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【#41 二校間交流会の準備をしました】
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その後、お父様とも相談したけれど、最終的には「学園長であるお前の判断に任せる」と言われてしまった。
ウェンゼル公立学園との二校間交流会。
ここはもう、うりゃっと覚悟を決めて、飛び込むしかないだろう。
うだうだ言い訳を並べて逃げても、オスカーはきっと次の手を打ってくる。それが分かった。
きっと、いつかは対決しなければならない相手なんだ。
「生徒会の部室、確保したよ~。南校舎の三階。結構広くて、いい部屋だよ」
「本当!? ありがとう、エル」
「ウェンゼル学園の人たちは、部室じゃなくて、一旦学園長の応接室に通したほうがいいよね?」
「うん、そっちは応接室で大丈夫。アキト、当日の進行スケジュール作成と、必要なものの手配をお願いできる?」
「かしこまりました。午後二時にウェンゼル公立学園の皆さまがご到着、午後三時まで校内案内と生徒会のご紹介、応接室でのティータイム。この際、紅茶にはプリスタイン名産の茶葉『プリンセス・ティアメイ』を使用する予定です。ご歓談後、午後四時ごろお見送りとなっております」
アキトは流麗な口調で述べる。私が指示する前に、とっくに動いてくれてたみたい。
「さすがね、アキト」
「恐れ入ります」
あくまで控え目に、だけどちょっぴり誇らしそうにアキトは胸に手を当ててお辞儀をする。
「顧問はフィリップ先生が引き受けてくれたし、順調だね」
「そうだった、私まだ先生にお礼言ってなかった。ちょっと職員室行ってくるわ」
「オッケー。じゃあ俺、部室の掃除と、生徒会規則の草案考えとくね。リュシアン見つけたら手伝ってほしいって声かけといて」
「分かったわ。じゃ、行ってきます」
クラスを出て歩き出すと、もちろんアキトがついてくる。
『アキトに近づいてはいけない病』は相変わらずだけど、今は校内だから二人きりになることもないし、気楽だ。
「こんにちは、学園長」
「ごきげんよう」
「生徒会を作るんですよね、僕も手伝えることがあれば何でもするので言ってください!」
「ありがとう。お心遣い感謝いたします」
私はにっこり微笑んだ。
「ウェンゼル学園の連中には絶対負けないんで!! 眼鏡科は俺らで守ろうぜ、なっ」
「おうよ! 連中が来ても、公爵令嬢には指一本触れさせないんで、安心してください!」
男子生徒たちは士気を高めあうように、お互いの肩をたたいている。
眼鏡科には職人気質のおとなしい子が多いと思ってたけど、やっぱり男の子なんだよね。
お隣さんであるウェンゼル公立学園に激しく対抗心を燃やしている。
生徒会を作ることも、二校間交流会のことも、生徒集会や掲示物で周知しただけで詳しくは説明していないけど、眼鏡科の生徒たちは裏事情をちゃーんと分かってくれているのだ。
「リュシアンのこと、説得してくれてありがとう」
「いえ。リュシアン様は自ら生徒会に入りたいとおっしゃってくださいました。フィリップ先生も同じお考えです」
「何だかんだ言って、いい人なんだよね。先生もみんなも」
「はい。それに加えて、ティアメイ様の人望の賜物かと存じます」
と言いながらも、アキトは少し目を細めて考え込むような表情になる。
「どうしたの?」
「いえ。大したことではないのですが……」
「何? 気になるわ、教えて」
渡り廊下のところで、アキトは周囲を見回すと、声をひそめて言った。
「少々うまくいきすぎているのではないか、という気がいたします」
「そう? 確かにそうかもね。私も、エルがこんなに精力的に動いてくれるとは思わなかった。おかげで助かっちゃった」
アキトは神妙な面持ちで黙っていたが、しばらくして慎重に口火を切った。
「生徒会設立や二校間交流会のお話は、眼鏡科の皆さまにとって寝耳に水だったはずです。にもかかわらず、彼らはあっさりと事情を飲み込み、全面的に協力してくださっています。お嬢様への信頼は別として、背後で何らかの根回しや、協力依頼があったのではないでしょうか」
「でも、私はそんなのしてないよ? アキトにも頼んでないし」
「はい。ですから、それは」
