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【5】イベントチャート
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「お前さ、そうやって会話しながら相手の目や態度を読んで、それをあたかも占いの結果みたいに言ってるんだろ」
かなり疑われてしまっているらしい。
恵果は苦笑した。
こういう、だまし討ちのようなやり方を、仮にも加奈子の友達にするのは本意ではないのだが。
「あなた、犬飼ってるでしょう」
理人は目を見開き、口をつぐんだ。
毛がついているのかもしれないと思い当たり、服の裾を手で払う。
年相応の慌てた表情を見て、恵果は微笑んだ。
「白くてかわいい犬ね。何ていう種かは、詳しくないから分からないけど」
理人は、鬼のような形相で加奈子を睨みつけた。
「くだらないこと教えてるんじゃねえよ」
「馬鹿言わないで。あんたが犬飼ってるなんて聞いたことないわよ」
加奈子は一瞬気圧されたが、すぐにすごみ返した。
「飼ってる犬なんか、調べればすぐに分かることだよ。俺は信じないね。お前が本物だっていう、決定的な証拠を見せてみろよ。それができなきゃ、時間の無駄だから帰るぜ」
恵果はこほん、と咳払いをして真顔に戻り、いずまいを正した。
「何だよ。文句があるなら言ってみろよ」
「あのね、理人君。私は、あなたに占いを信じてもらおうと思って来たんじゃないの。占うか、占わないか決めるのは私。あげつらう前にしなきゃならない、もっと大事な話があるでしょう」
占いは手品ではない。
当たり外れを競うためのものではないし、相手を喜ばせる、都合のよい結果だけを出すことは恵果にもできない。
だから、依頼人にもそれを受け止めるだけの度量が必要とされる。
「加奈子ちゃんは、あなたが担任のあまりのひいきっぷりにキレたって言ってたけど……あなたはどちらかというと、ひいきされる側の人間だと思うの」
加奈子と同等、もしくはそれ以上の明晰な頭脳を持っていることは、少し話せば分かる。
従順でさえあれば、理人は教師にかわいがられていたはずだ。
「あなたの怒りと反抗には理由がある。それを話してくれない?」
かなり疑われてしまっているらしい。
恵果は苦笑した。
こういう、だまし討ちのようなやり方を、仮にも加奈子の友達にするのは本意ではないのだが。
「あなた、犬飼ってるでしょう」
理人は目を見開き、口をつぐんだ。
毛がついているのかもしれないと思い当たり、服の裾を手で払う。
年相応の慌てた表情を見て、恵果は微笑んだ。
「白くてかわいい犬ね。何ていう種かは、詳しくないから分からないけど」
理人は、鬼のような形相で加奈子を睨みつけた。
「くだらないこと教えてるんじゃねえよ」
「馬鹿言わないで。あんたが犬飼ってるなんて聞いたことないわよ」
加奈子は一瞬気圧されたが、すぐにすごみ返した。
「飼ってる犬なんか、調べればすぐに分かることだよ。俺は信じないね。お前が本物だっていう、決定的な証拠を見せてみろよ。それができなきゃ、時間の無駄だから帰るぜ」
恵果はこほん、と咳払いをして真顔に戻り、いずまいを正した。
「何だよ。文句があるなら言ってみろよ」
「あのね、理人君。私は、あなたに占いを信じてもらおうと思って来たんじゃないの。占うか、占わないか決めるのは私。あげつらう前にしなきゃならない、もっと大事な話があるでしょう」
占いは手品ではない。
当たり外れを競うためのものではないし、相手を喜ばせる、都合のよい結果だけを出すことは恵果にもできない。
だから、依頼人にもそれを受け止めるだけの度量が必要とされる。
「加奈子ちゃんは、あなたが担任のあまりのひいきっぷりにキレたって言ってたけど……あなたはどちらかというと、ひいきされる側の人間だと思うの」
加奈子と同等、もしくはそれ以上の明晰な頭脳を持っていることは、少し話せば分かる。
従順でさえあれば、理人は教師にかわいがられていたはずだ。
「あなたの怒りと反抗には理由がある。それを話してくれない?」
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