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六章
68話
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白い世界がいつにも増して冷たく感じる。シャングアはそう思いながら、エンティーと共に、竜を引き連れるエンディリアムの後ろ姿を見つめる。歩みを進める彼は何を考え、この時を待っていたのか計り知れず、祖母が、否、家族がここまでして自分を守り抜いたのか理解が出来なかった。虚ろな思考の子供の両手足を縛る事も、部屋へ閉じ込め四六時中監視し続ける事も可能であったはずが、何もせずにただ遠巻きに見守り続けた。
いつ、どこで何かが欠け、作戦が上手くいかずに神殿が内側から壊れていた可能性も充分にある。皇族の奇蹟の力やαの性で片付けられるような簡単なものではない。
「……こちらが、初代聖皇様のお墓とされる場所です」
案内役は、躊躇いがちに言った。
そこは、まだ誓約を結んでいなかったエンティーとシャングアが、時折過ごしていた神殿の外れ。小さな噴水が設けられた一角だ。
2人の知っている墓標では無かった。初代聖皇の墓は神殿内部ではなく、島にある高台に設けられていると教えられていた。高い塔にも似た墓標はまるで島全体を見守り、外殻だけでなく外界からやって来る人々が、祈りと感謝を込めて花を手向けに訪れる。
高台の墓は〈空〉であり偽物。その事実と、墓には到底見えない場所に2人は驚き、エンディリアムの後ろ姿を見る。
「そう……」
エンディリアムは静かにそう言うと、微笑んだ。
「相変わらずだね。目印に噴水を置くなんて、洒落ているじゃないか」
まるで仲の良い友人と会うかのように、エンディリアムの口調が砕ける。
「きみは下がってくれ。エンティーさんとシャングアさんと話したい」
「かしこまりました」
案内役は急いでその場を後にし、3人と一匹が残される。
エンディリアムは、ただじっと噴水を見つけている。
さらさらと透明な水が流れ落ち、時折飛沫が宙を舞う。光に照らされ、淡い虹が顔を覗かせる。
穏やかな風が吹いている。温かな日差しを受けている。
絵画のように美しく、なのに、まるで冬のように凍えてしまいそうだ。
「エンディリアム様……?」
「あぁ、大丈夫。噴水は壊さないよ。大丈夫。どうして、ルエンカーナの名が神殿に使われたのか、ようやく理解した」
エンティーの呼びかけに、エンディリアムは振り返らずに応える。
「……こんな石材は、世界の何処にもない。花崗岩や大理石でもない。奇跡の石とも言えるだろう」
シャングアは問おうとしたが、その言葉を飲み込んだ。エンディリアムの口から語られなければならない。
「シャングアさんは、とても賢く勘が鋭いね。失った歳月を取り戻せはしないが、歩みを止める程に手遅れではない」
エンディリアムは振り返り、どこか懐かしそうに微笑みを浮かべている。
「年寄りの昔話を聞いてくれるかな?」
「はい。勿論です」
シャングアの手をエンティーは握り、それに応えるように握り返した。
約1400年前。白呪の民は西大陸の山岳地帯にひっそりと暮らしていた。ある時、3つの大国が戦争を開始し、傷つき逃げ延びた人間達は険しい山岳地帯へと足を踏み入れた。白呪の民はそれを受け入れ、彼らを介抱した。善意の行動が、魔の手を引き寄せるきっかけとなった。長引く戦争に、人間達は軍資金を得る必要が出てきた。人間以外は全て金になる商品に様変わりし、白呪の民の虐殺が開始された。彼らの美しい鱗と宝玉はその希少価値から海を隔てる他国で高額に取引され、不要となった血肉は飢える民へと支給された。
血の匂いと死の恐怖が常に隣にいる地獄の日々であった。仲間を逃がす為にまた一人、また一人と別れの言葉を紡いだ。
エンディリアムと生き残った10人の白呪の民は、船を使い海へと逃れた。
「流れ着いたこの島の人々は、我々を快く受け入れてくれた。しかし、平和な時代がやって来ると、外界からやって来た人々が病を持って来てしまった」
島の人々は、その病に対して免疫を持っていなかった。高熱によって多くの人々が倒れ、体力のない小さな子供は命を落とした。
外界から薬を取り寄せるが、島の人々には一向に効果が出なかった。
「原因は、島の人々の持つ通称〈神力〉だった。神の時代が終わった世界で、その名残を持った人々は進化から取り残されてしまっていたんだ」
