女子高生占い師の事件簿

凪子

文字の大きさ
上 下
110 / 138
【5】イベントチャート

110

しおりを挟む
「私、しばらくここにいようと思うの」

勧められるまま椅子に座り、恵果が口にした言葉に、加奈子は目をみはった。

キッチンでは、恵果の兄・しずかが二人のために紅茶を淹れている。

「何で?恵果ちゃん、誰かに狙われてたりするの?こないだの政治家?自分の息子が捕まったから、その逆恨み?」

加奈子のはしっこさに、静は感心した。

「違うの。決着をつけなきゃいけないことがあるのよ。それが終わったら必ず帰るから。
だって、私の帰る場所はあそこしかないんだもの。だから、それまで待ってて。お願い」

珍しい恵果の素直な懇願に、加奈子は困惑した。

「事情はよく分からないけど、恵果ちゃんがそこまで言うなら……しょうがないよね」

「ありがとう、加奈ちゃん」

恵果は加奈子の手を握り、にっこり微笑んだ。

加奈子は話がひと段落ついたというのに、もじもじしている。

何とか会話の糸口をつかもうとしているのが分かって、恵果は小首を傾げた。

「どうしたの?」

「え、あ、いや、うん……その」

加奈子は途端に言葉遣いがあやしくなった。あたふたと要領を得ない言葉ばかりを繰り返す。

恵果は苦笑し、おどけたように言った。

「なあに?今さら遠慮しないでよ。私と加奈ちゃんの仲でしょ」

それを聞いて、加奈子はようやく安心したように頬を緩ませた。

「あのね、恵果ちゃん。私ね……えっと……相談っていうか。そんな大層なものじゃないんだけど、聞きたいことがあって」

「私に?」

加奈子はうんうんと何度も頷いた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

一夏の性体験

風のように
恋愛
性に興味を持ち始めた頃に訪れた憧れの年上の女性との一夜の経験

職場のパートのおばさん

Rollman
恋愛
職場のパートのおばさんと…

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

完全なる飼育

浅野浩二
恋愛
完全なる飼育です。

由紀と真一

廣瀬純一
大衆娯楽
夫婦の体が入れ替わる話

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

処理中です...