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本編

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校門を抜け、足早に芝生広場に向かいながら、私はスマホの検索画面に【ディエス・イレ】と打ち込んでみた。

すると、ヒットした。

【Dies irae(ディエス・イレ)とは、ラテン語で「怒りの日」を表す言葉。】

(怒りの日? ノストラダムスの大予言的な?)

ウィキペディアのページを読んでみたけれど、難しい文章でさっぱり分からない。

キリスト教に関係する単語みたいだけれど、私は無宗教だし。

でも、よく考えてみると、ちょっと気になる点は他にもある。

子供の頃から、変な夢をよく見た。

リアルすぎるぐらいリアルで、そのまま映画化できそうなぐらい、ストーリー性のある夢。

内容は起きたらすぐに忘れてしまったけれど。

それに中学生ぐらいの頃から、たまにディエス・イレという言葉は聞こえていた気がする。

ただ、そんなに頻繁じゃなかったので、気のせいかと思って無視してきた。

深く考えるのが怖かった。

だって、考えた先に、もしとんでもない結論が出てしまったら?

(私……どこかおかしいのかな)

「まーいちゃん」

考え込んでいたので、私は反応するのが遅れた。

スマホの画面から顔を上げると、金髪にピアスの若者がこちらを見つめていた。

グレーのパーカーにジャケット、黒いジーンズとカジュアルな格好で、こじゃれた感じがする。

でも、全然見覚えがなかった。
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