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第3章 軍略家 新谷 百花(しんたに ももか)
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敵国に赴くに先立ち、私は当然ながら皇子についても情報を集めた。
皇子はエリザベトにとって、断罪処刑フラグに他ならなかったが。
でも、実際は違って・・・・・・なんてことを期待して。
召し使いさんに聞いたところでは
――といっても、彼女は会ったことはないとのことであった。
ゆえに、彼女が語るのは、人々からの受け売り、
――いわゆる『巷間、噂されておるところのもの』である。
彼女は、その前にまず、
「どうして、敵国の皇子のことなど知りたいのです。
お嬢様には王太子様がいらっしゃるのに」
と不審な顔をして尋ねる。
女の勘とは、げに恐ろしきもの。
まるで私の心の内を見透かした如くであった。
「う・・・・・・」
うまい理由が思い付かなかった。
私の困り果てた顔を見てであろう、
――彼女の方はあきれ果てた顔をしてみせつつも、ようやく教えてくれた。
いわく、
――敵国の皇子の名はアンドラーシュ。
――その2つ名は〈東の獣〉。
――その先祖は東方からやって来た騎馬民族に淵源を持つとのことであった。
この国の人々に、そうした血を侮蔑する心があってか?
あるいは敵対のゆえか?
彼女の伝える風評は、惨憺たるものであった。
悪逆非道。残酷。暴虐。
それで父上に尋ねてみた。
その王家とは国境を直に接するということもあり、敵対が激しくなる前は、少なからず交流があったという。
恐らく猟を共になしたのではないかとのことであった。
ただ全く印象が残っておらぬという。
要は目立たぬお人ということらしい。
加えるにゲームの方から1つ疑惑があった。
そこでは、エリザベトは皇子を頼って、敵国に赴く。
ただ彼女は何ゆえか、公爵領に戻り、進駐して来た国軍に、そこで捕らえられる。
この時、皇子が何をしておったのか、ゲームでは明らかではない。
エリザベトと共に公爵領に赴いたのか?
とすれば、かたわらにおりながら、みすみすエリザベトが捕らえられるを許したことになる。
同行するなら、当然、ある程度の軍勢を率いて赴いたはずなのだが、一体何をしておったのか?
あるいはエリザベトを一人で戻したのか?
ならば、やはり何をしておったのか?となる。
つまり、ポンコツ?
私もポンコツだから、こんな場合でもなければ、人のことをとやかく言う気はないけど。
うーん。やっぱりこのお人はエリザベトにとっての断罪処刑フラグなの?
皇子はエリザベトにとって、断罪処刑フラグに他ならなかったが。
でも、実際は違って・・・・・・なんてことを期待して。
召し使いさんに聞いたところでは
――といっても、彼女は会ったことはないとのことであった。
ゆえに、彼女が語るのは、人々からの受け売り、
――いわゆる『巷間、噂されておるところのもの』である。
彼女は、その前にまず、
「どうして、敵国の皇子のことなど知りたいのです。
お嬢様には王太子様がいらっしゃるのに」
と不審な顔をして尋ねる。
女の勘とは、げに恐ろしきもの。
まるで私の心の内を見透かした如くであった。
「う・・・・・・」
うまい理由が思い付かなかった。
私の困り果てた顔を見てであろう、
――彼女の方はあきれ果てた顔をしてみせつつも、ようやく教えてくれた。
いわく、
――敵国の皇子の名はアンドラーシュ。
――その2つ名は〈東の獣〉。
――その先祖は東方からやって来た騎馬民族に淵源を持つとのことであった。
この国の人々に、そうした血を侮蔑する心があってか?
あるいは敵対のゆえか?
彼女の伝える風評は、惨憺たるものであった。
悪逆非道。残酷。暴虐。
それで父上に尋ねてみた。
その王家とは国境を直に接するということもあり、敵対が激しくなる前は、少なからず交流があったという。
恐らく猟を共になしたのではないかとのことであった。
ただ全く印象が残っておらぬという。
要は目立たぬお人ということらしい。
加えるにゲームの方から1つ疑惑があった。
そこでは、エリザベトは皇子を頼って、敵国に赴く。
ただ彼女は何ゆえか、公爵領に戻り、進駐して来た国軍に、そこで捕らえられる。
この時、皇子が何をしておったのか、ゲームでは明らかではない。
エリザベトと共に公爵領に赴いたのか?
とすれば、かたわらにおりながら、みすみすエリザベトが捕らえられるを許したことになる。
同行するなら、当然、ある程度の軍勢を率いて赴いたはずなのだが、一体何をしておったのか?
あるいはエリザベトを一人で戻したのか?
ならば、やはり何をしておったのか?となる。
つまり、ポンコツ?
私もポンコツだから、こんな場合でもなければ、人のことをとやかく言う気はないけど。
うーん。やっぱりこのお人はエリザベトにとっての断罪処刑フラグなの?
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