女子高生占い師の事件簿

凪子

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【2】リロケーション

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「そのツトムっていう人は、りっちゃんに憧れてたんだね。似た感性を持っていても、りっちゃんのほうがずっと才能があることを無意識に分かってた。だから、どんな作品を書いても、りっちゃんのものは越えられなかったのよ」

かわいそうにね。恵果は静かにそう言った。

いつもの柔らかな口調とは違って、にべもない言い方だった。

「随分と冷たいな」

「人を傷つけておいて被害者ぶる人間は嫌いかな。それに、相手が自分よりも優れていても、それを受け入れる度量があれば、友達でい続けられるはず。それをせずに、才能を妬んで恨んで、幼稚に八つ当たりする人、私は同情しない」

律は何だか、ツトムが憐れになってきた。

比呂と恵果にかかると、ここまでメッタ斬りにされてしまうものなのか。

自分もツトムも、目指す場所は同じはずだった。

ツトムが道を逸れた今、律は彼のためにも辿りつきたいと強く願った。

一握りの才能だけが生きていける、音楽の世界で生きていきたいと。

いつか、自分の曲で人の心を動かせるようになりたい。歴史に残る名曲を創りたい。

――できるだろうか。

目が合うと、律の胸の内を読み取ったように、恵果は頷いた。

「大丈夫。だって、あなたの歌には愛があるんだもの」
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