ。
 それをただ待ってるなんて、いくらなんでも出来ない。しかも、俺はもしかしたらある日突然、煙のように消えてしまうかもしれないのだ。そんな俺のためにサユに負担を強いるなんて。
 一方で、ずるい考えも浮かんでくる。
 そもそも、異世界にさまよいこんでしまったことが緊急事態なんだ。利用できるものは利用してしまえ、と。
 けど、やっぱり…。

「う、う、うれしいけど…」
「うん」
「やっぱり、自分でなんとかしようと思う…」
「うん…そうか…」
「ロアが洗濯夫の仕事なら、紹介してくれるって言ってたし…物価安いし、なんとか…なると思う!」
「うん…」

 しばらくして、俺は洗濯夫の仕事を始めた。
 そして半月後、サユは仕事のために街を去った。困ったときに使ってくれ、と言って三十万カイスを俺に渡して。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

ちっちゃくなった俺の異世界攻略

鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた! 精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!

平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです

おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの) BDSM要素はほぼ無し。 甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。 順次スケベパートも追加していきます

神官、触手育成の神託を受ける

彩月野生
BL
神官ルネリクスはある時、神託を受け、密かに触手と交わり快楽を貪るようになるが、傭兵上がりの屈強な将軍アロルフに見つかり、弱味を握られてしまい、彼と肉体関係を持つようになり、苦悩と悦楽の日々を過ごすようになる。 (誤字脱字報告不要)

推しの完璧超人お兄様になっちゃった

紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。 そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。 ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。 そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

明智さんちの旦那さんたちR

明智 颯茄
恋愛
 あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。  奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。  ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。  *BL描写あり  毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。

処理中です...