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【5】イベントチャート
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「私、しばらくここにいようと思うの」
勧められるまま椅子に座り、恵果が口にした言葉に、加奈子は目をみはった。
キッチンでは、恵果の兄・静が二人のために紅茶を淹れている。
「何で?恵果ちゃん、誰かに狙われてたりするの?こないだの政治家?自分の息子が捕まったから、その逆恨み?」
加奈子のはしっこさに、静は感心した。
「違うの。決着をつけなきゃいけないことがあるのよ。それが終わったら必ず帰るから。
だって、私の帰る場所はあそこしかないんだもの。だから、それまで待ってて。お願い」
珍しい恵果の素直な懇願に、加奈子は困惑した。
「事情はよく分からないけど、恵果ちゃんがそこまで言うなら……しょうがないよね」
「ありがとう、加奈ちゃん」
恵果は加奈子の手を握り、にっこり微笑んだ。
加奈子は話がひと段落ついたというのに、もじもじしている。
何とか会話の糸口をつかもうとしているのが分かって、恵果は小首を傾げた。
「どうしたの?」
「え、あ、いや、うん……その」
加奈子は途端に言葉遣いがあやしくなった。あたふたと要領を得ない言葉ばかりを繰り返す。
恵果は苦笑し、おどけたように言った。
「なあに?今さら遠慮しないでよ。私と加奈ちゃんの仲でしょ」
それを聞いて、加奈子はようやく安心したように頬を緩ませた。
「あのね、恵果ちゃん。私ね……えっと……相談っていうか。そんな大層なものじゃないんだけど、聞きたいことがあって」
「私に?」
加奈子はうんうんと何度も頷いた。
勧められるまま椅子に座り、恵果が口にした言葉に、加奈子は目をみはった。
キッチンでは、恵果の兄・静が二人のために紅茶を淹れている。
「何で?恵果ちゃん、誰かに狙われてたりするの?こないだの政治家?自分の息子が捕まったから、その逆恨み?」
加奈子のはしっこさに、静は感心した。
「違うの。決着をつけなきゃいけないことがあるのよ。それが終わったら必ず帰るから。
だって、私の帰る場所はあそこしかないんだもの。だから、それまで待ってて。お願い」
珍しい恵果の素直な懇願に、加奈子は困惑した。
「事情はよく分からないけど、恵果ちゃんがそこまで言うなら……しょうがないよね」
「ありがとう、加奈ちゃん」
恵果は加奈子の手を握り、にっこり微笑んだ。
加奈子は話がひと段落ついたというのに、もじもじしている。
何とか会話の糸口をつかもうとしているのが分かって、恵果は小首を傾げた。
「どうしたの?」
「え、あ、いや、うん……その」
加奈子は途端に言葉遣いがあやしくなった。あたふたと要領を得ない言葉ばかりを繰り返す。
恵果は苦笑し、おどけたように言った。
「なあに?今さら遠慮しないでよ。私と加奈ちゃんの仲でしょ」
それを聞いて、加奈子はようやく安心したように頬を緩ませた。
「あのね、恵果ちゃん。私ね……えっと……相談っていうか。そんな大層なものじゃないんだけど、聞きたいことがあって」
「私に?」
加奈子はうんうんと何度も頷いた。
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