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「それ、警察に言った?」
「ううん」
「じゃあ、ご両親には? 病院の人は」
「誰にも言ってないよ。舞ちゃんに初めて話した」
首を振る紘ちゃんの両腕を、私は強く掴んだ。
「駄目だよ。ちゃんと言って、捕まえてもらわなきゃ。紘ちゃん優しいから、犯人のこと可哀想って思うのかもしれないけど」
「そうだね」
紘ちゃんの口調が、やけに静かなのが気になった。とても奇妙な感じがする。
「……紘ちゃん、犯人を見たの?」
聞くべきではないかもしれないと思ったが、私は尋ねた。
紘ちゃんは頷いて言う。
「病院で目を覚ましたときは、まだちょっと混乱してたんだ。いろんな記憶が混ざり合って、あいまいで、ぼやけてる感じがした。でも、舞ちゃんがお見舞いに来てくれたときに、全部はっきりしたよ」
嬉しいことのはずなのに、なぜだか嫌な胸騒ぎがして、私は両手を握りしめた。
「それってどういう……」
「舞ちゃんは、犯人に捕まってほしい?」
紘ちゃんを掴んでいた手首を、逆に掴み返される。
目を逸らそうにも、紘ちゃんの真剣な瞳はそうさせてくれなかった。
「当たり前だよ……」
何とか私は答えたが、語尾は尻すぼみに消えていく。
「そう」
紘ちゃんは言い、にこっと笑った。
でも、その目は全然笑っていない。
不吉な感じがして、私は無意識に腕を引こうとした。
紘ちゃんは離してくれなかった。
「ううん」
「じゃあ、ご両親には? 病院の人は」
「誰にも言ってないよ。舞ちゃんに初めて話した」
首を振る紘ちゃんの両腕を、私は強く掴んだ。
「駄目だよ。ちゃんと言って、捕まえてもらわなきゃ。紘ちゃん優しいから、犯人のこと可哀想って思うのかもしれないけど」
「そうだね」
紘ちゃんの口調が、やけに静かなのが気になった。とても奇妙な感じがする。
「……紘ちゃん、犯人を見たの?」
聞くべきではないかもしれないと思ったが、私は尋ねた。
紘ちゃんは頷いて言う。
「病院で目を覚ましたときは、まだちょっと混乱してたんだ。いろんな記憶が混ざり合って、あいまいで、ぼやけてる感じがした。でも、舞ちゃんがお見舞いに来てくれたときに、全部はっきりしたよ」
嬉しいことのはずなのに、なぜだか嫌な胸騒ぎがして、私は両手を握りしめた。
「それってどういう……」
「舞ちゃんは、犯人に捕まってほしい?」
紘ちゃんを掴んでいた手首を、逆に掴み返される。
目を逸らそうにも、紘ちゃんの真剣な瞳はそうさせてくれなかった。
「当たり前だよ……」
何とか私は答えたが、語尾は尻すぼみに消えていく。
「そう」
紘ちゃんは言い、にこっと笑った。
でも、その目は全然笑っていない。
不吉な感じがして、私は無意識に腕を引こうとした。
紘ちゃんは離してくれなかった。
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