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二章
26話
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飛竜の悲鳴が響き渡り、エンティーはゆっくりと目を開ける。
地面から伸びる黄金の鎖。飛竜は拘束され身動きが取れず、引き千切ろうともがくが、動くほどに縛りの強さが増して行く。
淡く光るその鎖を見て、神力で作られたものだと気づいたエンティーは、救助が来たと安堵する。不安もまた、募る。かなりの距離を走り続け、竜騎士達が来るには遠すぎる。飛竜の暴走となれば大事であり、他の騎士団も応援に駆け付けているはずだ。
貴族達とは違い以前の兵士のように、武力のある人は面と向かって暴言を吐く傾向がある。噂や見聞きした事柄を面白半分で膨張させ、周囲にまき散らす。この状況で、そんな人に救助されれば、何を言われ、何を言いふらされてしまうか分からない。
エンティーは這ってでも、どうにかして動こうとする。
彼の元へ白い石畳み蹴り上げ、駆けてくる足音が近づく。
「エンティー!」
その声にエンティーは動きを止める。
飛竜の影から現れたのは、シャングアだ。走り続けていたのか顔が赤く汗ばみ、肩が上下する程に息が荒い。必死に探してくれていたとすぐに分かり、エンティーは今にも涙が溢れそうだ。
「シャングア……」
弱々しく応えるエンティーだが、足が震えるばかりで動かず起き上がれない。
シャングアは直ぐに気づき、急いで近寄るとエンティーを抱き上げる。
「怪我はない?」
シャングアの腕の中にうずくまるエンティーは小さく頷いた。小刻みに震える体をシャングアは優しく強く抱きしめる。
「心配したんだ」
「ごめん。俺……足が動かないんだ」
「こういう時は、ありがとうって言って。エンティーは凄く頑張ったよ」
飛竜は拘束されているが、この場が安全とは限らない。シャングアはエンティーを抱き抱えながら移動を開始しようとする。
だが、
「いっ!!」
シャングアは痛みを感じ、額を右手で抑える。エンティーを落とさないように、何とか体制を立て直すが、痛みを感じた表情を露にしている。額から離された手の平には、紺色の結晶の欠片が付着している。
「シャングア。額の宝玉が……」
「え?」
シャングアの額の宝玉が割れ、残っている箇所には大きなヒビが入っている。
驚くエンティーを目の前にして、シャングアは一瞬理解できなかった。第二の性が判明し額の宝玉が成長してから、一度もひびが入り割れるなんて経験した事が無かったからだ。
それによって何が起こるかも、知らなかった。
瞬間、飛竜は大きな雄叫びを上げる。
動き出した飛竜によって鎖が数本引き千切られ、今にも解放されようとしている。宝玉が割れてしまい、神力を操る力が低下してしまっている。
シャングア走り出そうとすると、何かが二人の横を通り過ぎる。
光を放つ金の鎖。シャングアが出現させたものよりも、さらに輝き、太く頑丈に構成されている。
それは飛竜の首へと巻き付き拘束すると、地面へと叩きつけるように一気に鎖が引っ張られる。その速さに抵抗が追い付かず倒れ込んだ飛竜の全身には、さらに地面から出現した鎖が巻き付く。今度こそ、身動きが全く取れない状況を作り上げた。
「間に合ってる?!」
「はい! お二人とも怪我は無い様子です!」
二人の男性の声が聞こえた直後、白銀の鎧を身に纏った騎士達がシャングア達の元へと到着する。
盾を持った騎士が二人と飛竜の間に立ち、鎖と布を持った騎士達によって速やかに捕獲作業が開始される。
「シャングア様。エンティー様」
先程の声の主の1人である騎士が、シャングア達の元へ駆け寄る。
「飛竜の事は聖騎士達にお任せください。御二人は、診療室にお送りいたします」
エンティーとシャングアは安堵の表情を浮かべる。
地面から伸びる黄金の鎖。飛竜は拘束され身動きが取れず、引き千切ろうともがくが、動くほどに縛りの強さが増して行く。
淡く光るその鎖を見て、神力で作られたものだと気づいたエンティーは、救助が来たと安堵する。不安もまた、募る。かなりの距離を走り続け、竜騎士達が来るには遠すぎる。飛竜の暴走となれば大事であり、他の騎士団も応援に駆け付けているはずだ。
貴族達とは違い以前の兵士のように、武力のある人は面と向かって暴言を吐く傾向がある。噂や見聞きした事柄を面白半分で膨張させ、周囲にまき散らす。この状況で、そんな人に救助されれば、何を言われ、何を言いふらされてしまうか分からない。
エンティーは這ってでも、どうにかして動こうとする。
彼の元へ白い石畳み蹴り上げ、駆けてくる足音が近づく。
「エンティー!」
その声にエンティーは動きを止める。
飛竜の影から現れたのは、シャングアだ。走り続けていたのか顔が赤く汗ばみ、肩が上下する程に息が荒い。必死に探してくれていたとすぐに分かり、エンティーは今にも涙が溢れそうだ。
「シャングア……」
弱々しく応えるエンティーだが、足が震えるばかりで動かず起き上がれない。
シャングアは直ぐに気づき、急いで近寄るとエンティーを抱き上げる。
「怪我はない?」
シャングアの腕の中にうずくまるエンティーは小さく頷いた。小刻みに震える体をシャングアは優しく強く抱きしめる。
「心配したんだ」
「ごめん。俺……足が動かないんだ」
「こういう時は、ありがとうって言って。エンティーは凄く頑張ったよ」
飛竜は拘束されているが、この場が安全とは限らない。シャングアはエンティーを抱き抱えながら移動を開始しようとする。
だが、
「いっ!!」
シャングアは痛みを感じ、額を右手で抑える。エンティーを落とさないように、何とか体制を立て直すが、痛みを感じた表情を露にしている。額から離された手の平には、紺色の結晶の欠片が付着している。
「シャングア。額の宝玉が……」
「え?」
シャングアの額の宝玉が割れ、残っている箇所には大きなヒビが入っている。
驚くエンティーを目の前にして、シャングアは一瞬理解できなかった。第二の性が判明し額の宝玉が成長してから、一度もひびが入り割れるなんて経験した事が無かったからだ。
それによって何が起こるかも、知らなかった。
瞬間、飛竜は大きな雄叫びを上げる。
動き出した飛竜によって鎖が数本引き千切られ、今にも解放されようとしている。宝玉が割れてしまい、神力を操る力が低下してしまっている。
シャングア走り出そうとすると、何かが二人の横を通り過ぎる。
光を放つ金の鎖。シャングアが出現させたものよりも、さらに輝き、太く頑丈に構成されている。
それは飛竜の首へと巻き付き拘束すると、地面へと叩きつけるように一気に鎖が引っ張られる。その速さに抵抗が追い付かず倒れ込んだ飛竜の全身には、さらに地面から出現した鎖が巻き付く。今度こそ、身動きが全く取れない状況を作り上げた。
「間に合ってる?!」
「はい! お二人とも怪我は無い様子です!」
二人の男性の声が聞こえた直後、白銀の鎧を身に纏った騎士達がシャングア達の元へと到着する。
盾を持った騎士が二人と飛竜の間に立ち、鎖と布を持った騎士達によって速やかに捕獲作業が開始される。
「シャングア様。エンティー様」
先程の声の主の1人である騎士が、シャングア達の元へ駆け寄る。
「飛竜の事は聖騎士達にお任せください。御二人は、診療室にお送りいたします」
エンティーとシャングアは安堵の表情を浮かべる。
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