女子高生占い師の事件簿

凪子

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【5】イベントチャート

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「『それ、体罰でしょ』って言うの」

デパートの中にあるオープンカフェテリアで、加奈子はワッフルを食べながら息巻いた。

「『訴えられてもいいなら殴れよ』って。ちょっとでも先生が手を上げようとしたらね。まあ、ビンタされて鼓膜破けたりした子もいたから、こっちとしてもやりすぎは勘弁してほしいところなんだけど」

「そんなこと言って挑発して、先生余計殴ったりしないの?」

「いや、そいつのお父さん、裁判所で働いてるらしくてね。しゃれになんないの」

「なるほど……そこまで計算ずみか」

手強いね、と恵果はストローでピーチティーの氷を動かした。

浮かんだハーブの葉がグラスの中で揺れる。

「あ、来た」

少年は鋭利な目つきをしたまま、ずかずかと二人のテーブルまでやってきた。

恵果は立ち上がって、極上の笑みを浮かべて手を差し出した。

「はじめまして。占星術師の佐伯恵果です」

少年は握手をしようともせずに吐き捨てた。

「占いなんてインチキだよ」

加奈子の顔色がさっと変わる。

「失礼な言い方しないでって言ったじゃない!」

「まあまあ。とにかく座ってよ」

恵果は全く動じずに、にこやかに椅子をすすめ、自分も再び腰かけた。

少年は恵果を不躾にじろじろと見つめた。

「……変な奴」

「それはお互いさまね。で、あなたのお名前は?」

「そんなもん聞いてどうするんだよ」

「あら、初対面の人間同士、名乗るのは当然でしょ?」

少年は恵果を睨みつけて鼻を鳴らした。

「……真辺理人まなべ・りひと

「リヒト君っていうんだ。いい名前ね」

恵果が褒めても、理人はにこりともしなかった。
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