出会って五秒で合体!?~半人半獣になってしまった私は獣人に間違えられ殺されそうになりました~(仮)

ぽりんここりんこぷりぷりのえび

文字の大きさ
上 下
22 / 66
始まり

お宅捜索

しおりを挟む

「さてと、本人が家に居ないのに物色するのは少しはばかられるけど、始めますかっ!」

 言葉ではこうは言っているが本当は内心ワクワクしている。
 他人のお宅訪問とか、芸能人のお宅紹介とか好きで結構見ていたからね。
 自分の部屋にないものを見つけると興味が湧くし、同じものがあったりすると親近感が湧く。

 でもこの世界で私は同じものを持ってはいない。

 なので今は興味しか湧かないのだ。
 一体ヒックさんはどんな物を持っているのだろうか。

「先ずは釜かな!」

 数分前までグツグツと煮えていた釜に近付く。
 近付く度になんとも言えない草の臭いが鼻を刺激する。
 まるで草原を口の中に放り込んだみたい……放り込んだことないんだけど。

 ……実に近寄り難い。
 でも何を作っていたのか気になるで近寄る。

「紛うことなき緑──」
「獣人が居るぞ!!!」

 玄関から大きな声を上げる者がいた。
 そして、私の知っている人………………くそパーマ男だ。
 彼は腰に携えていた剣を抜き、私に矛先を向ける。

「だから私は獣人じゃないって言ってるでしょ!」
「この期に及んでそんな嘘を……皆の者、ヤツは洗脳魔法を使ってくる。気を付けろ!」
「──ハッ!」

 私が大声で身の潔白を主張するも、くそパーマ男……名前は確かガイアスとか言ったっけ? ガイアスは私の言葉なんて一切聞き入れることはなく、後ろに居た兵士たちに注意を促していた。
 兵士たちはガチャりと鎧を鳴らしそれぞれ頷いている。
 銀色の鎧を頭から足のつま先まで、所謂フル装備をしているので顔色一つ伺うことは出来ない。
 だが、誰しもがガイアスの言葉に疑問を抱いていないようにも思えた。

「宮廷魔術師もヤツを匿っているはずだ、構わず家に火を放て!」
「──ハッ!」

 ガイアスの後ろに居た兵士たちがドカドカと家の中に入り、壁やテーブルなどに手のひらを向け、何やら呪文を唱え始める。
 すると手のひらからは火の玉が発射され、燃やし始めた。

 その炎が前世の私が体験した死ぬ直前をフラッシュバックしてしまい、足はガタガタと震え上がり動けなくなってしまう。

「やめて……お願いだからやめてよ……」

 無理やり出した声は苦しく、目からは涙が零れ落ちる。
 だけどそんなことお構い無しで彼らは破壊活動を続けた。
 段々と家の中は熱くなる、酸素も無くなってきたのか呼吸も思うように出来なくなり、意識が遠のき始める。

『マリアちゃん──』

 私の腕に付けているブレスレットから声がする。
 幻聴かと思えたが、ブレスレットに付いてある宝石が一つだけ輝きを放った。
 私は余りにも眩しすぎて目を瞑る。

 すると、呼吸は苦しくない。
 それに、熱くもない。

 恐る恐る目を開けると、誰かの家に居た。
 ヒックさんの使っている家ではない。
 カーテンは締め切ってないし、明るいのだ。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~

k33
ファンタジー
初めての小説です..! ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

チートを貰えなかった落第勇者の帰還〜俺だけ能力引き継いで現代最強〜

あおぞら
ファンタジー
 主人公小野隼人は、高校一年の夏に同じクラスの人と異世界に勇者として召喚される。  勇者は召喚の際にチートな能力を貰えるはずが、隼人は、【身体強化】と【感知】と言うありふれた能力しか貰えなかったが、しぶとく生き残り、10年目にして遂に帰還。  しかし帰還すると1ヶ月しか経っていなかった。  更に他のクラスメイトは異世界の出来事など覚えていない。  自分しか能力を持っていないことに気付いた隼人は、この力は隠して生きていくことを誓うが、いつの間にかこの世界の裏側に巻き込まれていく。 これは異世界で落ちこぼれ勇者だった隼人が、元の世界の引き継いだ能力を使って降り掛かる厄介ごとを払い除ける物語。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

俺だけ皆の能力が見えているのか!?特別な魔法の眼を持つ俺は、その力で魔法もスキルも効率よく覚えていき、周りよりもどんどん強くなる!!

クマクマG
ファンタジー
勝手に才能無しの烙印を押されたシェイド・シュヴァイスであったが、落ち込むのも束の間、彼はあることに気が付いた。『俺が見えているのって、人の能力なのか?』  自分の特別な能力に気が付いたシェイドは、どうやれば魔法を覚えやすいのか、どんな練習をすればスキルを覚えやすいのか、彼だけには魔法とスキルの経験値が見えていた。そのため、彼は効率よく魔法もスキルも覚えていき、どんどん周りよりも強くなっていく。  最初は才能無しということで見下されていたシェイドは、そういう奴らを実力で黙らせていく。魔法が大好きなシェイドは魔法を極めんとするも、様々な困難が彼に立ちはだかる。時には挫け、時には悲しみに暮れながらも周囲の助けもあり、魔法を極める道を進んで行く。これはそんなシェイド・シュヴァイスの物語である。

俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜

早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。 食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した! しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……? 「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」 そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。 無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

転売屋(テンバイヤー)は相場スキルで財を成す

エルリア
ファンタジー
【祝!第17回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞!】 転売屋(テンバイヤー)が異世界に飛ばされたらチートスキルを手にしていた! 元の世界では疎まれていても、こっちの世界なら問題なし。 相場スキルを駆使して目指せ夢のマイショップ! ふとしたことで異世界に飛ばされた中年が、青年となってお金儲けに走ります。 お金は全てを解決する、それはどの世界においても同じ事。 金金金の主人公が、授かった相場スキルで私利私欲の為に稼ぎまくります。

処理中です...