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男の子同士で夢中になるセックス
しおりを挟むまた俺はカマキリの見せる夢を見ているらしい。
あのおかしな夢から一週間後、寝しなにまたメスカマキリが現れたのだ。命を助けてもらったのです。御恩は返し切れて……。せりふを最後まで聞く前に、猛烈な眠さに俺は抗えず意識を失った。
本当にこれが恩返しなのか。そして、本当にただの夢なのか。
桃の香漂う、だだっ広い園庭に設けられた台座の上に、羽柴と二人、美しい少年たちにかしずかれて、中央の舞台で繰り広げられる歌劇を眺めている。
夜だ。
園庭にはたくさんのぼんぼりが吊るされて、満月の浮かぶ夜空を見上げなければ、昼と見まごう様だ。
一段低い席には、王様の客なのだろうか、貴人らしい高価そうな衣を身にまとった男たちが、酒を飲み、歌劇を見て歓談している。
歌劇の内容はよくわからない。勇猛そうな王役が青龍刀を携えて、重厚に舞台を歩み、その周りをふわふわした華やかな衣をまとった姫役がくるくると舞いながら付き添い、なにやらやりとりしている。王の部下役であるだろう数人の脇役が、舞台のあちこちでとんぼを切ったり、逆立ちをしたり、更にその者の上で逆立ちをして見せたり、アクロバティックな演技を見せる。
王はそれを観てご機嫌だ。
俺の持った朱塗りの盃に、残った液体を見て、「飲まないのか?」と聞いてきた。
「おいしくない」
御簾に囲まれた寝室で目が覚めると、問答無用で湯あみと着替えをさせられた。風呂ではアナルを丁寧に洗われ、中に糊のような粘液を押し込められた。衣装は袖も裾もゆったりして長く、ただあまりに薄い生地で出来ていて、裸体が透けて見えてしまう。下着もない。まわりで立ち働く少年たちも形は違うが、同じ透ける生地の衣装を身に着けている。
それから、この席に連れて来られた。隣にいる男の顔をこわごわ見上げると、やっぱり羽柴だった。そして、小姓のような少年たちに盃を渡され、酒を注がれた。思わず一口飲んだが、下がぴりぴりして、喉がかっと熱くなり、胸がドキドキした。夢とは思えない。酒なんて飲んだことないが、こんな感じなのか。
「どれ」
と、言うと羽柴…王は俺の盃を奪い、喉をそらせて飲み干した。と、思ったが違った。俺を引き寄せると、唇を合わせてきて口に含んだ酒を俺の口中に注ぎ入れた。熱い。少しこぼしたがほとんど飲んでしまった。
「はあ…はあ…」
動悸がする。苦しいくらいだ。
「も…やだ……」
倒れてしまいたい。背もたれもない席で仕方なしに一番頼もしい肉体にすがった。王が抱きとめてくれる。王の着ている衣装は透けてはいないが、柔らかくて上物だとわかる。そして布越しにその肉体のたくましさが分かった。
「酒は苦手か。肉はどうだ」
「ううん…いらない…」
夢の行く先は分かっている。だったら早く寝室に行こう。体が燃えるように熱い。酒のせいか。欲情のせいか。
膝立ちになり、王の首に手を回して口づけた。酒の味がする。
「それが望みか」
王と見つめ合って、俺はうなずいた。
王は口づけを返してくれる。
上唇をなめ、下唇を吸い、舌を差し込んでくる。それを吸った。酒と、香辛料の強い肉料理の味が少し。ぬるぬると舌を絡める。音を立てて、唇を吸い合って、互いの唾液を飲んだ。
「んん…ん…」
すごくエッチなキスだ。興奮する。少年たちの遠慮のない視線を感じた。目をそらしたりしないのか…。
キスをしながら、王が俺の体を支えゆっくりとその場に倒した。緋色の分厚い敷布があって、背中は痛くない。衣装をはだけて、胸を大きな手のひらでなでさする。指で乳首をつままれた。
「んー…んっ」
小さな快感が走る。キスも気持ちがいい。
王の手が、帯を解いて俺の下肢もさらした。
「あっ…ちょ…っと」
「なんだ」
「ここで?」
台座は、囲いも何もない。客からも舞台からも丸見えだ。だが、役者たちはいっそう激しく舞い、楽団はより大きく音を奏でる。客たちの様子を見渡すと、なんとここでもあそこでも淫靡な光景が繰り広げられている。客たちは透ける衣装を身にまとった美少年たちに手を伸ばし、衣服を乱し、臀部を愛撫し、膝に乗せたりしている。少年たちは抗うことなく慣れた様子で、客にまたがったり、フェラチオを奉仕したりして、楽団の演奏の合間にあえかな嬌声がここまで響いてくる。
「あ…」
性急な客たちはすでに挿入行為に及んでいる。
