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5章 銀狐と星の愛子と大地の王冠
71話 情報をなぞり、合わせる
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待機するにしても、私に選択できるのは休息のみ。
私は次に行動できるように、我儘を言わず休むべきではあるが、じっとするのが難しい。一旦小屋の中へ戻り、リュックの中から牙獣の王冠の地図と本を持って、再度外へ出てきた。
本は、アンジェラさんがこれまでに牙獣の王冠を調査しまとめた記録の写本だ。ゲームに出現している魔物を把握し、4年間で生態について知識を頭に入れる様にしてきたが、確認はとても重要であり見落としがあるかもしれない。
外へ出されている一人用のテーブルの上に地図を広げ、椅子へ座った私の膝に乗るグランと一緒に本を読んだ。今日目撃した魔物達をおさらいし、スライムについてのページを捲る
この世界のスライム種は、生態としてはナメクジやカタツムリに近く、植物から腐った生物の死体までなんでも食べる広食性だ。性格はおとなしく、人を襲わないが、農作物へ被害を起こしてしまう。半透明の体の中には目や臓器の集合体となる核があり、それを潰せば死ぬため、素人でも対処しやすい。しかし中には身体を覆う粘液に毒を持つ種類もいるので、素手で触らない様に注意が必要だ。
戦闘能力は低いが、生命力と環境適応能力が高く、広範囲に生息するスライム種はダンジョンの掃除屋として重要な位置にいる。彼らは主に曇りや雨、深夜から朝方にかけて行動し、日中は土の中や岩の隙間で眠っている。産卵は土の中で行い、透明な卵を200から250個ほど生む。
種類によって最小で2㎝、最大で60㎝。寄生虫や老廃物を取ってもらう為にスライムと共生する竜種の例はあるが、生物へ寄生する種は現在発見されていない。
「ねぇ、レフィード」
妖精の話からスライムが気になったが、改めて読み返すと全く当てはまらない。
『どうした?』
「誰かの命令通りに動く生物って存在する?」
妖精王の復活を企てる犯人がいると仮定して、私はレフィードに訊いてみる。
『知能が高い生物であれば訓練、低ければ習性を利用して、対象が人間であれば魔術や心理学による洗脳、そして作り出す方法がある』
「作り出す? どうやって?」
『錬金術師が作り出すホムンクルスやゴーレムだ。両者は魔鉱石の核によって動く。ホムンクルスは人工妖精とも呼ばれ、学習能力が高い上に主の命令を絶対として行動する。ゴーレムは核に刻まれた行動のみであるが、壊れるまで忠実に行ってくれる』
「錬金術か……」
ゲーム上では、少しだけ会話に登場するだけで、物語にほとんど関わりが無い。
魔術師よりも地位が低いのではなく、専門職に近いので表舞台に立たないからだ。この世界での錬金術師は、魔力を持った物質を扱う化学者であり技術者だ。
魔術、数秘術、占星術、冶金術、生物学、地質学、機械学、様々な分野に精通して、初めて錬金術に到達する。膨大な知識を必要とし、資格を取る為の試験は難関とされる。その為、高度な学習をできる環境にある人しか成れず、魔術に比べて普及率が低い。しかし培われた知識によって高度な魔道具が作られ、依頼主からの信頼も得られるので、様々年齢層が試験に挑み、有力な技術者の多くはその資格を持っている。
シャンティスの人工栽培に助力してくれていたアーダイン公爵家の魔術師達も、錬金術師の資格を持っている。学園で5年生の時に錬金術師についてしっかり教わり、聞いてみて初めてわかった事だ。
主人公パーティでは、ロクスウェルが錬金術師に属するが本編ではまだ成っていない。エンディングの後日談には、錬金術師の資格を取得したと一文添えられていた。
