女子高生占い師の事件簿

凪子

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【5】イベントチャート

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理人は唇を半開きにしたまま、音がするようなまばたきをした。

まだ恵果は占っていない。

何の情報も与えていないのに、なぜ。

「……それは、俺と、母さんしか知らないことだ。こいつにも言ってないことだ」

低い声音で言って、加奈子を指さす。

加奈子も隣で恵果を凝視していた。

「何で分かった」

恵果は答えない。

代わりに、こう言った。

「あなたは優しい人ね。きっと、理由もなく誰かを傷つけたりしない。あなたが反抗を始めたのは、本当に怒った原因があるからよ」

そこに、理人に落とされた『影』の正体がある。

恵果は理人が口を開くのを辛抱強く待った。

「話したところで、どうにもならない。誰かに分かってもらおうとは思わない」

理人は強情に言って、席を立った。

加奈子がその後を追う。

恵果は精算をすませると、二人を捜して首をのべた。

「意地っ張りなところは、誰かさんにそっくりね」

と言いながら。
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