68 / 138
【2】リロケーション
68
しおりを挟む
比呂が帰ってからしばらくして、帰り際に律は言った。
「あのさ、俺、お礼とは言わないけど……この店の用心棒になってやってもいいぞ。お前の叔母さんも、お前も、妙な言いがかりとか難癖つけられたら、俺を呼んでいいから」
ここへ来る道すがら、考えたことだった。
もちろん律だって超人ではない。何もかもから守ることなどできない。
だが、相手が比呂の引き連れてきた黒服軍団のような連中でない限り、追い払うくらいの力はあるつもりだった。
恵果はそれを聞くと、ころころと笑った。
「あら、頼もしいこと」
馬鹿にしているとは言わないが、小さな子供のような扱いをされていると感じるのは気のせいだろうか。
「でも、そういうことは亜子ちゃんに言ってあげたほうがいいんじゃない?」
「……何でそこで亜子が出てくるんだよ」
嫌そうに言う律の額を、恵果が人さし指ではじく。
「言ったでしょう。ちゃんと亜子ちゃんの話を聞いてあげなさいって」
律を待ち伏せて、亜子が本当に相談したかったのは、ツトムのことではなく、ツトムに脅されていることだったのだ。
「りっちゃんがちゃんと聞いてあげないから話がこじれたのよ。ほんとに分かってないんだから」
律は憮然とした顔をする。
背を向けて立ち去ろうとした背中に向かって、恵果は問いかけた。
「ねえ、『お嬢様』をやめてもいいって、言ってあげれば?」
そう言えば、亜子は少なくとも解放される。
律と会うのに制限もされなくなる。
「あのさ、俺、お礼とは言わないけど……この店の用心棒になってやってもいいぞ。お前の叔母さんも、お前も、妙な言いがかりとか難癖つけられたら、俺を呼んでいいから」
ここへ来る道すがら、考えたことだった。
もちろん律だって超人ではない。何もかもから守ることなどできない。
だが、相手が比呂の引き連れてきた黒服軍団のような連中でない限り、追い払うくらいの力はあるつもりだった。
恵果はそれを聞くと、ころころと笑った。
「あら、頼もしいこと」
馬鹿にしているとは言わないが、小さな子供のような扱いをされていると感じるのは気のせいだろうか。
「でも、そういうことは亜子ちゃんに言ってあげたほうがいいんじゃない?」
「……何でそこで亜子が出てくるんだよ」
嫌そうに言う律の額を、恵果が人さし指ではじく。
「言ったでしょう。ちゃんと亜子ちゃんの話を聞いてあげなさいって」
律を待ち伏せて、亜子が本当に相談したかったのは、ツトムのことではなく、ツトムに脅されていることだったのだ。
「りっちゃんがちゃんと聞いてあげないから話がこじれたのよ。ほんとに分かってないんだから」
律は憮然とした顔をする。
背を向けて立ち去ろうとした背中に向かって、恵果は問いかけた。
「ねえ、『お嬢様』をやめてもいいって、言ってあげれば?」
そう言えば、亜子は少なくとも解放される。
律と会うのに制限もされなくなる。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました
ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら……
という、とんでもないお話を書きました。
ぜひ読んでください。
隣の人妻としているいけないこと
ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。
そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。
しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。
彼女の夫がしかけたものと思われ…
【R18】もう一度セックスに溺れて
ちゅー
恋愛
--------------------------------------
「んっ…くっ…♡前よりずっと…ふか、い…」
過分な潤滑液にヌラヌラと光る間口に亀頭が抵抗なく吸い込まれていく。久しぶりに男を受け入れる肉道は最初こそ僅かな狭さを示したものの、愛液にコーティングされ膨張した陰茎を容易く受け入れ、すぐに柔らかな圧力で応えた。
--------------------------------------
結婚して五年目。互いにまだ若い夫婦は、愛情も、情熱も、熱欲も多分に持ち合わせているはずだった。仕事と家事に忙殺され、いつの間にかお互いが生活要員に成り果ててしまった二人の元へ”夫婦性活を豹変させる”と銘打たれた宝石が届く。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる