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本編

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「なあ、舞。前世って信じるか?」

唐突な話題に、私は眉を寄せた。

「前世……?」

ヘリはゆったりと旋回し、向きを変えて飛んでいく。

爽君は食い入るように私を見つめている。痛いくらい真剣な眼差しで。

冗談を言ったり、気軽な話題として口に出しているわけではない。それは確かだった。

――ディエス・イレが近い。

(やばい、また……)

また、あの声が聞こえる。最近、落ちついてきたと思っていたのに。

「舞?」

心配そうに爽君が覗き込んでくる、その目と目が合った瞬間、ふと思い出した。

「前にも、前世のこと言ってたことあったよね」

「え?」

「ほら、一度、催眠療法の話をしてくれたじゃない。そのときに、まれに前世の記憶を思い出す人もいるって」

「そうだったか?」

爽君はきょとんとしている。

演技なのか、本当なのかは分からなかった。

「女の子は結構信じてる子、多いんじゃないかな。前世からの恋人とか、運命の相手とか、ソウルメイトとか」

「舞はどう思う?」

「どう思うって……うーん、普通かな」

「普通って?」

「普通は普通だよ。あったらいいなって思うけど、めちゃくちゃ信じてるってわけでもない」

「そうか……」
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