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第一章
楊、そして夢恵
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ホテルで一度、二人と別れた唄はまず、ホテル入り口で彼を待っていた女性に、話しかけた。その女性は水色のワンピースに身を纏っている。
「久しぶりではないか、唄」
「楊さん、お久しぶりです」
「たまにはお前の顔をみたくなってな」
「この街の住民みたいですね」
唄が楊と呼んだ女性は、中華の貴人を思わせる顔立ち、口調をしている。
「もちろんだろ。街にいけば、そこの住人に扮装するのが掟。目立つのは、一部の金持ちと、お前みたいな頭の悪い暗殺者だけでよいのだ」
楊は、唄が持つものと同じ巾着を差し出した。
「先週の報酬、新たな仕事、そしてきれいな服だ」
唄はそれを受け取り、自分が持っていたのものを楊に渡した。
「ありがとうございます。確かに、約束通りのお金、青と白の市松模様の和服、受けとりました」
「他の模様を渡しても、着さえしてくれないことはもうわかったからな。何故それにこだわるのだったか」
「おぼろげに覚えている、小さな頃の記憶ですよ」
「そうだったな。何度聞いてもわからない。それより、一緒にいたのは誰だ?」
「前にも言いませんでしたか。この街の情報屋ですよ」
顔に扇子で風を送る唄。
「その男でないのは、わかっておるだろ。女の方だ」
楊は、声に威圧をかけた。
「彼女は、仕事の依頼人です」
「この私から流された以外の仕事はするな、と言ってるはずだが?」
「暗殺ではありません。用心棒ですよ」
「本当にただの用心棒か?あまり人と接しないばかりに、あの女に惚れてしまったのではないのか?」
楊はわざとらしく鼻を鳴らした。
「彼女とは、明日家まで送ればそれで終わりなのですから、そんな心配は要りません。では、僕はあなたから受けている仕事がありますので」
唄はその場を去ろうとする。
「お前が生きているのは誰のお陰か、忘れることのないようにな」
それだけ残し、楊も去った。
唄は、ホテル街を出て低級住宅地まで歩いた。
今日の標的は、この高級住宅地の一画に暮らす夫婦。大手のIT企業で働く二人は、裏社会に情報を流している噂がある。だが、唄はそれが原因で暗殺するのかは知らない。依頼人すらも知らないのだ。
先程の楊という人物、もしくはその手下から、殺す人物と日程を教えられるだけ。それ以外は何も教えられることはない。
標的を発見した。夫婦は道端で話している。唄は既に調べをつけており、二人がこの時間にこの辺りにいること、他の人通りが少ないことを確認していた。
「こんにちは」
二人の背後に唄は立ち、夫の方の首に簪を素早く突き刺し、抜いた。夫は倒れた。
「助けてください。娘がいるのです」
妻は膝をつき、祈るように唄の顔を見上げた。
「そうですか。僕が調べたところによるといないようですけど」
女は腰のホルダーから銃を引き抜き、唄に銃口を向けた。
「知ってたのか……」
女の前にいたはずの唄は、背後に立っていた。女がもっていたはずの銃も唄の手に握られている。
「ボクは親子という関係に弱いのです。だから、子供のいるような人間は基本、避けてもらってます」
鋭い針が妻の首に刺さっていく。
「おわかれと わからずいくが りそうかな」
唄はまた、ホテル街へと戻るために歩き始めた。
ホテルに戻った唄は、自分の部屋に向かったが、202の部屋の前で違和感を感じたのか、立ち止まった。すると、ドアが開いてなかに入れられた。
「おかえり、唄。助けてくれ」
「だれですか?」
二人の視線は縄で縛られた少女に注がれている。
「あの子の部屋に侵入しようとしていた。だから、捕まえたんだ。でもな、全然話してくれなくてさ」
「どうして侵入しようとしたのですか?」
「ウタ、許さない」
唄をにらみつける少女。
「おまえ、この子になにした?前の彼女?」
「累、今はそんなこと言ってる場合じゃないです。あなた、許さないと言ったのはどういうことです?僕が何をしたのでしょうか」
少女と少し距離を置いて、唄はしゃがむ。
