転生少女と聖魔剣の物語

じゅんとく

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魔の森、攻略!

魔の森、潜入(1)

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 森まで少し距離があるが……それでも、魔物の鳴き声が、彼等の居る付近まで聞こえて来た。まるで……今直ぐにでも襲って来そうな雰囲気の中、ひとときの安息を堪能していた。もしかしたら……明日、人生最後の日になるかもしれない……。そんな思惑の中、彼等は食事を満喫していた。

 ルフィラ、アメリ、シャリナ、ルファ……の女性陣達、その中に紛れ込んでレトラが何故か彼女達と一緒に食事をしていた。

「ねえ、何で……サリサとアーレスと言う、風変わりな男が一緒のコテージなの?」

 アメリが彼等だけ特別枠な扱いに対して少し不服な様子だった。

「サリサと言う神官剣士の元彼だったらしいわよ……」

 ルフィラが焼きたての食材を頬振りながら答える。

「へえ……何処でそんな情報を入手したの?」

 ルファが関心しながら、少し怪しそうな目でルフィラを見る。

「昼間の休憩の時に本人から直接聞いたわ。気になるなら直接尋ねると良いわ」

 ルフィラはルファを見ながら言う。

「でも……あのアーレスと言う人、変な格好しているけど……相当凄いらしいわよ」

 シャリナが皆を見て言う。

「それは本当なのシャリナ?どれくらい凄いのよ?」

 アメリがシャリナを見る。

「今は光花に居なくなってしまったケイレムて言う少年が、入隊時に盟主が彼を見て言ったらしいけど……実力なら、盟主以上だって言っていたわ……」

 それを聞いた周囲の女性達とレトラが一同皆、一瞬空気を呑み込んだ様に口を閉ざした。

「そ……それ、本当なの……?」

 ルフィラが少し慌てた素振りで答える。

 アメリも湿地帯でリーミアの実力を目の当たりにしていた。転生者の紋様が封印されたけど、光の聖魔剣の魔力を見る限り、新しい力を手に入れて、以前と同等の実力があると思えた。しかし……それに匹敵するか、それ以上の力を持つ者が居る事に対して彼女は少し驚いた。

