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光の聖魔剣

副盟主の判断

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 マイリアが部屋を出て行くのを見て、アルファリオはフウッと一息吐きながら椅子に座った。

 彼は目を閉じて、つい一月前の出来事を思い出す。

 ーーーある部屋の中で……

 彼は畏まった部屋へと招かれる。その部屋は華やかに彩られた部屋だった。その部屋の窓辺には純白の衣装に身を包んだ男性が窓際に立ち、部屋に入った彼をソファーに座る様手を差し伸べる。

 アルファリオは、男性に招かれる様にソファーに腰を降ろすと彼を見つめる。

「君を招いたのは他でも無い、どうしても君に協力をお願いしたい事情があってね」

「貴方からの依頼と在れば、僕にそれを拒否する権利なんか有りませんよ」

 その言葉に彼は「フ……」と、微笑んだ。

「で……僕に、何を協力をお願いしたいのですか?」

「最近発足した新生グループの情報とかは知っているかね?」

「ええ……存じております。『自称』情報屋からの聞きました。確か……彼は今、墓所へ向かっているらしいですね?……あんな場所に何があるのでしょうか?」

「まあ、彼の事はともかく、そのグループに君が副盟主として入隊して欲しいのだ」

 その言葉に、アルファリオは「え?」と、真顔で男性の顔を見た。

「それは、どう言う事なのでしょうか?」

「現在、盟主を勤めている少女は、先日光の洗礼で紋様を授かった者なんだ。彼女は湿地帯で魔剣士に寄る非公式の決闘で聖魔剣を奪われてしまったのだ。それを取り返す為と……。まだ不明確であるが……大きな災いを喰い止める為に、光の聖魔剣を所有して貰おうと、大神官等が助力している。君にもその一端を担って欲しいと、我々は考えて君を推薦して見たのだ」

 それを聞いたアルファリオは、少し冷や汗をかいた。

「確かに……嬉しい申し入れでは有りますが、自分には少し荷が重いとも感じられます。そもそも、光の洗礼を受けて紋様を授かった……て、それはリムア姫が転生した人って事ですよね……?自分に彼女が結束させたグループの代理を務めるなんて、正直あまり自信は無いですね」

「君の力量を見越しての事だが……我々が旗上げした『飛龍』のグループで、常に新人育成や、事務処理を行って来た君なら、彼女のグループに行っても期待以上の成果が出来ると思って居たのだが……」

 アルファリオは少し目を閉じて考え込む。

「その少女は、間違いなくリムア姫の転生した方なのですよね?」

「そうだ。紋様を授かったから、それは間違いない」

「なるほど……ちなみに、貴方から見て、その方はどの様に感じられますか?」

「私としては、いずれは王位継承権の競技の場で雌雄を決する対戦相手だと期待している。その為にも、現在の難題を突破して貰いたいとも思っているのだよ」

 それを聞いたアルファリオは「なるほど……」と、頷き少しの間考え込んで男性に言う。

「少しお時間をください。相手がどんな人物なのか会ってから判断します。ところで……その少女の名前は?」

「リーミアと言う」

「分かりました。では後日手紙で返事を書いて送ります」

「そうか、良い返事を期待してるよ」

 彼は、そう言うと男性に一礼して、部屋を出て行く。

 ––––数日後……

 彼は、知人からの情報でラトム・ギルド集会所にリーミアが参加登録してあるのを聞き、彼は待機所で待つ事に決めた。

 彼が待っている間に書物を読んでいると、受付のレナが訪れた少女に向かって声を掛ける。

「ちょっとー!リーミアちゃん、待ちなさいー!」

 彼は受付の人の声で、対象の人物が近くに居ると気付き、周囲を見渡すと自分の側を1人の少女が横切って受付の方へと戻って行くのを確認する。

「あら、どうしたの?」

 小柄な少女がレナに向かって話し掛ける。

「貴女ね……また自分の名前、書き間違えているわよ!」

「え……ごめんなさい」

 そう言われて、レナに名前のふりながを教えてもらいながら書く。

 名前を書き終えた少女は、待っている仲間達と一緒に集会所を出て行く。対象の人物が分かると彼は少し離れた位置から見る事に決めて、少し彼女の行動を眺めていると……市場の果実の店に立ち寄るのを見た。

 しばらくして、店の女将が慌てて飛び出して来た。

「ちょっと、あんた、お金が多いわよ!」

「あ、何時もお世話になっているから、貰ってちょうだい!」

 そう言いながら少女は店を出て行く。

 彼は、店の側へと行く。

「全く……あの娘さん、全然金銭感覚が無いのよね。何時も多めにお金を払って……こっちが困るわよ」

 女将は、釣り銭の箱とは別の箱にお金を入れる。

「すみませんが、今来た少女って……どんな子ですか?」

「ああ……最近近くに宿舎を購入したグループの盟主らしいよ。よく果実を買ってくれるけど、時々金貨を出したりしてさ困るのよね……まあ、でも根は良い子よ。なんて言うか……他人を決して疑わないのよね。以前も義賊の少年と一緒だったし……」

「そうでしたか、他に何か感じられるものとか有りましたか?」

「何か……て言われてもねぇ、他には特に何も感じないわ。ごく普通の少女だと思うし……」

「なるほど、分かりました。ありがとうございます」

 彼はそう礼を述べると、店で果実を数個購入して帰って行く。

 後日……彼は、男性に一筆書いて送った。

 文面には『光花への入隊を希望する』と、短い文章だけが書かれていた。
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