「ウタ、うちの家族殺した。許さない」
少女は体をねじらせて唄に噛みつこうとする。唄は立ち上がってよけた。
「お前が今まで殺してきた誰かの子供か?」
「わかりません。でも、どうして僕が殺した、とわかるのです。誰かに聞いたのでしょうか」
唄は腕を組み、いつものごとく頭を扇子でコツコツと叩く。
「それは言えない。でも、ウタが親を殺したと聞いた。だから、その大事な人間を殺してやればいいと」
その言葉に、唄はハッとした。
「もしかして、水色のワンピースを着た女性ですか?」
「言わないといってる」
少女はそっぽを向いた。
「もしこのまま何も言わないのだとしたら、殺すしかないよな」
「そうですね。残念ですが」
二人の言葉を聞いて、少女は首を横に何度も振った。
「まだ死ねない。家族の敵をうつまで、死ねない」
「あなたの家族はどこで殺されたのです?」
「中華の地だ」
「僕はもう、四年ほど中華の地には足を踏み入れてませんよ」
「嘘だ」
「それに、僕は子供のいる人は殺してないですよ」
少女は唄をにらんでいたが、涙を流し始めた。
「嘘だ!家族を殺したのはお前だ。そう聞いた」
そう叫んだあと、少女は声を出してわめき始めた。
「まてまて、そんなに泣かれるとオレたちも困るし、お前も困るだろ」
必死になだめる累。
「唄、どうする? 普通ならもう殺すべき相手だが」
「困りましたね。暗殺に失敗した暗殺者は、今殺されなくても、雇い主に殺される羽目になりますから」
それを聞いて、少女は首をまた横にふる。
「これは、仕事じゃない。復讐に手を貸してくれただけ」
「それは、お前の勝手な解釈だ。そして、お前にそれを言ったやつは、きっと唄を消したい、もしくは隣の少女を消したくてお前にそんなことを言ったんだ。お前にそれを言ったのは、お前の雇い主か?」
泣きじゃくる少女の頭を累は掴んだ。少女は迷っているような顔を見せる。唄は累の手をどかせた。
「累、乱暴にしては可哀想ですよ。あなたの雇い主に言われたのですか?名前までは聞きません。それだけ教えてください」
腰を下ろし、少女の目をまっすぐと見つめる唄。
少女は目をそらし、ゆっくりと頷いた。
「そうですか。教えてくださり、ありがとうございます」
立ち上がって唄は累の方を見た。
「恐らく、僕の存在が邪魔になった誰かの仕業でしょう。そして、おそらく……」
「お前のところの組織の、誰かってことか」
「そう考えるのが妥当です。それにしても、彼女をどうしたものか……名前を教えてもらえはしないのですか?」
少女は目をあわせないように、下を向いている。
「夢華」
「モンファさんですね。少しベッドに縛らせていただきます。そして、しばしお眠りください」
張の体はベッドの足に縛られた。そして、彼女の首は唄の扇子で叩かれた。
「累、一度部屋を移りますよ」
唄と累は武器をすべて回収し、205の部屋へと移動した。
「どうする?」
「親の敵をうちたい、と言われると殺しにくいですね」
「お前は、そういう感情あるのか?」
累は新たに煙草に火をつけた。
「ここ、禁煙ですよ。僕は、わからないです。両親の記憶もほとんどないですし。おぼろげにあるのは……」
「白と青の市松模様だろ」
累の口から煙が吐き出された。
「とりあえず、カスミは僕といたら危ないようですね。明日、累がロックストーンまで送ってくれますか?」
「オレはいいけど、お前はどうするんだ」
「明日もここで仕事がありますし、モンファさんのこともありますし。もう少し早かったら、楊さんに聞けたのですが」
「あのおばさんが怪しいんじゃないのか?」
「それは、わかりません」
ふいに、唄の体は壁に押し付けられた。
「おい、唄。オレは出会う前のお前を、知らない。出会ってからだって、時々このグレイストーンで会うぐらいだ。だが、オレはお前に命を救ってもらった。そして、オレとお前は暗殺者と情報屋、という関係よりは深いものだと思ってる。だから、言う。あのおばさん、その組織、本当はお前の」
唄は開いた扇子を累の口元にかざした。
「その話は何度も聞きましたよ。でも、君が僕に命を救ってもらったのと同じように、僕もあの人に命を救ってもらったんです」
累の体を押し返し、唄は壁から離れてドアへと向かう。
