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【1】ハーモニクス アストロジー
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美蘭が恵果に呼び出されたのは、その三日後だった。
穏やかな音楽が流れる、あの心地よい暗さの喫茶店で、恵果は正方形の紙に描かれた複雑な文様を見せた。
「何?」
「ホロスコープです。美蘭さんのデータをもとに書いた、運命予定図のようなものです」
恵果はよどみなく応えたが、紙を見ても、何が書いてあるのかさっぱり分からない。
「私の占いは、西洋占星術に独自の統計を加え、あみだしたものです。今から占いの結果を言いますね」
美蘭は窓越しに外を眺めた。
まぶしい陽気に照らされて街中が光って見える。夏が駆け足でやってきたような汗ばむ一日だ。
「あなたは、十年前――十五歳に人生の大きな転機を迎えた」
「美少女コンテスト優勝」
美蘭はそっけなく呟いた。
「五年ほど、絶好調の運気が続きます。しかし二十一、二歳あたりに運勢にかげりがさしている。そこから下降の一途をたどり、現在もまだ低迷期の最中です。恋愛もそうですけど、将来に関して深く悩んでいる。
美蘭さんは性格上、自分の悩みを誰かに打ち明けるのが苦手。そのことが裏目に出ています」
モデルとして三年間仕事をした後、十八歳からCMやドラマに出るようになった。
映画の脇役も何度かこなしてきた。
全て、自分の中ではうまくやれたと思っていた。
その過信と油断が、身を滅ぼした。
穏やかな音楽が流れる、あの心地よい暗さの喫茶店で、恵果は正方形の紙に描かれた複雑な文様を見せた。
「何?」
「ホロスコープです。美蘭さんのデータをもとに書いた、運命予定図のようなものです」
恵果はよどみなく応えたが、紙を見ても、何が書いてあるのかさっぱり分からない。
「私の占いは、西洋占星術に独自の統計を加え、あみだしたものです。今から占いの結果を言いますね」
美蘭は窓越しに外を眺めた。
まぶしい陽気に照らされて街中が光って見える。夏が駆け足でやってきたような汗ばむ一日だ。
「あなたは、十年前――十五歳に人生の大きな転機を迎えた」
「美少女コンテスト優勝」
美蘭はそっけなく呟いた。
「五年ほど、絶好調の運気が続きます。しかし二十一、二歳あたりに運勢にかげりがさしている。そこから下降の一途をたどり、現在もまだ低迷期の最中です。恋愛もそうですけど、将来に関して深く悩んでいる。
美蘭さんは性格上、自分の悩みを誰かに打ち明けるのが苦手。そのことが裏目に出ています」
モデルとして三年間仕事をした後、十八歳からCMやドラマに出るようになった。
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全て、自分の中ではうまくやれたと思っていた。
その過信と油断が、身を滅ぼした。
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