「そ……そうだ、盟主に直接聞けば、良いじゃない!」

 ルファは、皆を安心させようと、隣で焼き立ての料理を皿に盛り込んで、河川の方へと行こうとした盟主に声を掛ける。

「ねえ、盟主様ー」

 ルファの呼び声に気付いたリーミアが、女性陣+1名の枠へと呼び込まれ、そちらへと向かう。

「何かしら?」

「あ……あのォ、アーレスって言う方って、盟主様から見て、実力はどの位かと思えるかしら……?」

 ルファの突然の問いに対して、リーミアは少し考え込んだ。

「そうね……まあ、普通に勝負したら、まず勝てないわね。相当な実力の持ち主だと思うわ」

 それを聞いた女性陣は、一体どれ位強いんだ……と、彼女達は唖然とした。

「まあ、サリサさんも強いし、そんなに心配する事無いわよ!」

 リーミアは慌てながら皆を落ち着かせようとする、その一方で他の女性達は(何を心配するの?)と、リーミアに対して言いたかった。

 そんな彼女達の話題に興味を持ったサリサが彼女達の枠に入って来た。

「あら……皆、何を盛り上がっているの?」

 サリサが入って来た事で、リーミアは皿を河川にいるティオロに届けようと女性陣の枠から離れる。

「今……貴女の元彼に付いて話をしていたのよ」

「あら、もしかして……昼間話した事が気になったの?」

 サリサがルフィラに向かって言う。

「実力が盟主以上と言うのが少し気になって……」

「そうね、多分……今のリーミアちゃんでは、彼には及ばないと思うわ」

「それって……どれ位強いの?」

「多分、今現在はエルテンシア国で一番の実力者……と、だけ言って置くわね」

 それを聞いた女性達はギョッとしながら驚いた。

「えッ!それって……!」

 その時、サリサはシーと指を立てながら言う。

「本人は内緒にして欲しいと言うから、まだ秘密にして置いてね……」

 女性達は皆、黙って頷いた。

 それを見たサリサは、軽く微笑みながら女性達の枠から出て行った。

 それを見ていたレトラは、何を話して居たのか上手く掴めず皆を見回す。

「ねえ、あの神官剣士の人……何を話ていたの?一番の実力て、つまり……どう言う事なの?」

「はぁ……貴方って鈍いわね……」

 シャリナが溜息交じりに呟く。

「え、どう言う事だよソレ?」

 レトラがシャリナに対して言う。そんな彼等のヤリトリに対して周囲は少し笑い声が響いた。

 女性陣達と離れたサリサは、数日前にアーレスと話をしていたのを思い出した。

 数日前……

「え……今、何て言ったの?」

 アーレスは唖然とした表情をしながら言う。

「大神官様から直接聞いたわ。リーミアちゃん光の聖魔剣の試練の最中に神光を発動させるのに成功したらしいのよ」

「神光をも使える様になったのか、一体何処まで実力を上げるのだろう……」

 彼は窓の外の景色を見ながら呟く。

「もし……僕との勝負の時に神光を発動させたら、流石に太刀打ち出来ないだろうね」

 彼は少し嬉しそうな表情で答える。

 そんな彼をサリサは何処か物悲しげに見つめる。

「王位継承権のある一族の末裔なのに……何故弱気な態度を取るの?あと少しで『誠の王』になれるじゃない!そうすれば、少しは安泰でしょ?」

「そうだけど……でも、結局は……光の魔法を覚えられない以上、仮の王でしかないからね……」

 そう言いながらアーレスは首に掛けてあり、衣服の下に隠してある白金の称号のペンダントを出した。

「ねえ、いずれはリーミアちゃんと相対する関係なのに、ここまで彼女を見護る必要はあるの?」

 サリサは以前から感じていた疑問をアーレスに投げかける。

「まあ……彼女への協力は、今回限りだよ。それにね……僕はルディアンスと真剣に勝負したかったんだ。今は魔剣士の彼でも、以前は王位継承権の競技に出場した程の輩だ。彼とは、この機会に勝負をしたいと思ったんだよ……」

「そう……だったのね。判ったわ……」

 サリサは少し呆れた表情でアーレスを見た。

「でも……アスレイウ、何時までも自分を隠し続けるのは良くないわよ」

「ああ、判っているよ。リーミアちゃんにも、いずれは本当の事を言うつもりだよ」

 そう返事したアーレスはサリサを見ると、彼女は少し微笑んだ表情をしていた。

 現在……

 自分達用のコテージへとサリサが戻るとアーレスがテーブルに地図を広げて地形を眺めていた。彼の傍には、何処から持ち出して来たのか……沢山の書類の山が無尽蔵に置かれていた。そんな彼は、サリサが戻って来た事に気付くと、アーレスは地図の隣に置いてある羊皮紙を手にする。

「先程、セフィーから伝聞が届いたよ。助っ人が来てくれるそうだ」

 それを聞いたサリサは、アーレスから羊皮紙を受け取り、セフィーの伝聞に目を通した。

「ここに書かれている……アスファードと言う人、大丈夫かしら?腕に自身あり、とか書いてあるけど……」

「まあ……どんな人物なのかは不明だが、期待しても良いのでは?」

 それを聞いたサリサは直ぐに相手の言う事を信じてしまうアーレスに対して少し溜息を吐いた。

「それよりも、明日は出発前に作戦会議をしようと思う」

「そうね、安易に魔の森に飛び込むよりも、事前に打ち合わせをしてから潜入した方が、被害は抑えられると思うわね」

「ああ……僕も同意見だ」

 そう答えると……アーレスはサリサに向かって「ところで……隊列なんだが……」と、色々な計画の打ち合わせを行う。


 川辺付近……

 焼きパンとスープ、それと……焼いた肉を皿に乗せて川辺付近で1人黄昏ている少年の側へと行くリーミアは、彼の側に腰を下ろした。

「はい、食事よ」

 リーミアが焼きたての食材を手渡すと「ありがとう」と、返事をしながらティオロは皿を受け取った。

「何で、皆の所に集まって食事をしないの?」

「ちょっと……考え事をしていたんだ」

 ティオロは夜空を見上げながら言う。

 そんな彼を見つめて、ふとリーミアは以前の彼とは少し違う感じがしていた。

「なんか……少し変わったわね」

「そう?」

「前は、少し頼りない感じだったけど……しばらく見ない間に逞しくなった感じがするわ」

「ありがとう……強くなろうと思ったんだ。それにね……」

 そう言って、ティオロは少し言葉を詰まらせた。

「どうしたの?」

「僕のせいで……フォルサさんの大切な仲間を失わせてしまったんだ……」

 ティオロは震えながら話す。




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