下ばきを脱ぎ、四つん這いになった少年の尻に自らの肉棒を突き刺し、思うさま腰を打ち付けている者。少年もそれに応え、気持ちよさそうに尻を振っている。
また、背面座位での行為。少年の体はほかの客たちに曝され、背中の男にアナルを突き上げられながら。まわりの客たちに乳首をつままれたり、屹立したペニスを弄られ、快感に身をよじっている。
何人もの少年たちに取り囲まれている者もいる。立ち上がって、フェラチオを奉仕させ、尻の穴を別の少年になめさせ、首をよじってまた別の少年といやらしいキスをしている。
「な…」
「こっちを見ろ」
王が俺の顎をつかんで正面を向かせ、また唇を合わせてきた。手のひらが下へ降りて行って、ペニスにたどり着くと、握りしめ扱き始めた。俺はすぐに反応してしまう。
「ふ…んん…」
「気持ちいいだろう」
「気持ちいい…」
俺も手を伸ばして、羽柴のペニスを握った。ふつうのペニスだ。安心したような、期待を裏切られたような。どくどくと力強く脈打っている。熱い。
王が体勢を調整して、亀頭同士を合わせた。思わず高い声が上がる。
「ああ…!あ…や…いい…っ」
とても気持ちよくて、もっと気持ちよくなりたくて、腰が勝手に動いてしまう。
「いやらしい体だ。こっちも欲しいだろう」
王がペニスを、俺のアナルに擦りつける。それも気持ちいい。腰を動かすのを止められない。
「ああ…んん…気持ちいい…っ」
早く、入れて欲しい。熱い体をひとつにしたい。着替えの際に、アナルに粘液を仕込まれている。すぐに繋がれる。
王が腰を進めてきて、ゆっくりとペニスが入ってくる。気持ちいい。俺の粘膜が羽柴のペニスを包み込んで、締め付けてなぶる。気持ちよさそうに呻いて、羽柴は深く挿入してくれる。
お互いじわじわと汗をかいて、呼吸もせわしなくなった。王が腰を遣い出す。
「はあっ!あっあっ…気持ちいい…いいっ…」
「おれもだ。ああ…いやらしい体だ…たまらない」
うれしい。激しく突かれて、どんどん高まっていく。身をよじって快楽に耐える俺の上半身を、王の腕が起こした。向き合って、対面座位で抱きしめ合う形になった。ぴったりと体をくっつけると熱と汗のぬめりを感じて、気持ちいい。
「あ…ん…すごい…気持ちいい…」
王が口づけてくる。受け入れて、舌と唇を吸って、下から突き上げてくる王の動きに合わせて、体を動かした。それに加えて王の手が俺の腰をつかんで、揺さぶる。深く繋がって、互いの肉体を味わって、頭がおかしくなるくらいに快感を貪る。
「あうっ…んんっ…気持ちいい…すごい…好き…好き…っ」
快感が、俺を休ませてくれない。お互いに気持ちよくなって、動いていっぱい汗をかいて、貪り合う。
「ああ、いきそうだ…」
王が言った。
「俺も…俺もいきそう…っいくからっ…」
王の腰の動きが性急になり、小刻みに俺の中を突く。
「あ、あ、あ、あ…!」
激しい動きを不意に止めると、苦し気な呻き声を上げ、俺の中に射精した。王の精液が中に出されるのを感じ、快感とともに締め付け、俺もこみあげてきたものを射出する。どろっと濃いものを、二度、三度…王の腹に出す。
気持ちよさの余韻を楽しみながら、再び口づける。王の体に身を預けて、うっとりとしながら、世界が暗転していくのを感じた。
翌日の放課後、レンタルビデオ屋に寄るという羽柴に付き合う。
部活はさぼったらしい。羽柴はバスケ部のレギュラーだが、もともと体を動かすのが好きだが、ごりごりに部活をやりたくはないそうで、わざわざ強豪校でなく、弱小の運動部ばかりの高校を選んで受験したらしい。ちなみに俺は書道部だ。ほぼ顔を出してないけど。
店の中で別れて、DVDのジャケットをひやかしていると、羽柴が三本ほどDVDを持って、俺のもとに来た。
「なんか借りる?」
「俺はいいや…何借りるか決まった?」
「これ」
「……」
マリー・アントワネットに別れを告げて、ヒューマン・トラフィック、始皇帝暗殺…。
そうだ、羽柴はバスケ部であるとともに、映画好きだった。洋の東西問わず、時代も舞台も、ジャンルは問わずになんでも観るタイプの。
エロい夢の舞台が奇妙な世界なのは羽柴のせいじゃないか?
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本作品はキルキのオリジナル小説です。
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