「話が長すぎましたね。モンファさんが退屈しますよ」
二人は202に戻った。夢恵は気絶したままであった。
「今晩は寝ずの番ですかね」
「久しぶりではないか、唄」
「楊さん、お久しぶりです」
「たまにはお前の顔をみたくなってな」
「この街の住民みたいですね」
唄が楊と呼んだ女性は、中華の貴人を思わせる顔立ち、口調をしている。
「もちろんだろ。街にいけば、そこの住人に扮装するのが掟。目立つのは、一部の金持ちと、お前みたいな頭の悪い暗殺者だけでよいのだ」
楊は、唄が持つものと同じ巾着を差し出した。
「先週の報酬、新たな仕事、そしてきれいな服だ」
唄はそれを受け取り、自分が持っていたのものを楊に渡した。
「ありがとうございます。確かに、約束通りのお金、青と白の市松模様の和服、受けとりました」
「他の模様を渡しても、着さえしてくれないことはもうわかったからな。何故それにこだわるのだったか」
「おぼろげに覚えている、小さな頃の記憶ですよ」
「そうだったな。何度聞いてもわからない。それより、一緒にいたのは誰だ?」
「前にも言いませんでしたか。この街の情報屋ですよ」
顔に扇子で風を送る唄。
「その男でないのは、わかっておるだろ。女の方だ」
楊は、声に威圧をかけた。
「彼女は、仕事の依頼人です」
「この私から流された以外の仕事はするな、と言ってるはずだが?」
「暗殺ではありません。用心棒ですよ」
「本当にただの用心棒か?あまり人と接しないばかりに、あの女に惚れてしまったのではないのか?」
楊はわざとらしく鼻を鳴らした。
「彼女とは、明日家まで送ればそれで終わりなのですから、そんな心配は要りません。では、僕はあなたから受けている仕事がありますので」
唄はその場を去ろうとする。
「お前が生きているのは誰のお陰か、忘れることのないようにな」
それだけ残し、楊も去った。
唄は、ホテル街を出て低級住宅地まで歩いた。
今日の標的は、この高級住宅地の一画に暮らす夫婦。大手のIT企業で働く二人は、裏社会に情報を流している噂がある。だが、唄はそれが原因で暗殺するのかは知らない。依頼人すらも知らないのだ。
先程の楊という人物、もしくはその手下から、殺す人物と日程を教えられるだけ。それ以外は何も教えられることはない。
標的を発見した。夫婦は道端で話している。唄は既に調べをつけており、二人がこの時間にこの辺りにいること、他の人通りが少ないことを確認していた。
「こんにちは」
二人の背後に唄は立ち、夫の方の首に簪を素早く突き刺し、抜いた。夫は倒れた。
「助けてください。娘がいるのです」
妻は膝をつき、祈るように唄の顔を見上げた。
「そうですか。僕が調べたところによるといないようですけど」
女は腰のホルダーから銃を引き抜き、唄に銃口を向けた。
「知ってたのか……」
女の前にいたはずの唄は、背後に立っていた。女がもっていたはずの銃も唄の手に握られている。
「ボクは親子という関係に弱いのです。だから、子供のいるような人間は基本、避けてもらってます」
鋭い針が妻の首に刺さっていく。
「おわかれと わからずいくが りそうかな」
唄はまた、ホテル街へと戻るために歩き始めた。
ホテルに戻った唄は、自分の部屋に向かったが、202の部屋の前で違和感を感じたのか、立ち止まった。すると、ドアが開いてなかに入れられた。
「おかえり、唄。助けてくれ」
「だれですか?」
二人の視線は縄で縛られた少女に注がれている。
「あの子の部屋に侵入しようとしていた。だから、捕まえたんだ。でもな、全然話してくれなくてさ」
「どうして侵入しようとしたのですか?」
「ウタ、許さない」
唄をにらみつける少女。
「おまえ、この子になにした?前の彼女?」
「累、今はそんなこと言ってる場合じゃないです。あなた、許さないと言ったのはどういうことです?僕が何をしたのでしょうか」
少女と少し距離を置いて、唄はしゃがむ。
「ウタ、うちの家族殺した。許さない」
少女は体をねじらせて唄に噛みつこうとする。唄は立ち上がってよけた。
「お前が今まで殺してきた誰かの子供か?」
「わかりません。でも、どうして僕が殺した、とわかるのです。誰かに聞いたのでしょうか」