「エルネストが裏で動いてたってことだよ」
振り向くと、白衣のポケットに手を突っ込み、フィリップ先生が廊下に立っていた。
ウェンゼル公立学園との二校間交流会。
ここはもう、うりゃっと覚悟を決めて、飛び込むしかないだろう。
うだうだ言い訳を並べて逃げても、オスカーはきっと次の手を打ってくる。それが分かった。
きっと、いつかは対決しなければならない相手なんだ。
「生徒会の部室、確保したよ~。南校舎の三階。結構広くて、いい部屋だよ」
「本当!? ありがとう、エル」
「ウェンゼル学園の人たちは、部室じゃなくて、一旦学園長の応接室に通したほうがいいよね?」
「うん、そっちは応接室で大丈夫。アキト、当日の進行スケジュール作成と、必要なものの手配をお願いできる?」
「かしこまりました。午後二時にウェンゼル公立学園の皆さまがご到着、午後三時まで校内案内と生徒会のご紹介、応接室でのティータイム。この際、紅茶にはプリスタイン名産の茶葉『プリンセス・ティアメイ』を使用する予定です。ご歓談後、午後四時ごろお見送りとなっております」
アキトは流麗な口調で述べる。私が指示する前に、とっくに動いてくれてたみたい。
「さすがね、アキト」
「恐れ入ります」
あくまで控え目に、だけどちょっぴり誇らしそうにアキトは胸に手を当ててお辞儀をする。
「顧問はフィリップ先生が引き受けてくれたし、順調だね」
「そうだった、私まだ先生にお礼言ってなかった。ちょっと職員室行ってくるわ」
「オッケー。じゃあ俺、部室の掃除と、生徒会規則の草案考えとくね。リュシアン見つけたら手伝ってほしいって声かけといて」
「分かったわ。じゃ、行ってきます」
クラスを出て歩き出すと、もちろんアキトがついてくる。
『アキトに近づいてはいけない病』は相変わらずだけど、今は校内だから二人きりになることもないし、気楽だ。
「こんにちは、学園長」
「ごきげんよう」
「生徒会を作るんですよね、僕も手伝えることがあれば何でもするので言ってください!」
「ありがとう。お心遣い感謝いたします」
私はにっこり微笑んだ。
「ウェンゼル学園の連中には絶対負けないんで!! 眼鏡科は俺らで守ろうぜ、なっ」
「おうよ! 連中が来ても、公爵令嬢には指一本触れさせないんで、安心してください!」
男子生徒たちは士気を高めあうように、お互いの肩をたたいている。
眼鏡科には職人気質のおとなしい子が多いと思ってたけど、やっぱり男の子なんだよね。
お隣さんであるウェンゼル公立学園に激しく対抗心を燃やしている。
生徒会を作ることも、二校間交流会のことも、生徒集会や掲示物で周知しただけで詳しくは説明していないけど、眼鏡科の生徒たちは裏事情をちゃーんと分かってくれているのだ。
「リュシアンのこと、説得してくれてありがとう」
「いえ。リュシアン様は自ら生徒会に入りたいとおっしゃってくださいました。フィリップ先生も同じお考えです」
「何だかんだ言って、いい人なんだよね。先生もみんなも」
「はい。それに加えて、ティアメイ様の人望の賜物かと存じます」
と言いながらも、アキトは少し目を細めて考え込むような表情になる。
「どうしたの?」
「いえ。大したことではないのですが……」
「何? 気になるわ、教えて」
渡り廊下のところで、アキトは周囲を見回すと、声をひそめて言った。
「少々うまくいきすぎているのではないか、という気がいたします」
「そう? 確かにそうかもね。私も、エルがこんなに精力的に動いてくれるとは思わなかった。おかげで助かっちゃった」
アキトは神妙な面持ちで黙っていたが、しばらくして慎重に口火を切った。
「生徒会設立や二校間交流会のお話は、眼鏡科の皆さまにとって寝耳に水だったはずです。にもかかわらず、彼らはあっさりと事情を飲み込み、全面的に協力してくださっています。お嬢様への信頼は別として、背後で何らかの根回しや、協力依頼があったのではないでしょうか」
「でも、私はそんなのしてないよ? アキトにも頼んでないし」
「はい。ですから、それは」
「エルネストが裏で動いてたってことだよ」
振り向くと、白衣のポケットに手を突っ込み、フィリップ先生が廊下に立っていた。
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