『ホムンクルスは元となる生物の生血や肉片、骨からその特性や情報を使って姿形を作るのに対して、ゴーレムは岩や土などの手ごろな資材でも作れる。なので、錬金術師の中でもゴーレムを生み出す場合が多い』
「でも、ホムンクルスの方が生物っぽく動けそう」
『仮の生命が宿る以上、生き物として振る舞いや行動は出来る。ゴーレムと違い学習能力があり、個体によっては飛行や魔術を使う事も出来る分、応用が利くと言える。しかし、竜を作るなら竜の一部を必要とし、その力を十分に発揮するには心臓となる純度の高い魔鉱石が不可欠だ。また、作れたからといって思い通りの能力値を持つ個体に仕上げ、従えるには相当な技量を持っていなければならない。一番の難点は寿命が短く、大よそ予想がついても前兆なく突然死をする。それは戦闘中や失敗が許されない場面であってもだ』
日常的に使うには、コストがかかり過ぎる存在だと理解した。また、仮の命と言う事は、生まれた当初は大きさに限らず赤ん坊に近い状態だ。教育、訓練、人間より覚えが早くとも手間がかかる。それなら、竜であれば雛から育て長年使役できるように育てた方がずっと経済的だ。
「……ホムンクルスを人間で作った方が安そうな話だね」
残酷ではあるが、情報源として最も手に入りやすい資源は人間であると思った。採掘などの労働者、貴族や王族影武者や使用人、暗殺者、使い捨ての人間を作るには格好の品だからだ。
『そうだな。かつては、戦争の際に不足した兵士をホムンクルスで代用していた』
レフィードは何処か複雑そうな表情を浮かべる。精霊王の記憶は知識全般ではあるが、中には倫理を無視した内容や、大きな過ちや事故によって得られた分野もあるだろう。私は記憶の保管庫であるだけで、内容は見ることが出来ない。レフィード一人に負担をかけているようで、心配になって来た。
『……しかし、兵器としての運用の場合は必ずしも人間や竜、馬などを作るとは限らない。虎と鷲等を掛け合わせた合成生物を作る場合もあった』
風翼竜ヴァーユイシャの様に鱗が体毛の様な形へ進化したように、その過程で今までにない特性を得る事例が在っても、この世界では継ぎ合わせたようなキメラは種族として存在しない。例外的な種はいるが、もし見つかればアンジェラさんなら、すぐに判別できる。
「今回の目撃された存在も、スライムのような合成生物の可能性があるのかな」
『その可能性も考えられる。アンジェラ達が発見できれば、良いが……』
「昨日見つけた場所以外にも、目星をつけておきたいよね」
私は本を閉じて、牙獣の王冠の地図を見た。風森の神殿と同じく、円形に近い構造となっているが、小さな池が幾つか点在している。もしスライム系の合成生物なら池の周辺に居そうだ。
「さっきの子に、もう少し話を聞いておけばよかった」
『あら? 妖精が1人な訳ないでしょう?』
『そうよぉ。この空間を維持しなくちゃいけないんだからぁ』
目撃情報をもっと聞いておけば、とつぶやいた時、私の左肩に妖精2人が現れた。
ミミズクの様な髪型に背には蝶の羽、蛾のような触覚に背は猛禽類の翼を生やした妖精。どちらも女性的でありながら、異形の体格をしている。
「あの、え? どうも……?」
当然の様に現れた2人。妖精って、こんなに簡単に姿を現して話をするなんて、少し意外に思えてしまった。
『私達はいつもどこにでもいるわ。あなたの雛の様に、いつもは姿を隠しているだけよ』
考えが顔に出ていたのだろうか。思わず左頬に手を添えてしまった。
「聞きたい事があって、答えてくれるかな?」
『いいけどぉ。何か対価を頂戴な』
『人間の食い物寄越しなさい!』
2人が私の髪の毛を軽く引っ張りながら、催促をしてくる。ちょっと痛い。
