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本編
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「あなたが友子を殺したの?」
「友子?ああ……四号のことか」
ようやく思い出したかのように、素っ気なく言う。
「四号?」
私の問いかけを無視し、浅見先生は言った。
「お前が友子と呼ぶ者が消えたのは創造主の意志だ」
「まさか、あなたが創造主なの?」
浅見先生は声を立てて笑った。
あまりにも明るく無垢な笑い声に、鳥肌が立つ。
「そんなはずはあるまい。私も四号も、創造主が自らの力の一部を分け与えたもうた意識体だ。目的を果たすか、創造主が定めし摂理に背けば、意識体は消える。それだけのこと」
「それだけのことって……」
震えが止まらない。
先生が、あの優しかった浅見先生が、まるで言葉も通じず血の通わない人形のように見える。
「不要な者は滅びる。それがこの世界のあるべき姿。世界から不要なものを浄化し、新たに生まれ変わる。ディエス・イレによってのみ、世界の均衡は保たれるのだ」
「なら、お前が滅びろ」
声がして見ると、爽君がスマホを掲げ、不敵な笑みを浮かべていた。
「この動画はネットで配信してる。器物破損、暴行、傷害。これで教員免許どころか、拘置所にぶち込まれるぞ。お前は舞に手出しできなくなるんだよ」
「……愚かな」
もう一度、浅見先生は手を振り上げた。
ガラス片が浮き上がり、爽君の顔が苦しそうに歪む。
「やめて!!」
私は爽君の前で両手を広げて立ちはだかった。
「舞、やめろ!お前が死んだら、ディエス・イレは」
体中からマグマのように熱いエネルギーが湧き上がってくる。
怒り?恐怖?苦しみ?憎悪?
どれでもあって、どれでもない。とにかく熱い、熱い力。
私はきっと浅見先生を睨みつけ、無我夢中で叫んだ。
「もうやめて!!」
心の中で何かが弾けた。
その瞬間、不思議なことが起こった。
黄金の鳥籠。
きらきらと光り輝く金の鳥籠が突然、中空に現れ、浅見先生はその中に閉じ込められる格好になった。
「友子?ああ……四号のことか」
ようやく思い出したかのように、素っ気なく言う。
「四号?」
私の問いかけを無視し、浅見先生は言った。
「お前が友子と呼ぶ者が消えたのは創造主の意志だ」
「まさか、あなたが創造主なの?」
浅見先生は声を立てて笑った。
あまりにも明るく無垢な笑い声に、鳥肌が立つ。
「そんなはずはあるまい。私も四号も、創造主が自らの力の一部を分け与えたもうた意識体だ。目的を果たすか、創造主が定めし摂理に背けば、意識体は消える。それだけのこと」
「それだけのことって……」
震えが止まらない。
先生が、あの優しかった浅見先生が、まるで言葉も通じず血の通わない人形のように見える。
「不要な者は滅びる。それがこの世界のあるべき姿。世界から不要なものを浄化し、新たに生まれ変わる。ディエス・イレによってのみ、世界の均衡は保たれるのだ」
「なら、お前が滅びろ」
声がして見ると、爽君がスマホを掲げ、不敵な笑みを浮かべていた。
「この動画はネットで配信してる。器物破損、暴行、傷害。これで教員免許どころか、拘置所にぶち込まれるぞ。お前は舞に手出しできなくなるんだよ」
「……愚かな」
もう一度、浅見先生は手を振り上げた。
ガラス片が浮き上がり、爽君の顔が苦しそうに歪む。
「やめて!!」
私は爽君の前で両手を広げて立ちはだかった。
「舞、やめろ!お前が死んだら、ディエス・イレは」
体中からマグマのように熱いエネルギーが湧き上がってくる。
怒り?恐怖?苦しみ?憎悪?
どれでもあって、どれでもない。とにかく熱い、熱い力。
私はきっと浅見先生を睨みつけ、無我夢中で叫んだ。
「もうやめて!!」
心の中で何かが弾けた。
その瞬間、不思議なことが起こった。
黄金の鳥籠。
きらきらと光り輝く金の鳥籠が突然、中空に現れ、浅見先生はその中に閉じ込められる格好になった。
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