エンディリアムと10人の生き残りは、白呪の血を人々に分け与える事を決定した。
「我々もまた、神の時代から取り残された者。生血には、病を無効化する特異な性質がある。それを恩人である人々を救えると考えた。最終手段だった。外界の医学を取り入れようと、何一つ快方へ向かわず、人々の命は手のひらから零れ落ちて行った」
結果として、確かに人々は病から救われた。だが、それは大きな過ちを産んだ。
白呪の血が人に及ぼす影響は、島の人々の新生児に現れた。
白銀の髪、青い瞳、白い肌。そして、成長するにつれて現れだす宝玉。
のちに語られる〈聖徒〉の誕生であった。
「我々には、人として特異の性がある。白呪の第二の性はΩを起源とする生態。若い個体はΩの性を持ち、成熟と共にβ、αへと性転換を遂げていく。額や眉間の宝玉は成長を見る目印の役割を担っている」
しかし、人間の体ではその変化を受け止めきることは出来なかった。
白銀の髪の子供達は、生まれ持った性と成長で発現する性の二つを持つ事となってしまった。
島の人々は、助けるために自らの血を分け与えてくれた白呪を憎むことは無かった。彼らの血が無ければ、島の人々は全滅していたからだ。けれど白呪の民は、人々を穢してしまった事を大いに後悔し、自らを責め続けた。
そんな彼らに手を差し伸べたのが、島の医師ルエンカーナであった。
「彼女ルエンカーナは、私の罪と罰を共に背負い、医療の研究と発展に力を注いだ。私は同胞を引き連れ、血によって汚染された人々を浄化する方法を探す為に、償いの旅を続けた。何度も、何度も、手紙を交わし続けた」
初代聖皇ルエンカーナ。エンディリアムの最愛の人。
2人は離れて過ごそうとも、共に戦いを続けていた。
ルエンカーナの死後もエンディリアム達は方法を探し続け、今から約900年前、浄化する方法は発見された。しかし、長命種の竜と人間の時の流れは余りにも違う。人々は神殿の門を固く閉ざし、その色を手放さなかった。
外界から押し寄せる波は大きく、ルエンカーナの〈奇蹟〉の目覚めと発動は、島に新たな時代を迎えていた。純血の島の住民による奇蹟の力は、海底深くの地形にすら大きな影響力を及ぼし、歴史は捻じ曲げられ、政治と信仰が絡み合い、空席の神の座にエンディリアムの名が刻まれてしまった。
人々は代を重ね、第二の性が確立され、島を守る事を名目に白呪の民の存在は抹消された。
全ては、助けたいと言う善意が引き起こした悲劇である。だが、それを悲劇と呼び、誰を咎めるべきか誰にも分らなくなってしまった。
「結果がこれだ。罪人は神に祭り上げられ、聖人は神殿に成り果てた」
それでも対話を試み、一部の白呪の民は島に隠れ住み機会を伺っていたが、それが新たな問題を生み出すきっかけとなった。
人間と白呪の民との間にエンティーが誕生し、傲慢な試みが激化した。
「俺は……当時の最善を尽くした人達を、悪いとは思えません。それに、今の島があるのはあなた方のお陰です。これまで俺のお父さんにした仕打ちや、俺やΩ達の受けてきた差別、長年の聖徒達にされていた洗脳や実験の方が、ずっと罪深いと思います」
エンティーは迷いなくエンディリアムに言った。
その時を必死に生きていた人々に、未来を見通す力なんてない。エンディリアム達が血を分け与えてくれなければ島は滅び、ルエンカーナが医療の研究と発展に尽力しなければ、今の繁栄と美しい風景は存在しない。結果として劣悪な差別を生んだが、それは後世の人々の産物である。
「白呪の色は、今はとても神聖な色とされます。外殻で色を持って生まれた子は、神殿に迎えられるようになりました」
神殿内部でも差別と偏見は色濃く存在する。それでも〈悪〉の烙印が押される時は〈個〉の行いからだ。
「ルエンカーナ様の為にも…………責めないでください」
最後まで罪と罰を一方へと担わせず、元凶とも悪とも口にすることなく、必ず帰って来る人をこの地で待ち続けた1人の〈女性〉は、確かにいた。
「ありがとう」
微笑むエンディリアムだが、その心の内は計り知れない。けれど、凍える様な寒さが少し和らいだように感じられる。
「これから、どうなさるおつもりですか?」
「白衣の医療団としては動き、神殿と対話を続けるよ。Ω達の治療をしなければならないからね。それにエンティーの体質についても、ここの知識だけでは不十分だろう」
シャングアの問いに、エンディリアムは前向きに答える。
