キサラギダンジョン

ゆめゆき

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地下一階

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 ダンジョン内部は魔法の力で灯る明かりが洞窟内の両側に一メートル置きにあり、明るくもないが、真っ暗でもない。

 いたってふつうのダンジョンだ。

 投げナイフを使うと言うタイジだけが、ところどころで立ち止まっては、感嘆の声を上げては植物を採集している。

「見たことのない植物ばかりだ…!」

「そうなのか…?」

「ああ。おれもいくつかのダンジョンに潜ったことがあるが、ここはそのどれとも違う!」

「へえ…」

 確かに奇妙な植物が多い。人間の…ペニスそっくりの多肉植物や、間欠的に白く粘っこい液体を吹き出す植物…。

 その変わった植物の他には、大型の吸血蝙蝠が何度か襲って来るくらいで、それは剣士の俺たちが何体か切り捨てればよかった。

 まだ地下一階だ。

 半日ほどかけて一本道を進んでいくと、格子扉が現れた。

 その先は非常に明るく、暗さに慣れた俺たちには眩しいほどだ。

 そこには一人の男がいた。スラッとした長身の見目のいい男だ。

 俺たちに気がつき、格子扉を開ける。

「ようこそ。ご苦労様!さあ、中に入って!」

 そこは小さな住居のようになっていた。

 ベッドに机、書棚、炊事場まであり、井戸も引かれている。

 更に奥に同じような格子扉があり、その先が階段になっているようだ。

「ああ!ここから降りられる!」

 格子扉に殺到する。

 だが、鍵がかけられているようだ。

「あなたはここの番人か…?」

 リヒトが男に問うた。

「まあ、そんなようなものだよ。ここを通るには私の許しがいることになっている。条件は簡単。この中の誰かが私と寝ることだよ」

 柔らかな声音で、男はとんでもないことを言った。

「えっ…」

「な…」

 俺たちは言葉もない。

 しばらく俺たちは男に背を向け話し合った。

 当て身でも食らわせて、気絶させ鍵を探したら?

 針金でも使って鍵を開けることは可能か?

 "ズル"をしたら、ダンジョンを攻略出来ないのでは?

 散々、話し合った末に、結局俺たちは一人の犠牲を出すという答えに至った。

 リヒトが申し出たのである。

「実は男に抱かれた経験はある…不快だが、死ぬ訳じゃない」

 リヒトは男の前へ出ると、ぼくが…と短く言い、ベッドへ連れていかれた。

「私も君がいいと思っていたよ…!」

「……」

 ベッドの周囲にはにはカーテンがついており、二人はその中で、妖しい物音を立て始めた。

 姿は見えずとも、音は聴こえてしまう。

 俺たちは聞くともなく二人のまぐわいの様子を聞かされることになった。

「んちゅっ…ちゅっ…きれいな体だ…乳首…勃起してきたよ…」

「は…ン…♡あぁ…」

 クチュクチュ…という水っぽい音。

「ホラ…こうすると…」

「あぁ…っ♡あう…♡」

「ほら…この液体はダンジョンに自生しているニクザオジュから採取したものだよ…これを…」

「あ……♡」

 男のせりふにタイジが反応した。

「ニクザオジュ?どの植物のことだ」

「何に使うんだろう…」

 レイも呟いた。

 再びクチュクチュ…クチュクチュ…といういやらしい音と、リヒトの鼻にかかった甘い声。

「ン…♡はぁ…ん♡あぁん♡あ…♡ヘンな気持ち…っ♡あぁ…っ♡」

「ふふ…気持ちよさそう…」

「そ…んな…あぁ…っ♡何…これ…っ♡あ…っ♡あ…っ♡」

「挿れるよ…ほら…」

「あ…♡あ…♡あぁん♡すごい…挿入って…♡」

「あー…っ…気持ちいい…!動くよ…」

「あ…♡あん♡」

 ベッドがギシッギシッときしみ始める。二人の妖しい息遣いと、リヒトのすすり泣くような喘ぎ声。

「不快…とか言ってたくせに、結構楽しんでいるじゃないか」

 白魔術師のサシャが皮肉っぽく薄く笑って言った。

「そんな言い方はないだろ…リヒトはここを通るために犠牲になって…」

 俺はサシャをたしなめた。

 リヒトの喘ぎが続く。俺はドキドキしてしまう。皆もそうだろう。

「あっ…♡あぁん♡あぁ…っ♡」

「気持ちいい?あー…っ!最高だ…!!」

「は…ん……っ♡気持ちいい…♡あぁん♡すご…い…♡」

「イかせてあげるよ…!おおっ…おお…っ!!」

「あっ♡あっ♡あっ♡あっ♡すごい…♡いい~…っ♡イクッ♡イキそう~~…っ♡」

 ベッドのきしむ音はさらに激しさを増し、リヒトの声もひっきりなしに快感を訴える。

「あぁん♡あぁん♡は…ぁん♡すごいぃ…♡ああ~…っ♡」

「あぁ~~…っ!!出る…っ!君の中で、いっぱい精液出すよ…!!出すからね…!!」

「あぁっ♡あん♡んう~~…っ♡」

「く…うぅ~~…っ!あぁっ!!あぁっ!!」

 一際高い二人の声。

 ベッドのきしむ音はやみ、二人は静かになった。

 そして、待つことしばらくして、身支度をすっかり整えたリヒトと男がカーテンを開け、出てきた。

「よかったよ…じゃあ、鍵を開けよう」

「ありがとう…」

 少々、朦朧としながらもリヒトは言った。

 井戸を借りて水の補給をし、階段へと向かう。
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