ディエス・イレ ~運命の時~

凪子

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本編

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『ちゃんと連絡してねって言ったのに、ラインもメールも全部無視だし。本当、ぶん殴りたいぐらい腹立つ。
だからお願い。舞お姉さん、私の代わりにお兄ちゃんのこと見張ってて。変なことしないように』

(プロポーズは変なことに入るのかな)

私が言い淀んでいると、恵ちゃんは続けた。

『それと、そろそろお兄ちゃんに告られる頃だと思うけど、嫌だったら断っていいからね。
あの人、顔はいいけど性格最悪だから。彼氏としては、あんまりお勧めできないかも』

私は思わず噴き出した。

「め、め、め、恵ちゃん!?」

『あ。もしかして、もう告られてた? 馬鹿お兄ちゃんのくせに手が早いんだから』

異常に顔が熱い。

私がしどろもどろになりながら手で顔をあおいでいると、恵ちゃんは可愛らしいあくびをした。

『ごめん、そろそろ眠くなってきたから切るね。また電話するね!』

「えっ」

返事をする間もなく、軽やかに恵ちゃんは通話を切る。

一人残された私は、鏡に映る真っ赤な顔の自分を見つめ、大きな溜息をついた。





















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