「君は、どうするつもりだい?」
「……僕は記憶に空白があり、ちゃんと過去を飲み込まなければなりません。僕には時間が必要です」
センテルシュアーデからまだ話を聞いていない。シャングアは自分の立場を改めて考え直さなければならない時が目の前に迫っている。
いつ、どこで何かが欠け、作戦が上手くいかずに神殿が内側から壊れていた可能性も充分にある。皇族の奇蹟の力やαの性で片付けられるような簡単なものではない。
「……こちらが、初代聖皇様のお墓とされる場所です」
案内役は、躊躇いがちに言った。
そこは、まだ誓約を結んでいなかったエンティーとシャングアが、時折過ごしていた神殿の外れ。小さな噴水が設けられた一角だ。
2人の知っている墓標では無かった。初代聖皇の墓は神殿内部ではなく、島にある高台に設けられていると教えられていた。高い塔にも似た墓標はまるで島全体を見守り、外殻だけでなく外界からやって来る人々が、祈りと感謝を込めて花を手向けに訪れる。
高台の墓は〈空〉であり偽物。その事実と、墓には到底見えない場所に2人は驚き、エンディリアムの後ろ姿を見る。
「そう……」
エンディリアムは静かにそう言うと、微笑んだ。
「相変わらずだね。目印に噴水を置くなんて、洒落ているじゃないか」
まるで仲の良い友人と会うかのように、エンディリアムの口調が砕ける。
「きみは下がってくれ。エンティーさんとシャングアさんと話したい」
「かしこまりました」
案内役は急いでその場を後にし、3人と一匹が残される。
エンディリアムは、ただじっと噴水を見つけている。
さらさらと透明な水が流れ落ち、時折飛沫が宙を舞う。光に照らされ、淡い虹が顔を覗かせる。
穏やかな風が吹いている。温かな日差しを受けている。
絵画のように美しく、なのに、まるで冬のように凍えてしまいそうだ。
「エンディリアム様……?」
「あぁ、大丈夫。噴水は壊さないよ。大丈夫。どうして、ルエンカーナの名が神殿に使われたのか、ようやく理解した」
エンティーの呼びかけに、エンディリアムは振り返らずに応える。
「……こんな石材は、世界の何処にもない。花崗岩や大理石でもない。奇跡の石とも言えるだろう」
シャングアは問おうとしたが、その言葉を飲み込んだ。エンディリアムの口から語られなければならない。
「シャングアさんは、とても賢く勘が鋭いね。失った歳月を取り戻せはしないが、歩みを止める程に手遅れではない」
エンディリアムは振り返り、どこか懐かしそうに微笑みを浮かべている。
「年寄りの昔話を聞いてくれるかな?」
「はい。勿論です」
シャングアの手をエンティーは握り、それに応えるように握り返した。
約1400年前。白呪の民は西大陸の山岳地帯にひっそりと暮らしていた。ある時、3つの大国が戦争を開始し、傷つき逃げ延びた人間達は険しい山岳地帯へと足を踏み入れた。白呪の民はそれを受け入れ、彼らを介抱した。善意の行動が、魔の手を引き寄せるきっかけとなった。長引く戦争に、人間達は軍資金を得る必要が出てきた。人間以外は全て金になる商品に様変わりし、白呪の民の虐殺が開始された。彼らの美しい鱗と宝玉はその希少価値から海を隔てる他国で高額に取引され、不要となった血肉は飢える民へと支給された。
血の匂いと死の恐怖が常に隣にいる地獄の日々であった。仲間を逃がす為にまた一人、また一人と別れの言葉を紡いだ。
エンディリアムと生き残った10人の白呪の民は、船を使い海へと逃れた。
「流れ着いたこの島の人々は、我々を快く受け入れてくれた。しかし、平和な時代がやって来ると、外界からやって来た人々が病を持って来てしまった」
島の人々は、その病に対して免疫を持っていなかった。高熱によって多くの人々が倒れ、体力のない小さな子供は命を落とした。
外界から薬を取り寄せるが、島の人々には一向に効果が出なかった。
「原因は、島の人々の持つ通称〈神力〉だった。神の時代が終わった世界で、その名残を持った人々は進化から取り残されてしまっていたんだ」
エンディリアムと10人の生き残りは、白呪の血を人々に分け与える事を決定した。
「我々もまた、神の時代から取り残された者。生血には、病を無効化する特異な性質がある。それを恩人である人々を救えると考えた。最終手段だった。外界の医学を取り入れようと、何一つ快方へ向かわず、人々の命は手のひらから零れ落ちて行った」
