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本編

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「友子?どこ?」

きょろきょろと屋上を見回しても、風が吹きすさぶばかりで何も見えない。

(まさか……消えちゃったの?)

(そんなの嫌。まだ何の話もできてないのに)

しばらくの間、私は給水タンクの裏やハシゴを上って友子の姿を捜した。

けれど、友子はどこにも見当たらなかった。

「舞、どうしたの?」

屋上から教室に駆け戻ると、鬼気迫る表情を見て、クラスメイトが話しかけてきた。

「顔色悪いよ。大丈夫?」

「うん。それが、友子がいなくなっちゃって」

「友子?」

怪訝な顔をするクラスメイトに、私はぞっとした。

「友子って誰よ」

「え、だから……石井友子」

「どこのクラス?」

冗談を言っているわけではなさそうだった。

ついさっきまで教室で話していて、席だってあるのに、クラスメイトの頭から友子の存在が抜け落ちている。

私はよろめき、崩れ込むようにして自分の席についた。

(消えちゃったんだ……)

正体がばれたら、消える仕組みになっていたのだろうか。

でも、そうだとしたら爽君や紘ちゃんだって消えていておかしくないのに。

(友子……)

一番近くにいた友達だった。

授業中の居眠りも、爽君や紘ちゃんの話も、放課後の掃除も、買い食いやゲームも、いつも一緒だった。

LINEや電話の他愛のないやりとりで、夜中まで話していた。

まさか、こんな日が来るなんて。

死んだわけではない。でも、それよりもずっと恐ろしい――消滅。

友子は消えてしまった。もう誰も友子のことを覚えていない。

私一人を除いては。










































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