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後日談
しおりを挟む「ほら、陽、あーん」
「むぐ…あーん…」
昼休みである。
忍野がぼくの弁当を奪うのは変わらない。代わりに忍野手製の弁当がぼくの昼食になった。保温容器に入れられていて温かく、スープやサラダ付き。味はむかつくが美味い。母の味じゃなくて店の味みたいな感じ。
忍野はぼくの母の弁当のファンである。
「陽の母ちゃんて、料理うめーよなー…」
だからってね。それはぼくに食べさせるために作ってくれてるんだよね…。
忍野のとりまきは相変わらずだ。ぼくの椅子を使うのはやめて、自分の席から椅子を移動させてくる。
「仲いいね~二人とも」
「一学期は怖かったじゃん?」
「そーそー瑠架たん、めっちゃ足立パシってた!」
「あたしも瑠架たんのお弁当食べたーい!」
「一食、千円な」
「えー、高っ!考えるー」
忍野は相変わらずあっという間に弁当を食べきってしまい、足りないという。
「パン買ってくるわ。陽、花咲カフェ行こー。お前ら、なんかいる?」
当たり前のように、ぼくの腕をひく。
「私、アイスレモンティー!」
「あたし、ダイエット中だからいいや」
「私、花咲プリン!」
「わたしもアイスレモンティー」
「私もー」
「なんか忘れそー。覚えてたら買ってくわ」
そして、おおざっぱにアイスティー五杯を買っていく忍野。
なつきは時たま、制服を着た姿で学校に現れるようになった。
「誰かいい子はいないかな?」
「何、その眼鏡」
なつきは眼鏡をかけている。
「頭よさそうに見えない?」
「見えない。なんで学校に…」
「まあまあ、陽くんの負担を減らしてあげようという、優しさじゃん」
それは、正直助かる。忍野となつきの両方の相手はしきれない。
今夜は誰が餌食になるのだろう。
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