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とんでもないところ
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レヴィ邸へ到着し、馬車から降りると、わたしのために一人だけ連れてきた気心の知れた若いメイドのエッタが感嘆の声を上げた。
「お嬢様!なんて大きいお屋敷でしょう…敷地もどれくらいあるのでしょう…!それにとても…とても…えーと…素敵です…ウチは、壁も屋根も真っ黒い、おどろおどろしい屋敷を想像しておりました…!」
「エッタ、失礼よ…しー…」
エッタはモダンでエレガントだと言いたかったのだと思う。
わたしたちのこそこそしゃべりは、先を行くグレイに聞かれていたようで、彼が小さく笑い声を発したのがわかった。
わたしはなんだかほっとした。
「楽なドレスに着替えて、ひと休みするといい。それから、屋敷内を案内させよう」
「ありがとうございます」
「それから…エッタ。彼女は“お嬢様”ではないよ。“奥様”だ」
「は、はいぃ!旦那様!」
また、クスクス笑い。
わたしとエッタは屋敷のメイドに、広く窓の大きい明るい部屋へ案内された。
中央に置かれた丸テーブルには、色とりどりの花々が大きな花瓶に生けられている。
「この屋敷で一番日当たりのいい部屋でございますよ…!もちろんこの部屋は仮のお部屋でございます。後から奥様のお好きなお部屋を選んでいただけますし、壁紙やカーテン、絨毯やベッドのシーツも奥様のお好みに合わせて変えると、旦那様はおっしゃっていますよ…どんな小さなことでも、できうる限り奥様の意に沿うようにと、ことづかっております」
「あ…ありがとう…」
エッタは目を白黒させている。
「お嬢…奥様…ウチはとんでもないところについてきてしまったような気がします…!」
エッタに手伝ってもらい瑠璃色のドレスに着替え、しばらくすると、屋敷のメイドが三人でお茶と軽食やお菓子を持ってきた。
ソファに腰掛け、お茶で喉の渇きを潤し、軽食を少し口にすると、ひと心地ついた。
その後、屋敷を案内されたが、実家より二倍は広く、豪奢で、圧倒されるばかり。
一体いくつの部屋があるのだろう。
七つ、八つ、九つ…わたしは途中で数えるのをやめた。
広い清潔な食堂、居心地のよさそうな居間、そのどちらにもたくさんの花が生けられて、廊下のそこここにも花や彫刻が置かれ、絵画がかけられている。
日差しの入らない薄暗い書庫。タイトルだけ知っている、手に入らなかった蔵書の数々にわたしは驚きときめく。
それから…。
「こちらがご夫妻の寝室です…」
ドキッとした。
緊張が走る。今夜は初夜なのだ。
「お嬢様!なんて大きいお屋敷でしょう…敷地もどれくらいあるのでしょう…!それにとても…とても…えーと…素敵です…ウチは、壁も屋根も真っ黒い、おどろおどろしい屋敷を想像しておりました…!」
「エッタ、失礼よ…しー…」
エッタはモダンでエレガントだと言いたかったのだと思う。
わたしたちのこそこそしゃべりは、先を行くグレイに聞かれていたようで、彼が小さく笑い声を発したのがわかった。
わたしはなんだかほっとした。
「楽なドレスに着替えて、ひと休みするといい。それから、屋敷内を案内させよう」
「ありがとうございます」
「それから…エッタ。彼女は“お嬢様”ではないよ。“奥様”だ」
「は、はいぃ!旦那様!」
また、クスクス笑い。
わたしとエッタは屋敷のメイドに、広く窓の大きい明るい部屋へ案内された。
中央に置かれた丸テーブルには、色とりどりの花々が大きな花瓶に生けられている。
「この屋敷で一番日当たりのいい部屋でございますよ…!もちろんこの部屋は仮のお部屋でございます。後から奥様のお好きなお部屋を選んでいただけますし、壁紙やカーテン、絨毯やベッドのシーツも奥様のお好みに合わせて変えると、旦那様はおっしゃっていますよ…どんな小さなことでも、できうる限り奥様の意に沿うようにと、ことづかっております」
「あ…ありがとう…」
エッタは目を白黒させている。
「お嬢…奥様…ウチはとんでもないところについてきてしまったような気がします…!」
エッタに手伝ってもらい瑠璃色のドレスに着替え、しばらくすると、屋敷のメイドが三人でお茶と軽食やお菓子を持ってきた。
ソファに腰掛け、お茶で喉の渇きを潤し、軽食を少し口にすると、ひと心地ついた。
その後、屋敷を案内されたが、実家より二倍は広く、豪奢で、圧倒されるばかり。
一体いくつの部屋があるのだろう。
七つ、八つ、九つ…わたしは途中で数えるのをやめた。
広い清潔な食堂、居心地のよさそうな居間、そのどちらにもたくさんの花が生けられて、廊下のそこここにも花や彫刻が置かれ、絵画がかけられている。
日差しの入らない薄暗い書庫。タイトルだけ知っている、手に入らなかった蔵書の数々にわたしは驚きときめく。
それから…。
「こちらがご夫妻の寝室です…」
ドキッとした。
緊張が走る。今夜は初夜なのだ。
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