先程の子は確かに責任感があり、人間に対して譲歩してくれる性格なのが分かった。
「ちょっと待ってて。小屋の中のリュックにお菓子が入っているの」
私は再び小屋に戻り、ビスケットとキャラメルを持って来る。2人はこれを知っている様子で、満足してくれた。
『私、あそこで赤いの見たわ』
『あらぁ、ワタシはここで二匹いたのを見たわ』
お菓子を食べつつ2人は、次々と教えてくれる。
特定の場所ではなく牙獣の王冠全体で目撃し、妖精達は星の愛子達には注意を促していたらしい。私は目撃情報のあった場所へ印をつけていく。
「何をやっていたか、知っている? それと、何日前くらいから?」
『魔物に憑依して暴れていたわ』
『ずーっと動いていたわぁ。確か2週間前に、最初の変なものが動いているのを他の子が見て、皆に教えてくれたのよぉ』
アンジェラさんが例えたように蟲毒であるなら、複数の個体が何らかの条件を達成すると、さらに殺し合いをし始める。そして最後に残った一体は、強力な負の想念の怪物として生まれ落ちる。
「かなり初歩の魔方陣ですね」
「え?」
紅茶を淹れてくれたニアギスが、地図を見て言った。
「この点を線で結べば、五方星が完成します。この手法は、結界魔術を城や町に発動させる際によく使われます」
ニアギスの指が通った道筋をなぞると、円の中に五方星が書かれた魔方陣が出来上がった。魔力を持った子供が初めて習う位に単純な造りだが、それ故に応用の幅が広い魔方陣だ。
「滞在中のアンジェラさんは、どうして気づけなかったのかな?」
「敵に見つからないよう魔方陣の隠す行為は、魔術師の間で当たり前に行われます。また魔方陣は線を書いただけでは、発動しません」
アンジェラさんの上半身には魔方陣が幾つか書かれているが、本人が術式を選んで発動させているのを見て来たので納得した。
「魔方陣を書かせながら、寄生と蟲毒によって練り上げた強力な毒を生成。そして完了後、毒を触媒に何らかの魔術を発動させる計画であると予想されます」
妖精王復活の予兆となる大地震が脳裏に浮かんだ。
私は次に行動できるように、我儘を言わず休むべきではあるが、じっとするのが難しい。一旦小屋の中へ戻り、リュックの中から牙獣の王冠の地図と本を持って、再度外へ出てきた。
本は、アンジェラさんがこれまでに牙獣の王冠を調査しまとめた記録の写本だ。ゲームに出現している魔物を把握し、4年間で生態について知識を頭に入れる様にしてきたが、確認はとても重要であり見落としがあるかもしれない。
外へ出されている一人用のテーブルの上に地図を広げ、椅子へ座った私の膝に乗るグランと一緒に本を読んだ。今日目撃した魔物達をおさらいし、スライムについてのページを捲る
この世界のスライム種は、生態としてはナメクジやカタツムリに近く、植物から腐った生物の死体までなんでも食べる広食性だ。性格はおとなしく、人を襲わないが、農作物へ被害を起こしてしまう。半透明の体の中には目や臓器の集合体となる核があり、それを潰せば死ぬため、素人でも対処しやすい。しかし中には身体を覆う粘液に毒を持つ種類もいるので、素手で触らない様に注意が必要だ。
戦闘能力は低いが、生命力と環境適応能力が高く、広範囲に生息するスライム種はダンジョンの掃除屋として重要な位置にいる。彼らは主に曇りや雨、深夜から朝方にかけて行動し、日中は土の中や岩の隙間で眠っている。産卵は土の中で行い、透明な卵を200から250個ほど生む。
種類によって最小で2㎝、最大で60㎝。寄生虫や老廃物を取ってもらう為にスライムと共生する竜種の例はあるが、生物へ寄生する種は現在発見されていない。
「ねぇ、レフィード」
妖精の話からスライムが気になったが、改めて読み返すと全く当てはまらない。
『どうした?』
「誰かの命令通りに動く生物って存在する?」
