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聖魔剣奪還

副盟主(1)

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セフィーが魔法剣を探しに行った同じ日、リーミアが盟主専用部屋で書類に目を通している時に、再びマイリアがノックをして部屋に入って来た。

「盟主様、お客様が見えました」
「あ、はい」

そう返事をしてマイリアの後ろを見るが、来客者の姿が無かった。

「お客様は?」
「下の広間で待っております。こちらに来る様に誘ったのですが……邪魔するのは申し訳ないから、作業が終わるまで待つ……と言ってました」
「そう……なの?」

珍しい来客者だな……と、思ってリーミアは作業を一時中断して部屋を出て、下の階へと移動する事にした。
広間に移動すると、そこにはサリサの姿があった。

「サリサさん!戻られたのですねー!」
「お久しぶりー」

彼女は微笑みながら軽く手を振った。
リーミアはソファーに彼女を座らせる様に誘って話を始める。

「貴女が戻られた……と言う事は、いよいよ光の魔法の上位を覚える時が来たのね」
「ええ、そうよ。今……大神官様は神殿に居るので、そちらの準備が整い次第、神殿に来てもらうわ」

そう話したサリサは、改めて宿舎の建物を眺めた。

「まさか……宿舎を購入するなんて思っても居なかったわ」
「あれからメンバーが少し増えたの、流石に宿に迷惑を掛けたくなくて……宿舎を購入する事に決めたのよ」
「まあ、それは仕方ない事だけど……メンバーが増えた事で、少し色々と工夫する事も出来てしまったわね」
「それは……どう言う事ですか?」
「今、貴女が盟主と言う事は……。貴女が神殿で光の上位の魔法を覚える期間、メンバーを統率させる人材が必要になった事よ。まさか……盟主不在で、グループを野放しにする訳にはいかないでしょ?」

それを聞いて、リーミアも「あっ……」と、口を開けて驚いた。
自分不在の場合を想定して居なかった為、それを聞いて、少し焦りを感じ始める。

「どうしましょう……光の魔法を覚える期間、皆を一時帰宅させましょうか?」
「別に焦る事は無いわよ。臨時で副盟主を選んで、自分不在の間、その人に皆を統率させれば良いだけのことだから」
「そうなのね……」
「誰か任される様な人材は居るかしら?」

サリサに言われて、リーミアはふと……考え込む。

「任されそうな人ね……」

そう考えていると、その日珍しく皆で魔物狩りに出て行ったメンバーが宿舎に戻って来た。
思いっきりドアをバンッ!と開けて最初に入って来たのはエムランだった。

「ちょっとエムラン、貴方は建物を壊す気なの!」

レネラが彼に怒鳴りながら言う。

「ああ、悪い悪い……」

そう返事しながら広間に目を向けるとリーミアが見知らぬ女性と話しをしている事に気付く。

「お、盟主……誰ですか、そちらの美しい女性は?」
「神官剣士のサリサさんよ」
「へえ……良いねぇ。良かったら、俺と一緒に食事でもどうですか?」
「ありがとう、でも……私は自分よりも強い人にしか興味が無いのよね」

それを聞いたエムランは、宿舎の門番役の神官にサリサの実力はどの位なのかを尋ねた。

「そうですね……以前、こちらの盟主が神殿で光の魔法の訓練をしている時、剣の稽古の練習してた事がありまして、その時に稽古の練習風景を見た時に感じたのは……サリサ様は互角以上の様に思えましたね」
「そ、そうなの……」

それを聞いてエムランはサーッと血の気が引いた。
しばらくするとケイレムが戻って来て、サリサに気付く。

「あ、こんには……お久しぶりです」
「こんにちは。しばらくぶりね」

サリサはケイレムを見て返事をする。

「おい、お前……」

エムランがケイレムの腕を掴見ながら声を掛ける。

「彼女と知り合いだったのか?」
「え……別に、そう言う訳じゃ無いけど。以前……魔獣討伐の時に盟主と一緒だったんだよ」
「なるほど、そうだったのか?」

そう話していると、レトラとシャリナが戻って来て、サリサに気付き「こんにちは、お久しぶりです」と、彼女に声を掛ける。
最後にナレフが入って来ると、彼も初めてサリサを見て戸惑いながら……

「は……初めまして、こんにちは!」

と、少し緊張しなあがら挨拶をした。

「今の光花のグループは、これで全員よ」

リーミアはサリサに向かって言う。

「盟主の代わりを務めさせられそうな人と言われて悩むのも分かる気がしそうね」

彼女はソファーから立ち上がると、リーミアを見る。

「ねえ……会議室見たいな場所はあるかしら?」
「はい、2階にあります」
「皆を集めて、そこで話をしましょう」
「分かりました」

リーミアは全員を呼び集めて、会議室へと集合させる。
光花にとっては、初めての会議となった。

「なんだろう……?」

皆は少し気になりながら、会議室の大きなテーブルにそれぞれ並んで椅子に座って、上座にリーミアを迎えた。その隣にサリサが立った状態で皆を見つめる。

「皆さん、集まって頂きご苦労様です。そちらの2名は……今日、初めてお会いしたので。改めて、自己紹介させて頂きます。私は神官剣士のサリサと言います。以後……宜しくお願いします」

彼女の言葉に、エムランとナレフは彼女に一礼をした。

「ちなみに、こちらに集まっている方々で、この方に付いての事をご存知の方は居ますか?」

その問いに、皆は不思議そうな表情をしていた……。その時ケイレムが以前……魔獣討伐の時にアーレスと言う人物やサリサの会話を思い出し、1人だけ手を上げた。それを見てサリサは「成る程……」と頷いた。


「何か……あるのですか?」

シャリナが気になって声を掛ける。

ほぼ、全員何も知らないまま集まった事に、サリサはリーミアを見つめる。

「何も話して居なかったのね……」
「ええ、何も話して居ませんでした」

リーミアが愛想笑いしながら、サリサに向かって答える。

「おいおい、何を勿体ぶってんだよ。さっさと話したら良いだろ、何処かのお姫様だとか、そう言う訳じゃ無いんだろう?」

エムランの言葉にサリサは彼を見た。

「あら……意外になかなか鋭い発言ね」

その言葉にエムランが、ドキッとした……

「ま……まさか、本当にお姫様なの?」
「多分……この国に住んでいる者で、知らない人は居ないと思われる。最も有名な王女様……その王女が転生した姿が彼女なのよ」

それを聞いた全員が「ええッ!」と、思わず全員が席を立ち上がり、皆の視線が一斉にリーミアへと向けられた。
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