女子高生占い師の事件簿

凪子

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【2】リロケーション

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「お前、何でこんな目に遭ってるか、分かってないだろ?」

目をやると、いつの間にか数人に取り囲まれているのが分かった。

据わった目つきをした男が律の腕をねじり上げた。律はあえて抵抗しなかった。

警鐘が脳の奥で鳴り響いているのとは裏腹に、思考は冴え渡っていく。

ツトムと話していても、らちが明かない。

「亜子、どういうことだ。お前、大迫と付き合ってるのか?」

亜子は唇を動かそうとするが、その口を大迫の手がふさいだ。

「すかしてんじゃねえよ、パクリ野郎!俺の質問に答えやがれ!」

周りに群がった男の一人が、律の腹に鋭い蹴りを入れた。

「うっ」

律はコンクリートの地面を無様に転がった。

亜子が大迫の手を振り払おうとしてもがいた。

「やめて!りっちゃんにひどいことしないで」

もみ合いになりながら、必死で叫ぶ。

亜子を軽々と取り押さえながらツトムは凶悪に笑った。

「いいのかな、そんなクソ生意気な態度取ってると、ばらしちゃうよ?」

ツトムは亜子の襟首を掴んで持ち上げながら、猫なで声で言う。亜子の顔が蒼白になるのが、遠目にも分かった。

起き上がったところを殴り飛ばされ、律は口の端から血の混じった唾を吐いた。

「俺がお前に、何をしたって言うんだよ」

「よく言うぜ。作詞コンクールで俺の詞をパクって、最優秀賞を取ったこと、もう忘れたのか?」

ツトムが「やれ」と吐き捨てた。

男たちが律を立たせ、羽交いじめにしてタコ殴りにし始める。

律は激痛に耐えながら考えを巡らせていた。
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