妖精王の復活を企てる犯人がいると仮定して、私はレフィードに訊いてみる。
『知能が高い生物であれば訓練、低ければ習性を利用して、対象が人間であれば魔術や心理学による洗脳、そして作り出す方法がある』
「作り出す? どうやって?」
『錬金術師が作り出すホムンクルスやゴーレムだ。両者は魔鉱石の核によって動く。ホムンクルスは人工妖精とも呼ばれ、学習能力が高い上に主の命令を絶対として行動する。ゴーレムは核に刻まれた行動のみであるが、壊れるまで忠実に行ってくれる』
「錬金術か……」
ゲーム上では、少しだけ会話に登場するだけで、物語にほとんど関わりが無い。
魔術師よりも地位が低いのではなく、専門職に近いので表舞台に立たないからだ。この世界での錬金術師は、魔力を持った物質を扱う化学者であり技術者だ。
魔術、数秘術、占星術、冶金術、生物学、地質学、機械学、様々な分野に精通して、初めて錬金術に到達する。膨大な知識を必要とし、資格を取る為の試験は難関とされる。その為、高度な学習をできる環境にある人しか成れず、魔術に比べて普及率が低い。しかし培われた知識によって高度な魔道具が作られ、依頼主からの信頼も得られるので、様々年齢層が試験に挑み、有力な技術者の多くはその資格を持っている。
シャンティスの人工栽培に助力してくれていたアーダイン公爵家の魔術師達も、錬金術師の資格を持っている。学園で5年生の時に錬金術師についてしっかり教わり、聞いてみて初めてわかった事だ。
主人公パーティでは、ロクスウェルが錬金術師に属するが本編ではまだ成っていない。エンディングの後日談には、錬金術師の資格を取得したと一文添えられていた。
『ホムンクルスは元となる生物の生血や肉片、骨からその特性や情報を使って姿形を作るのに対して、ゴーレムは岩や土などの手ごろな資材でも作れる。なので、錬金術師の中でもゴーレムを生み出す場合が多い』
「でも、ホムンクルスの方が生物っぽく動けそう」
『仮の生命が宿る以上、生き物として振る舞いや行動は出来る。ゴーレムと違い学習能力があり、個体によっては飛行や魔術を使う事も出来る分、応用が利くと言える。しかし、竜を作るなら竜の一部を必要とし、その力を十分に発揮するには心臓となる純度の高い魔鉱石が不可欠だ。また、作れたからといって思い通りの能力値を持つ個体に仕上げ、従えるには相当な技量を持っていなければならない。一番の難点は寿命が短く、大よそ予想がついても前兆なく突然死をする。それは戦闘中や失敗が許されない場面であってもだ』
日常的に使うには、コストがかかり過ぎる存在だと理解した。また、仮の命と言う事は、生まれた当初は大きさに限らず赤ん坊に近い状態だ。教育、訓練、人間より覚えが早くとも手間がかかる。それなら、竜であれば雛から育て長年使役できるように育てた方がずっと経済的だ。
「……ホムンクルスを人間で作った方が安そうな話だね」
残酷ではあるが、情報源として最も手に入りやすい資源は人間であると思った。採掘などの労働者、貴族や王族影武者や使用人、暗殺者、使い捨ての人間を作るには格好の品だからだ。
『そうだな。かつては、戦争の際に不足した兵士をホムンクルスで代用していた』
レフィードは何処か複雑そうな表情を浮かべる。精霊王の記憶は知識全般ではあるが、中には倫理を無視した内容や、大きな過ちや事故によって得られた分野もあるだろう。私は記憶の保管庫であるだけで、内容は見ることが出来ない。レフィード一人に負担をかけているようで、心配になって来た。
『……しかし、兵器としての運用の場合は必ずしも人間や竜、馬などを作るとは限らない。虎と鷲等を掛け合わせた合成生物を作る場合もあった』