結果として、確かに人々は病から救われた。だが、それは大きな過ちを産んだ。
白呪の血が人に及ぼす影響は、島の人々の新生児に現れた。
白銀の髪、青い瞳、白い肌。そして、成長するにつれて現れだす宝玉。
のちに語られる〈聖徒〉の誕生であった。
「我々には、人として特異の性がある。白呪の第二の性はΩを起源とする生態。若い個体はΩの性を持ち、成熟と共にβ、αへと性転換を遂げていく。額や眉間の宝玉は成長を見る目印の役割を担っている」
しかし、人間の体ではその変化を受け止めきることは出来なかった。
白銀の髪の子供達は、生まれ持った性と成長で発現する性の二つを持つ事となってしまった。
島の人々は、助けるために自らの血を分け与えてくれた白呪を憎むことは無かった。彼らの血が無ければ、島の人々は全滅していたからだ。けれど白呪の民は、人々を穢してしまった事を大いに後悔し、自らを責め続けた。
そんな彼らに手を差し伸べたのが、島の医師ルエンカーナであった。
「彼女ルエンカーナは、私の罪と罰を共に背負い、医療の研究と発展に力を注いだ。私は同胞を引き連れ、血によって汚染された人々を浄化する方法を探す為に、償いの旅を続けた。何度も、何度も、手紙を交わし続けた」
初代聖皇ルエンカーナ。エンディリアムの最愛の人。
2人は離れて過ごそうとも、共に戦いを続けていた。
ルエンカーナの死後もエンディリアム達は方法を探し続け、今から約900年前、浄化する方法は発見された。しかし、長命種の竜と人間の時の流れは余りにも違う。人々は神殿の門を固く閉ざし、その色を手放さなかった。
外界から押し寄せる波は大きく、ルエンカーナの〈奇蹟〉の目覚めと発動は、島に新たな時代を迎えていた。純血の島の住民による奇蹟の力は、海底深くの地形にすら大きな影響力を及ぼし、歴史は捻じ曲げられ、政治と信仰が絡み合い、空席の神の座にエンディリアムの名が刻まれてしまった。
人々は代を重ね、第二の性が確立され、島を守る事を名目に白呪の民の存在は抹消された。
全ては、助けたいと言う善意が引き起こした悲劇である。だが、それを悲劇と呼び、誰を咎めるべきか誰にも分らなくなってしまった。
「結果がこれだ。罪人は神に祭り上げられ、聖人は神殿に成り果てた」
それでも対話を試み、一部の白呪の民は島に隠れ住み機会を伺っていたが、それが新たな問題を生み出すきっかけとなった。
人間と白呪の民との間にエンティーが誕生し、傲慢な試みが激化した。
「俺は……当時の最善を尽くした人達を、悪いとは思えません。それに、今の島があるのはあなた方のお陰です。これまで俺のお父さんにした仕打ちや、俺やΩ達の受けてきた差別、長年の聖徒達にされていた洗脳や実験の方が、ずっと罪深いと思います」
エンティーは迷いなくエンディリアムに言った。
その時を必死に生きていた人々に、未来を見通す力なんてない。エンディリアム達が血を分け与えてくれなければ島は滅び、ルエンカーナが医療の研究と発展に尽力しなければ、今の繁栄と美しい風景は存在しない。結果として劣悪な差別を生んだが、それは後世の人々の産物である。
「白呪の色は、今はとても神聖な色とされます。外殻で色を持って生まれた子は、神殿に迎えられるようになりました」
神殿内部でも差別と偏見は色濃く存在する。それでも〈悪〉の烙印が押される時は〈個〉の行いからだ。
「ルエンカーナ様の為にも…………責めないでください」
最後まで罪と罰を一方へと担わせず、元凶とも悪とも口にすることなく、必ず帰って来る人をこの地で待ち続けた1人の〈女性〉は、確かにいた。
「ありがとう」
微笑むエンディリアムだが、その心の内は計り知れない。けれど、凍える様な寒さが少し和らいだように感じられる。
「これから、どうなさるおつもりですか?」
「白衣の医療団としては動き、神殿と対話を続けるよ。Ω達の治療をしなければならないからね。それにエンティーの体質についても、ここの知識だけでは不十分だろう」
シャングアの問いに、エンディリアムは前向きに答える。
「君は、どうするつもりだい?」
「……僕は記憶に空白があり、ちゃんと過去を飲み込まなければなりません。僕には時間が必要です」
センテルシュアーデからまだ話を聞いていない。シャングアは自分の立場を改めて考え直さなければならない時が目の前に迫っている。
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