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第3章 軍略家 新谷 百花(しんたに ももか)

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 私はとりあえず「公爵領の防備を固めた方がよろしいのではないですか」と進言した。

 いつもの食事時
――今回は朝食のときだった。

 すると、父上はこれまでに見たことがないほどに、目をキラキラさせた。
 うーん。バレておったかと想わざるを得ぬ。
 父上は、食事時、私が
――つまりエリザベトね
――同席するのがうれしいのか、
――色色と軍事や政治のことを私へ語り聞かせるを、常としておった。

 私は私で、同年配の男女としての正しき対応、
――つまり、話は聞きながらも、内心は料理に占められ、舌鼓を打つをもっぱらの楽しみとしておった。

(それはそれ、父上の仕事なのだ。私の仕事は食べること)

などと想いつつ。
その聞きが、すっかりバレておったのである。

ようやく、娘がそうしたことに関心を持つようになったか。

その瞳は、まさにその喜びにあふれたのであった。

今まで一言も言わなかったけど、エリザベトは公爵の一人娘で、他に子供はいない。
つまり跡取りなのであった。
ゆえに、その喜び振りもうなずけるものと、私も当人ながらそう想う。

父上は、食事中にもかかわらず、早速、配下を呼び出すよう、近侍の者に命じた。

(あらー。
他の時にすべきだったな。
配下の方の朝ご飯、完全に邪魔しちゃったな)

でも、父上とは食事の時にしか会わないし・・・・・・。
まあ仕方ないか。

父上も食事を楽しんだ後に、配下を呼び出せば良いのにと、
――そう想いはするものの、
――確かにこれは『善は急げ』で早急に動いた方が良く、
――結局、父上が正しいということなのかな。
――何せ、国の大事だもの。

ただ、これで1つの備えはできた。
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