風翼竜ヴァーユイシャの様に鱗が体毛の様な形へ進化したように、その過程で今までにない特性を得る事例が在っても、この世界では継ぎ合わせたようなキメラは種族として存在しない。例外的な種はいるが、もし見つかればアンジェラさんなら、すぐに判別できる。
「今回の目撃された存在も、スライムのような合成生物の可能性があるのかな」
『その可能性も考えられる。アンジェラ達が発見できれば、良いが……』
「昨日見つけた場所以外にも、目星をつけておきたいよね」
私は本を閉じて、牙獣の王冠の地図を見た。風森の神殿と同じく、円形に近い構造となっているが、小さな池が幾つか点在している。もしスライム系の合成生物なら池の周辺に居そうだ。
「さっきの子に、もう少し話を聞いておけばよかった」
『あら? 妖精が1人な訳ないでしょう?』
『そうよぉ。この空間を維持しなくちゃいけないんだからぁ』
目撃情報をもっと聞いておけば、とつぶやいた時、私の左肩に妖精2人が現れた。
ミミズクの様な髪型に背には蝶の羽、蛾のような触覚に背は猛禽類の翼を生やした妖精。どちらも女性的でありながら、異形の体格をしている。
「あの、え? どうも……?」
当然の様に現れた2人。妖精って、こんなに簡単に姿を現して話をするなんて、少し意外に思えてしまった。
『私達はいつもどこにでもいるわ。あなたの雛の様に、いつもは姿を隠しているだけよ』
考えが顔に出ていたのだろうか。思わず左頬に手を添えてしまった。
「聞きたい事があって、答えてくれるかな?」
『いいけどぉ。何か対価を頂戴な』
『人間の食い物寄越しなさい!』
2人が私の髪の毛を軽く引っ張りながら、催促をしてくる。ちょっと痛い。
先程の子は確かに責任感があり、人間に対して譲歩してくれる性格なのが分かった。
「ちょっと待ってて。小屋の中のリュックにお菓子が入っているの」
私は再び小屋に戻り、ビスケットとキャラメルを持って来る。2人はこれを知っている様子で、満足してくれた。
『私、あそこで赤いの見たわ』
『あらぁ、ワタシはここで二匹いたのを見たわ』
お菓子を食べつつ2人は、次々と教えてくれる。
特定の場所ではなく牙獣の王冠全体で目撃し、妖精達は星の愛子達には注意を促していたらしい。私は目撃情報のあった場所へ印をつけていく。
「何をやっていたか、知っている? それと、何日前くらいから?」
『魔物に憑依して暴れていたわ』
『ずーっと動いていたわぁ。確か2週間前に、最初の変なものが動いているのを他の子が見て、皆に教えてくれたのよぉ』
アンジェラさんが例えたように蟲毒であるなら、複数の個体が何らかの条件を達成すると、さらに殺し合いをし始める。そして最後に残った一体は、強力な負の想念の怪物として生まれ落ちる。
「かなり初歩の魔方陣ですね」
「え?」
紅茶を淹れてくれたニアギスが、地図を見て言った。
「この点を線で結べば、五方星が完成します。この手法は、結界魔術を城や町に発動させる際によく使われます」
ニアギスの指が通った道筋をなぞると、円の中に五方星が書かれた魔方陣が出来上がった。魔力を持った子供が初めて習う位に単純な造りだが、それ故に応用の幅が広い魔方陣だ。
「滞在中のアンジェラさんは、どうして気づけなかったのかな?」
「敵に見つからないよう魔方陣の隠す行為は、魔術師の間で当たり前に行われます。また魔方陣は線を書いただけでは、発動しません」
アンジェラさんの上半身には魔方陣が幾つか書かれているが、本人が術式を選んで発動させているのを見て来たので納得した。
「魔方陣を書かせながら、寄生と蟲毒によって練り上げた強力な毒を生成。そして完了後、毒を触媒に何らかの魔術を発動させる計画であると予想されます」
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