唄は腕を組み、いつものごとく頭を扇子でコツコツと叩く。
「それは言えない。でも、ウタが親を殺したと聞いた。だから、その大事な人間を殺してやればいいと」
その言葉に、唄はハッとした。
「もしかして、水色のワンピースを着た女性ですか?」
「言わないといってる」
少女はそっぽを向いた。
「もしこのまま何も言わないのだとしたら、殺すしかないよな」
「そうですね。残念ですが」
二人の言葉を聞いて、少女は首を横に何度も振った。
「まだ死ねない。家族の敵をうつまで、死ねない」
「あなたの家族はどこで殺されたのです?」
「中華の地だ」
「僕はもう、四年ほど中華の地には足を踏み入れてませんよ」
「嘘だ」
「それに、僕は子供のいる人は殺してないですよ」
少女は唄をにらんでいたが、涙を流し始めた。
「嘘だ!家族を殺したのはお前だ。そう聞いた」
そう叫んだあと、少女は声を出してわめき始めた。
「まてまて、そんなに泣かれるとオレたちも困るし、お前も困るだろ」
必死になだめる累。
「唄、どうする? 普通ならもう殺すべき相手だが」
「困りましたね。暗殺に失敗した暗殺者は、今殺されなくても、雇い主に殺される羽目になりますから」
それを聞いて、少女は首をまた横にふる。
「これは、仕事じゃない。復讐に手を貸してくれただけ」
「それは、お前の勝手な解釈だ。そして、お前にそれを言ったやつは、きっと唄を消したい、もしくは隣の少女を消したくてお前にそんなことを言ったんだ。お前にそれを言ったのは、お前の雇い主か?」
泣きじゃくる少女の頭を累は掴んだ。少女は迷っているような顔を見せる。唄は累の手をどかせた。
「累、乱暴にしては可哀想ですよ。あなたの雇い主に言われたのですか?名前までは聞きません。それだけ教えてください」
腰を下ろし、少女の目をまっすぐと見つめる唄。
少女は目をそらし、ゆっくりと頷いた。
「そうですか。教えてくださり、ありがとうございます」
立ち上がって唄は累の方を見た。
「恐らく、僕の存在が邪魔になった誰かの仕業でしょう。そして、おそらく……」
「お前のところの組織の、誰かってことか」
「そう考えるのが妥当です。それにしても、彼女をどうしたものか……名前を教えてもらえはしないのですか?」
少女は目をあわせないように、下を向いている。
「夢華」
「モンファさんですね。少しベッドに縛らせていただきます。そして、しばしお眠りください」
張の体はベッドの足に縛られた。そして、彼女の首は唄の扇子で叩かれた。
「累、一度部屋を移りますよ」
唄と累は武器をすべて回収し、205の部屋へと移動した。
「どうする?」
「親の敵をうちたい、と言われると殺しにくいですね」
「お前は、そういう感情あるのか?」
累は新たに煙草に火をつけた。
「ここ、禁煙ですよ。僕は、わからないです。両親の記憶もほとんどないですし。おぼろげにあるのは……」
「白と青の市松模様だろ」
累の口から煙が吐き出された。
「とりあえず、カスミは僕といたら危ないようですね。明日、累がロックストーンまで送ってくれますか?」
「オレはいいけど、お前はどうするんだ」
「明日もここで仕事がありますし、モンファさんのこともありますし。もう少し早かったら、楊さんに聞けたのですが」
「あのおばさんが怪しいんじゃないのか?」
「それは、わかりません」
ふいに、唄の体は壁に押し付けられた。
「おい、唄。オレは出会う前のお前を、知らない。出会ってからだって、時々このグレイストーンで会うぐらいだ。だが、オレはお前に命を救ってもらった。そして、オレとお前は暗殺者と情報屋、という関係よりは深いものだと思ってる。だから、言う。あのおばさん、その組織、本当はお前の」
唄は開いた扇子を累の口元にかざした。
「その話は何度も聞きましたよ。でも、君が僕に命を救ってもらったのと同じように、僕もあの人に命を救ってもらったんです」
累の体を押し返し、唄は壁から離れてドアへと向かう。
「話が長すぎましたね。モンファさんが退屈しますよ」
二人は202に戻った。夢恵は気絶したままであった。
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